埋め合わせな1日の話・2



「ほう、中々綺麗じゃないか」

いつになく乗り気なソリダスと共に足を踏み入れたホテルの部屋は、とても綺麗で清潔感があった
カラオケも付いているし、ゲーム機も備え付けられている
部屋の隅に鎮座する大人のおもちゃの販売機がなければ、普通のホテルとほとんど変わらない

…いやいや、あれこそ怒られるだろう
少しだけソレを使ってみたい衝動に駆られるが、さすがにソレは確実に怒られる
それに、ソリダスならじゃあお前が使えと言われそうで怖い

「ジャック、どうした?」

「いや…なんでもない」

満面の笑みでおもちゃを持つソリダスの姿がありありと想像できて、ブルリと背筋が震えたのを、苦笑いで誤魔化す
すでにベットに座ってるソリダスは不思議そうな表情をしたものの、特に深くは追求してこなくてホッとした

「ジャック」

ぽんぽんと、隣を軽く叩きながらソリダスはにっこりと笑う
促されるままに隣に座れば、ソリダスが甘えるようにしだれかかってきた

「そ、ソリダス!?」

嬉しい、いやとっても嬉しいけど
ソリダスがこうして甘えるような仕草をしてくることは滅多になくて、喜びと同じくらい驚きを感じてしまう

「どうした?不満か」

だが、俺の反応が気に食わないらしいソリダスは、ムッとした表情でチラリと俺を見上げてくる
慌てて首を振って否定するけど、俺の視線はソリダスに釘付けだ
表情こそ不機嫌そうだけれど、その目は本気では怒っていない
むしろ、どこか甘い色をしている
それが不機嫌そうな表情と相まって、まるで拗ねて甘えているようにすら見える

え、ちょ、何だ?まさかソリダス、デレ期!?

混乱のあまり、ついそんなことが頭の中に浮かぶ
ソリダスとの付き合いは俺の人生の半分以上に及ぶが、こんな風に甘えてくるソリダスなんて初めてだ
いや、一度でいいからソリダスに甘えられたいとか思ってたけど、こんな風に突然甘えられると戸惑ってしまう
普段がマイペースでプライドが高い女王様なだけに、余計驚く
いや、物凄く嬉しいけど!

「…こんな私は嫌いか?」

グルグルと頭の中で考え込んでいると、やはり俺の思考なんかお見通しらしいソリダスは、ふふっと甘い表情と声で笑い
俺の胸元を、綺麗に手入れされている指先でゆるりと撫でた

「い、いや!好きだソリダス!」

その指先に甘い期待を感じながら、慌ててそう返せば、ソリダスは目が機嫌のいいネコの様に細め

「私も、お前が好きだ…」

甘い微笑を浮かべ、するりと首に手を回して口付けてきた

えぇぇ!?ちょ、ホントにどうしたソリダス!!?

その甘い口付けにどうにか答えながら、俺の頭はパニックで爆発寸前だった
いつもは頼んでも縋っても拝んでも、絶対に好きだなんて言ってくれないのに!
俺が好きだとか愛してるとか言えば、うんとか、機嫌がよければ私もだ、なんて言ってくれるけど、ソリダスから好きだといわれたことは片手で足りてしまう
しかも、今日は甘えてくるというオプション付き
いや、ものすっごく嬉しいけど!!

「ジャック」

ゆっくりと唇が離れると同時に、ソリダスの指先が直に俺の肌に触れる
嬉しい混乱をしていたせいで、服のボタンを外されていることに全然気がつかなかった
我ながら、ちょっと情けなくなる

「…お前の肌は白いな」

ソリダスはどこかうっとりとした目をしながら、俺の胸元に指を這わせる
ソリダスの肌も、平均からしたら白いほうだろう
だが、俺の肌はソリダスよりずっと白い
それがイヤで何度か日に焼けようと努力したが、毎回赤くなり大変な目にあうだけで終わっている
ソリダスだって白いけど、ちゃんと日焼けするのに

「俺は、焼けないからな」

「私は気に入っているぞ?お前の肌は白くて綺麗だ」

少しだけ声が沈んでしまった俺に、ソリダスはどこか楽しげに笑い
俺の胸元に唇を寄せ、心臓の真上辺りに吸い付いた
ちゅ、という音と共にツキリとした甘い痛みが走る
その場所に綺麗に付いた赤いキスマークを見たソリダスは、満足げな表情を浮かべ

「ほら、所有印が綺麗に付く」

と、耳を疑うようなことを言った

本当にどうしたんだソリダス!!?
いつもは、お前が私を好きで勝手についてきてるだけだろ?みたいな態度しか取らないソリダスが
お前が誰といようが何をしようが、別に私には関係ないといわんばかりの態度しか取らないソリダスが!
俺に対する独占欲とか欠片も見せたことないソリダスが!!
今、所有印って言った!?間接的にお前は私のもの発言をした!?

「いや、え、ソリダス?」

あまりのことに、これは夢じゃないかと本気で思ってしまう
戸惑いを隠しきれない俺に、ソリダスはどこかおかしそうに笑った

「たまには私だってそういう気分になるときがある。イヤか?」

とんでもない!むしろ泣きたいくらい嬉しいけど!!
そう叫びたいのをどうにか堪えて、力いっぱい首を振る

「その割には、不満そうだが?」

「い、いや!ただ珍しいなって!!」

俺のアホ!何言ってんだ!?

パニック寸前の頭でぽろっと地雷を口にしてしまい、数秒前の自分を殴りたくなるような衝動に駆られる
せっかくソリダスの機嫌がいいのに、珍しいなんてことを言ったら怒って放り出されるかもしれない
今ここで放り出されて、困るのは確実に俺だけだ

けれど、ソリダスは予想に反して怒りもせず俺を放り出しもせず

「そうだな、今日のデートは楽しかった…そういうことにしておいてくれ」

そう言って、どこかおかしそうに笑った

どうやら、今日のソリダスは今までに類を見ないくらい機嫌がいいらしい
しかも、その理由が俺が頑張って計画したデートが楽しかったというのなら

…どうしよう、凄く嬉しい
かぁっと頬が熱くなるのを、口元に手をやってどうにか誤魔化す
まぁ、俺のことなんかなんでもお見通しのソリダスにはお見通しなんだろうけど
案の定、ソリダスはニヤニヤと笑いながら俺の顔を見つめ
俺のズボンのベルトに、手をかけた

「今日は私がシてやろう」

そのまま手際よくベルトを外し、すでに臨戦態勢だったモノを取り出すと
にやりと笑って、舌先で先端をぺろりと舐めた

「うぁっ…」

絶妙の力加減で押し付けられる舌に、思わず声が漏れて腰が揺れる
俺の反応に、ソリダスは機嫌良さそうに口の端を上げ、そのままカプリと咥え込んだ
ソリダスが、自分から俺に奉仕してくれている
その事実に、感動に近い感覚すら覚える
ものすーごく機嫌のいいときに頼めばやってくれるけど、こうして自分からっていうのは滅多になくて
いや、あるにはあるけど…そういう時は、大抵俺が酷い目にしかあわない
こんな風に、奉仕されることなんか本当に稀だ
いや、もしかしたら初めてかもしれない

「んふ…ん…」

相変わらず、ソリダスの口は気持ちがいい
けど、時折こちらを伺いながら一生懸命奉仕してくれる様に
今日のいつにない機嫌のよさに
ちらりと、少しだけわがままを言ってみたい欲求に駆られる

「なぁ、ソリダス…」

「ん…どうしたジャック、気持ちよくないか?」

思い切って声をかけると、ソリダスは一度口を離し、けれど指先で奉仕は続けたまま俺を見上げる
そのトロリと溶けた青い瞳に、自然と湧き上がった生唾を飲み込んだ

「その…えっと…」

言いよどんでいる間も、その青い瞳は俺を真っ直ぐに見つめている
そして指先が、早く言えといわんばかりに先端を刺激する

「う、上に乗ってみて欲しい…って言ったら、怒るか?」

ありったけの勇気を振り絞って、どうにかそう口にする
はっきり言うと怒られるかもしれないから、多少ぼかした
違う意味に取らるかもしれないが、それはそれでいいというか…
せっかく機嫌のいいソリダスを、怒らせたくは、ないし…

だんだんと、思考がマイナスの方向へずれていく
これだからきっと、ソリダスの兄弟達から犬だのヘタレだの言われるんだろうな
なんて、半ばどうでもいいことを考え始めたとき

「いいぞ、乗ってやる」

ソリダスのどこか機嫌の良さそうな声が耳に届き、慌ててソリダスのほうへと視線を戻せば、ソリダスは怒るどころか楽しそうな表情をしていた

そのまま一端俺から離れると、ズボンと下着を脱ぎ去り

「ほら、乗って欲しいんだろ?寝転べ」

とんっと俺の肩を押した
その手に促されるままにその場に寝転べば、ソリダスは俺に尻を向ける格好で上に乗っかってきた
それはいわゆる、シックスナインという格好で

…どうして、上に乗って欲しいと言っただけで俺がやりたいことがわかったんだろう
一度も、やってみたいとかいったことがないのに

「どうして、わかったんだ?」

驚きのまま、ついそう尋ねれば

「ジャック、私を誰だと思っている?お前の考えていることくらい、手に取るようにわかる」

ソリダスは、得意そうな笑みを浮かべて挑発するような視線を向けてきた

「せっかく上に乗ってやったんだ、気持ちよくしてもらおうか」

いつの間にか、いつもの女王様な口調に戻っている
けれど、そのまま咥えられればそんなことは簡単に意識の隅に追いやられてしまう
柔らかな咥内が吸い付いてきて、うねうねとしたが動き回る
そのたまらない快感に息が詰まる
目の前の色が白く形のいい尻に手を這わせれば、ソリダスの体がピクンと震える
その谷間にある、いつも繋がる場所を指先で少し押せば、きゅっと一瞬驚いたように収縮し、どうにか飲み込もうと蠢く
その動きに合わせて押し込むと、つぷんっと先端が中へと入り込む

「ん…」

だが、やはり濡れていないと少し痛いらしく、俺のを咥えたままのソリダスの口から苦しそうな声が漏れる
慌ててローションの類を探したが、俺の視界の中には見当たらない
ソリダスの側にあるのかもしれないが、この絶景を中断させてしまうのは正直惜しい
そう考えて、俺は少しだけ顔を上げて、指先を飲み込むソコへと舌を這わせる

「んっ…ジャックっ」

さすがにそれは予想外だったのか、ソリダスが驚いたような声を上げる
けれど、怒ったりやめろとは言われていない…ような気がするからそのまま続けることにした

「ぁ…」

たっぷりと唾液を絡ませた舌で、ソコを丁寧に舐めながらゆっくりと指を押し込む
すべりがよくなった指を、ソコはズルズルと飲み込んでいく
同時に、ソリダスの口から気持ち良さそうな声が上がる

「はぁっ…じゃ、くっ」

「綺麗だ、ソリダスのココ」

こうして慣らしている時、その場所をじっくり見たことはない
こうして指を飲み込み、ヒクヒクと蠢くソコはいやらしくも綺麗だと思う
そして、ここでこうして俺のをいつも咥えているのかと思うと、腹の中が熱くなる
今すぐにでも、ココに俺のモノを突っ込んで揺さぶりたい衝動をどうにか堪え、ゆっくりと内壁を押して慣らしていく

「ジャック…も、いいから、こい」

けど、俺のそんな思考すら読んでいるのか
ソリダスは肩越しに振り返り、ねだるような視線を俺に向ける

「でも、まだ…」

「私が、もう欲しいといっている」

小さくため息を吐いたソリダスは、そのままのそりと前に移動して俺の上からどけると、腰を高く上げて見せ

「ジャック…早く、きて…」

ふわりと妖艶な笑みを浮かべ、甘えるような目で俺を見つめてきた

そんなことをされて、耐えられるほど俺はできた人間じゃない
たまらずにまるでネコのようにしなやかな背に覆いかぶさり、先ほどまで指が埋まっていた場所に先端をあてがい
ゆっくりと、ソリダスを傷つけないように慎重に埋めていく

「あ、ぁ…」

ず、ず…とゆっくりと進むたび、ソリダスの口からは少し苦しそうな声が漏れる
その声に罪悪感で一杯になりながらも、きゅうきゅうと締め付けてくるナカの感触に息が詰まる
そのまま一気に突き上げてしまいたいのをどうにか押さえつけ、根元まで埋めてからはぁ〜と息を吐く
そのままナカの締め付けが甘く緩むのを待ってから、ゆっくりと腰を動かす

「あぅっ…じゃ、く…」

ソリダスの声が苦しげなものから、甘いものへと変わっていく
ナカも柔らかいのにキツくて、突き上げるたび極上の快楽が背筋を走り抜けていく
けど、少しだけ物足りない

「ソリダス…顔、見たい…」

こうして後ろからというのも、いいと思う
汗でぺたりと髪の毛の張り付いた項も、白い背中も色っぽいと思う
けど、俺はやっぱりソリダスの顔が見たい
耳元でそう囁けば、ソリダスが笑う気配がした
そして、繋がったままソリダスは片足を上げて器用に体を横倒しにした

「これで満足か?」

ようやく見えたソリダスの表情は、いつもの偉そうな女王様めいたものだった
その表情に、何となくホッとしたような気持ちになる

「あぁ…好きだ、ソリダス」

そのまま赤い唇に口付ける
たっぷりと舌を絡ませあい、その甘い咥内を堪能する

「そんなことくらい、昔から知っている」

唇を離すと、ソリダスはどこかおかしそうに笑いながらそう言い

「…私も、お前が好きだぞ」

俺の顔を引き寄せ、耳元で甘い声でそう囁いた
蜜を含んだような甘い声が、甘い言葉が
俺のなけなしの理性を、さらに壊していく

「ソリダスっ」

「あぁっ」

上げられた足を掴み、思いっきり腰を打ち付ける
びくんっとソリダスの体が跳ね、ナカが絡みつくように締め付けてくる

「好きだ、ソリダス…好きだ、好きだ…」

「あ、あ…じゃ、く…じゃっ、くっ」

好きだという気持ちが、まるでうわ言のように唇から零れ落ちる
それに答えてくれるように、ソリダスは俺の名前を呼んで手を伸ばす
その手を取って、薄く開いた唇に噛み付いた

「んっ…」

夢中で咥内を貪り、無遠慮にその体に手を這わせていく
いつもなら怒り出すようなその行為を、ソリダスは甘受して答えてくれる
そのことが、俺の興奮をさらに煽っていく

「じゃっく、もっ…」

不意にソリダスが首を振って口付けを解き、快楽に震える声で懇願する
それに答えるために、震えるソリダスの性器を手で包んで、突き上げと同じリズムでしごき上げていく

「あぁっ…ふ、あぁっ」

先端をぐりっと指先で弄った瞬間びくんっとソリダスの体が震え、トロリと俺の手を白濁が濡らしていく
その瞬間、キツク締め付けられ、俺もソリダスの中に欲情をたたきつけた

「ご、ごめん、ソリダス…」

やばい、気持ちよすぎてナカに出してしまった…
中出しすると、大抵ソリダスは怒るし機嫌も悪くなる
最後の最後で、やってしまった…せっかく、今日はいつになく上機嫌だったのに
まだ甘く荒い息を吐くソリダスに、恐る恐る謝る

けれど、ソリダスはチラリと俺を見て、これまた器用に体を捩って俺に向かい合う格好になると
にまりと、どこか満足げな笑みを浮かべ

「ジャック…このまま、もう1回…」

俺の腰をふくらはぎでするりと撫で、背中に腕を回してきた

「そ、ソリダス?どう、したんだ?」

いつもなら考えられない仕草と行動に、今度こそ思考が固まった
中だしして怒らないだけじゃなくて、このまま2回戦をねだるとか、いつものソリダスだったら槍が降ってきてもおかしくないくらいありえない
あれ?これもしかして夢?

「何だ、ジャックはもうシたくないのか?」

「い、いや!シたいけどっ」

「ならいいじゃないか」

くすくすと笑いながら俺に口付けるソリダスに答えながら、ぼんやりと考える
今日は、一体何の記念日だろう?
甘えてくれて、好きって言ってくれて、所有欲まで見せてくれて
さらには、たっぷりと奉仕までしてくれて
もう、夢なら夢でいい…こんな幸せな夢だったら、いつ起きても後悔しない
いや、現実のほうがいいけど、夢でも構わない
それくらい、今幸せだ…!



この甘えっぷりと奉仕は、別にソリダスがデレ期だったわけでも機嫌がよかったわけでもなく、もちろんデートが楽しかったからその礼というわけでもなく
ただ単に一日中イニシアチブ取られっぱなしなのが気に食わなかっただけで
手っ取り早くイニシアチブが取れるからという理由で誘いに乗ったことなど気付けるはずもなく、俺は幸せをかみ締めていた






















大変、大変お待たせしてしまいましたあぁぁぁぁぁ(土下座)
年内とか言っておいてお待たせしまくってすみません、微妙ですみません、ご奉仕プレイになってなくてすみません、もうなにもかもすみませんんんんん!!!!!

そして、雷電が幸せなだけですみません
ソリダスの意図に気付かず幸せな雷電ですみません…

リクエスト、本当にありがとうございました!!

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