初調教はポーカーで・1



シャワールームから響く水音で満たされた部屋の中
俺は1人、ニヤニヤと笑みを抑えきれないままベットに色々と仕込みをしていた
シャワーを浴びているのは、この基地の副指令であり俺の相棒であるカズ
何故、カズが俺の私室でシャワーを浴びているのかといえば
答えは、1つ

これから、この部屋でセックスをするためだ
もちろん、相手は俺

「…あがった」

ちょうど仕込が終わった頃、カズがバスローブを羽織ってシャワールームから出てきた
全身を緊張に固まらせ、ぽたぽたと髪の先からしずくを滴らせるカズは非常に色っぽい

「そうか、なら俺も浴びてこよう…ベットにでも座っていろ」

その色っぽさに、今すぐ襲い掛かりたい衝動を堪えつつ
手と足を同時に出しながらベットへと歩いていくカズを眺めて、俺もシャワールームへと足を進めた





『スネーク、ポーカーやらないか?』

そうカズが誘ってきたのは今日の昼のこと
書類整理がひと段落ついて、ちょっとした息抜きをしたかったらしいカズの視界に
今日は訓練だけしかなく、暇を持て余していた俺が映ったらしい

その誘いに快く乗ってやり、何度か勝負を繰り返し
すっかりゲームに夢中になったカズに、1つ賭けを持ちかけた

『なぁ、次で勝ったほうが負けたほうになんでも1つだけ命令できるというのはどうだ?』

『スネーク…後で後悔しても知らないぞ〜?』

もともと騒ぐことが好きなカズは、ニヤリと笑いながらあっさりとその誘いに乗った

俺が、コッソリと笑ったことも知らずに

さて、その問題の勝負
カズは、ふっと小さく鼻で笑ってから手札を差し出した

『どうだスネーク!フルハウスだ!』

おそらく、勝ったと思っているのだろう
自信満々に、口元に笑みすら浮かべている

だが…相変わらず詰めが甘いなカズ

『残念だったな、カズ…ストレートフラッシュだ』

ニヤリと、笑いながら手札を見せれば
カズは、ぽかんと口を開けてそれに見入っていた

おそらく、自分が自信のある手札で負けたことが信じられないんだろう

しばらく呆然と俺の手札と俺の顔を交互に見つめ
がっくりと、肩を落とした

『あ〜あ、負けちまった…約束は約束だ、何でも命令しろ』

半ばやけくそのように、しかし軽く凹みながら俺を見るカズを観察しながら、考え込む振りをする
カズは残念そうな表情をしているが、何でも命令しろといった割には余裕の表情だ
きっと、俺が無茶な命令はしないと楽観視しているのだろう

相変わらず、こいつは甘い
初めて出会った、あの日から変わらない

『…よし、決めた』

そう言えば、僅かに笑みを浮かべながら俺の顔を覗き込む
まるで、好奇心いっぱいの子どもだ
不安とか恐怖とか、まるで感じていないんだろう

そんなカズに、満面の笑みを浮かべてやりながら

『カズ、ちょっと抱かせろ』

と、いい声でいってやる
その瞬間、カズの笑みが一瞬で凍りついた
おそらく、俺が何を言ったのか一瞬では判断できなかったのだろう

その凍りついた顔が可愛くて、自然と笑みが深まる

カズは、ほんの数秒の空白の後、ようやく俺の言いたいことを理解したのか

『だ、抱かせろ?何だスネーク、俺に抱きしめて欲しいのか?』

どうにか表情筋を動かし、不自然すぎる笑みを浮かべ
ぎぎぎ、と音がしそうな動きで腕を広げてみせる
その目から、雰囲気から

これでイヤだって察してくれ!

オーラが激しく漏れている
というか、むしろ察して欲しいのだろう

さて、カズは日本の出身で、ハーフではあるが気持ち的には日本人らしい
日本には、Noとはっきりいう文化が存在しないと聞く
何となく、相手の雰囲気でNoと思っていると察するという、しとやかな日本人らしい文化だ
だが、俺はアメリカの出身、生粋のアメリカ人だ
そんな文化は、存在しない

『すまんカズ、言い方が悪かった…セックスさせろ、もちろんお前が突っ込まれる側で』

カズの望みを打ち砕くように、きっぱりはっきり言ってやれば、今度こそカズが固まった
漫画なら、石化してヒビでも入っていることだろう

そんなカズをたっぷりと観察していると、ようやく石化の魔法が解けたカズが乾いた笑いを漏らす

『…本気?』

『本気だ』

『えーっと…俺男だけど?』

『そんなことは知ってるさ』

『スネーク…もしかして、ゲイなのか?』

『いや、バイセクシャルだ』

『…そうか』

どうにか口八丁で逃げようとするカズの逃げ道を一つ一つ塞いでいけば、カズは不自然すぎる笑みを貼り付けたまま黙ってしまう
きっと今頃、何と言えば逃げられるか必死に考えているのだろう

本人は冷静でいるつもりかもしれないが、動揺しまくっているのがバレバレだ
目はキョロキョロと泳いでいるのに決して俺と目を合わせようとしないし、瞬きの回数もいつもより多い、しかも若干涙目だ
歪に上げられた口角の端もピクピクと震えているし、おそらく冷や汗であろう汗を大量にかいている
しかも、気づいてないらしいが体が小さく震えている

いつもの、クールで背筋を伸ばした副指令の顔からは想像できないほど動揺している
きっと俺だけしか見れないであろうその表情に、こっそりと微笑む
だが、あまり時間を与えれば口だけは達者で頭の回転が早いカズは思いもよらない逃げ道を見つけるかもしれない

『まぁ、カズが怖くて怖くてどうしようもなくて、泣いて土下座しながらやめてくださいどうか違うのでって頼むなら違う命令にするが』

なので、仕上げにカズの負けず嫌いなところを大いに刺激してやる言葉を投げかける
しかも、思いっきりバカにしたような笑みと声で

『怖いわけないだろ!俺は約束は守る!!今夜アンタの部屋に行くから首洗って待ってろよ!!』

案の定、普段は美徳といえる負けず嫌いを大いに刺激されたカズは、ムッとした表情で俺を睨み付けてきた
しかも、何だかよくわからない脅し文句と人差し指を突きつけてくるというオマケつきで

…ちょろいな

ドスドスと大きく足音を立てながら去っていく背中を眺めながら
俺はこっそりとほくそ笑んだ





これまでの経緯を思い出しながらシャワーを浴び
カズと同じくバスローブを羽織ってそこから出れば、遠い目で大人しくベットに座っているカズが視界に入る
思考の海にでも沈んでいるのか、俺が出てきたことにすら気づいていないらしい

「待たせたな」

カズの目の前に立ち、そう言ってやってようやくカズは俺に気づいたらしい
遠かった目がゆっくりと俺のほうを向き、あからさまに歪む

待ってねぇよ
むしろ永遠に出てこなければよかったのに

今にもそう言いそうな顔を眺めながら、カズの隣に腰を下ろす
その瞬間、カズは僅かに俺から離れた
よほどイヤで、ものすごく警戒されているらしい

「それじゃ、始めるか」

「えーと…マジでやるの?」

「マジだ」

「え〜…もうちょっとお喋りしようぜ?ほら、ピロートークは大事だろ?」

にっこりと、とてつもなく不自然に笑いながら両手を広げ
まるで演説のように言ってみせる
あまりにもバレバレな態度に、俺は笑い出しそうになるのをどうにか堪える

「そう言って、俺が寝るまで待つ作戦か?」

にまりと笑って言ってやる
その瞬間、カズの身体がビクッと跳ねて固まった
そして、ダラダラと顔に汗が浮かびだす

「そ…そんなわけないだろ?」

視線を横に流し、乾いた笑いを浮かべるカズに堪えきれず口の端が緩む

まさか、あんな演技で騙せると本気で思っていたのだろうか?

プルプルと震えながら逃げ道を探す様は、まるで肉食獣を目の前にした小動物のようだ
もう少しその姿を堪能していたいが、あまり時間を与えれば本気で逃げられかねない

「カズ、もう黙れ」

さらに何か言おうとした唇に噛み付いた
そのまま強引に舌先を突っ込み、上あごを軽く舐めてから奥で縮こまっている舌を舌先でつついてやる
その刺激に逃げようとする舌を絡みとり、先端を軽く吸えばビクリと身体を震わせた後、強張りがみるみるうちに抜けていくのを感じて小さく笑った

一通り舌の甘さを堪能して、ゆっくりと唇を離せば
ぼんやりと蕩けた瞳のカズと目が合った
キスだけで、感じてしまっているらしい

「…いい表情だな、カズ」

唇の間に伝う銀の糸を舐めとってやりながら、そう意地悪げに言ってやれば

「うるさい、バカスネークっ」

さすがにムッとしたのか俺を睨んでくる
けど、赤く染まって潤んだ目で睨まれても可愛いだけだ
堪えきれずニヤニヤとしていると、カズの顔がみるみる不機嫌そうに歪んでいく

「まったく、素直じゃないなぁカズは」

そんな表情すら可愛らしいものに映って
堪えきれず、小さく笑いながら白い首筋に顔を埋める
その瞬間、ビクリと大きく身体が跳ねる

軽く唇を落としただけで、過剰ともいえる反応をする身体に愉快な気持ちすら浮かび
そこにねっとりと舌を這わせてじっくりと味わう
軽く吸い付くだけで赤い華が咲く首筋に欲情を隠せず、バスローブの合わせ目から手を忍び込ませ胸の飾りを指先で軽く摘んでやる

「んっ…」

小さく声を上げるカズに気を良くしながら、愛撫するたびピクピクと跳ねる感度のいい身体にゆっくりと手を這わす
白い肌に舌を這わせ、時折吸い付いて華を散らし
胸の飾りを弄りながらもわき腹や腹を緩く撫でてやると
はぁ…と、甘い吐息が降ってきた

ちらりと、カズの表情を伺えば
しっかりと目を閉じ、ふるふると震えながら俺の愛撫に耐えている
恥ずかしいのか気持ちいいのか、目元がほんのりと赤く染まり、きゅっと唇が結ばれていて、その表情からは困惑が読み取れる
その姿は、壮絶な色気を放っていて
ずきずきと、下肢が酷く痛み出す

「(まずいな…)」

その感覚に、軽く焦りを覚える
このままではいつ理性が切れるかわからない
いや、それ以前に暴発もありうる

できれば、カズに手か口で一度抜いて欲しいが
今の状況でいっぱいいっぱいなカズにそんなことを頼めば、確実に行為を中断させざるおえないレベルで暴れるだろう

「(仕方ない…自分で一度抜くしかないか)」

「カズ…すまない」

一応、カズに断りを入れてから痛む性器を握り強めにしごく

「へ…?」

その言葉に、きょとんとした風にカズが目を開け
俺の行為を見て目を丸くして固まった
そんなカズを気遣ってやる余裕もあまりなく、俺は目を閉じて自慰行為に集中する

けど、突き刺さるような視線を感じ、チラリとカズを見れば
カズは驚いたような顔をしながらも、俺の行為から目を離さない
食い入るように見つめるカズの視線に、気恥ずかしさと妙な快感を覚え

「っ…」

早々に、絶頂に達してしまった

「すまんな…あのままだと、お前を傷つけてしまいそうだったもんでな」

一応謝っては見るものの、俺の視線はカズの腹の上に釘づけだった
カズの鍛えられた腹筋の上に零れ落ちた俺の精液
それが、カズを酷く汚してしまったように見えて、酷く興奮する

「は、はぁ…」

カズは俺の言葉がわかっているのかいないのか、呆けたような声で曖昧な言葉を返す
先ほどの行為に、ショックでも受けているのだろうか

「さぁ…じっくりと楽しもうか」

けど
もう、滅多なことではやめてやれそうにない
自然と、舌先が唇を舐める

その瞬間、カズの顔が凍りついた

「や…やっぱなし!!」

そう叫び、器用に身体を反転させて俺の下から逃げ出そうとする

発想はいい、防衛本能も素晴らしい
だが、やっぱりコイツは詰めが甘い

「おいカズ、今更やめるなんて言い出すな」

肩を掴み、全体重を掛けて上半身を沈めてやればカズはビクリと身体を震わせる
俺に攻撃してから逃げ出せば、おそらく逃げ出せたものを

「やだやだやだ!スネークのでかいし入るわけないしとにかくイヤだ!!」

「男らしくないぞカズ、」

「やっぱなし!男らしくなくてもいいとにかくやだ!」

半分涙声になりながら、どうにか俺のしたから這い出ようと手足を動かす
いくら普段鍛えてるとはいえ、マザーベースでの内勤が多いカズの身体は、普段から重火器担いで大型兵器やAI兵器の前を走り回ってる俺より細い
いつものじゃれあいならともかく、俺が本気になればカズは力では俺には敵わないだろう
カズも、それはよく知っているはずだ

「大人しく、しろっ」

「イヤだ!大人しくしたら掘るだろ!!」

「そういう約束だろうがっ」

「やだやだやだ!とにかくイヤだ!!絶っっっ対やだ!!」

それでも、何とか俺から逃げようと涙目になりながら必死に暴れている
じたじた暴れる身体を押さえながらも、その行動に笑みが収められない

だが、そろそろ大人しくしてもらわなければな

「つったく…大人しくしてろ」

暴れることに夢中なカズに気づかれないように、片手をゆっくりとカズの下肢に伸ばし
きゅっと、その性器を握ってやる

「うぁっ」

急に訪れた刺激に、驚きを含んだ声がカズの口から漏れる
暴れていたくせに半勃ちだったそれを少しきつめにしごいてやれば、あっという間に身体から力が抜けていく
男が特に気持ちいと感じる部分を刺激してやれば、みるみるうちに勃ちあがっていく
その素直な反応に、俺は内心ほくそ笑む

「うぁっ…ぁ、」

「何だカズ、逃げようとした割にはもうビンビンじゃないか」

からかうように言ってやれば、チラリとカズが振り返り一瞬こちらを睨みつけてくるが
きゅっと先端を擦ってやれば、あっという間に甘く蕩けていく

とろとろと零れる先走りを全体に塗り広げるように手をスライドさせ、ワザと濡れた音を響かせる
そのままカズの耳に吐息を流し込んでやれば、ビクンっと腰が跳ねシーツに顔を埋めた

絶頂が近いのだろう、腰と性器が小さく震えだす
だが、そう簡単にはイかせてやらない

手の動きを緩め、ポイントを外してやれば
どうして?と言いたげな顔でカズが振り向く

「や…スネークっ」

「どうしたカズ?そんな目で俺を見て」

物欲しげな目で見つめるカズに笑いかけてやりながら、ゆるゆると手を動かす
早くイきたくてたまらないのだろう
目は快楽に潤み、腰が揺れている

「も、おねがっ…スネークっ」

「逃げずに大人しく抱かれると約束できるなら、イかせてやる」

ついにおねだりまではじめたカズに、にやりと笑ってそう言ってやれば
一瞬、ふざけるなと言わんばかりに睨みつけられるが、気持ちいい場所を一瞬だけ擦ってやれば、その目が一瞬で甘く潤む

「約束する!約束するからぁ!」

結局快感と射精感に耐え切れず、こくこくと頷きながら懇願するカズに

「いい子だ、カズ」

にやりと、堪えきれない笑みを浮かべながら、望みどおり先端を引っかいてやると

「ふぅ、ぁっ」

甘い声を上げて、俺の手の中に精液を吐き出した


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