触れ合う君が愛しくて・1



長期の任務はなかなか辛いものがある
その間はずっと神経を張り巡らしておかねばならないし、飯もレーションばかりだし
何より、カズに会えない
無線の向こう側にいるから声は聞けるけど、触れられないし顔も見ることもできない

けど、そう悪いことばかりでもない





「ボス!長期任務、お疲れ様でした!」

2週間というなかなかない長期任務を終え、フルトン回収でヘリに乗り込むと、迎えに来てくれた兵士が嬉しそうな顔で迎え入れてくれた

「おう…カズは?」

いつもなら、ヘリに乗っているのはほとんどがカズなのだが
まさか、病気にでもなったのかと少しだけ心配になる

「ミラー副指令は、本日どうしても外せない用事がありまして…」

「そうか」

だが、兵士のその言葉にホッと息を吐く
任務終了直後にカズの顔が見れないのは残念だが、マザーベースに帰ればいやでも顔を合わすだろう
そう思い、マザーベースに帰るまでしばらくの間目を閉じていることにした

「お帰りなさいボス!」

その言葉を聞きながら、マザーベースに降り立つ
体中に溜まった疲労と、ようやく帰ってきた安堵感から大きく息を吐き出ながら辺りを見回すと

「ようボスお帰り!今回もなかなかの活躍だったな!」

敬礼する兵士達に混じって、カズが両手を広げて待っていた
どこかからかうように、でも嬉しそうに、ヘリの爆音に負けないくらい声を張り上げて

「ただいまカズ!お前のサポートのおかげさ!」

そんなカズの腕に、同じくらいの声を張り上げながら、その腕の中に体を預け互いに抱擁しあう
二週間ぶりのカズの温もりに、あぁ帰ってきたのだと深く実感した

兵士達も、どこか微笑ましそうに俺たちを見ている
まぁ、端から見れば仲のよい司令と副指令のじゃれあいに見えるのだろう

実際は、それ以上のものなのだけど

「後で、部屋に来い」

カズの耳元で、ヘリの爆音で他の兵士達には聞こえないくらいの声でそう言ってやれば
一瞬、カズの目が甘えるようなそれになり

「…すぐ行く」

そう、耳元で声がして
顔を上げたカズは、もう副指令の顔に戻っていた

体を離したカズは、兵士達と共にマザーベース内に戻り
俺もその後に続くように、兵士達と共に歩き出した





―コンコン

部屋の扉が控えめにノックされたのは
久々に会う兵士達に挨拶をされ、軽く食事を取りシャワーを浴び終えた頃だった

「カズ、遅かったじゃないか」

扉を開ければ、予想通りその向こうにいたのは今まで待ち続けていた可愛い恋人

「すまん、報告書の整理に手間取ってな」

困ったように笑うカズは、俺の隣をするりと通り抜けて部屋へ入ってきて
カズはふらりとベットのほうへ歩いていき、そこにとすんと座り込む
そのまま、じぃっと俺を見つめてくる

どうやら、隣に座って欲しいらしい

ねだられるままに隣に座ると、こてんと俺の肩に頭を乗せ、チラリと俺を見上げてくる
その仕草に、クラリとくる

まるで、甘えたな子猫のようだ
そんな仕草に甘やかして可愛がりたい気持ちと、苛めてやりたい気持ちが混ざり合う
少し考えて、ほんの少しだけ意地悪をしてやることにした

「今日は甘えただな…俺に会えなくて、そんなに寂しかったか?」

わしわしと、きっちりと決まったセットを乱してやりながら笑ってやる
我ながら、意地の悪い声が出たことに少しだけ苦笑する

『やめろ!セットが乱れる!!』

だの

『いや、口うるさいアンタがいなくて清々した』

だの
いつもの悪態が飛んでくると予想し
俺は寂しかったさ、などと言って恥ずかしがる様を堪能してやろうと思っていたが

「…かった」

「ん?」

「寂しかった…スネークに、会えなくて…」

予想に反して、カズは俺をチラリと見上げながら、ぼそりと呟いた
その目は、先ほどまでのキリっとした副指令のものとは違い、甘く潤んでいて
目元は、恥じらいからかほんのりと赤く染まっている

「カズ…」

「無線で声は聞けるけど…やっぱり、アンタに会えなくて寂しかった…」

恥ずかしそうに眼をそらしながら、それでも猫のように体を擦り寄せてくる
いつもの意地っ張りで負けず嫌いで、あまり素直でないカズが素直に甘えてくる様に、ズクリとくる

主に、心と下半身に

そんな自分に心の中で苦笑しながらも
愛しいカズに2週間も触れられなかった反動だ、と納得する

「俺も寂しかったさ、2週間もお前に会えなくて」

衝動のままカズを抱き寄せ、耳元で囁けば体がピクリと跳ねる
その仕草に少しだけいい気分になりながら、軽く口付ける

「ん…」

何度も唇に軽いキスを繰り返し、するりとわき腹を服の上から撫でてやれば

「スネーク…」

俺の意図に気づいたのか、カズが軽く胸を押してくる

「…いやか?」

さらりと額に落ちた髪を撫でなてやると
カズは、フルフルと首を振る

「でも…任務終わったばっかで疲れてるだろ?」

「いいや、カズの顔を見たら疲れが吹っ飛んだ」

心配そうに俺を見上げるカズに、ニコリと笑ってみせる
ここまでカズが素直になるのは珍しいのだ
そんなカズを堪能しとかないなんて、男の恥だ
据え膳食わねば…というやつだ

「カズ…今すぐ、お前が欲しい」

耳元に唇を寄せ
たっぷりの欲情を込めて囁いてやると、耳が一瞬で赤くなり
こくりと、小さく頷いた

「可愛いな…」

その仕草に、思わずそう呟いてからその柔らかな唇に触れる
一度軽く口付けてから、
軽く唇を舌先で舐めてやれば、唇がゆるゆると開かれる

「ん…ふっ」

その隙間に舌をねじ込んでやる
一瞬ビクリと震え、逃げようとする舌を絡めとる

そのまま、ベットのほうへ背中を押せば、カズの体はあっさりとシーツの海に沈む
そのまま夢中でお互いに唇を貪りあう
トロトロとお互いの唾液が混ざり合い、飲み下しきれなかったものがカズの口の横から漏れる

カズは、結構キスが好きだ
その証拠に、最初は逃げ腰だった舌が今は積極的に絡んでくる
うっとりとキスに溺れるカズをもっと見ていたいと思うが、あまりやりすぎると完全にダウンしてしまい次へ繋げにくくなる
それはそれで可愛らしいが、今日の目的はその先なので名残惜しいが唇を離す

「ぁ…」

その瞬間、カズの口から名残惜しげな声が漏れ
赤い舌先が俺のそれを追いかけて唇から僅かに覗いている

その様子にズクリと下半身が一気に重くなり、もう一度軽く濡れた唇にキスを落とす

今すぐその体を暴いて揺さぶりたい衝動に駆られるが、それをどうにか堪える
どうせ抱くなら、できるだけ相手にも気持ちよくなってもらえるよう抱いてやりたい
相手を痛めつける趣味は、俺にはない
首もとのスカーフを外してそこに唇を落とせば、カズの唇から小さく笑が漏れる

「何だ、そんなに笑って」

「だって、くすぐったい」

「じきに気持ちよくなる」

くすくすと笑いながら目を細めるカズに、小さく笑い返してやる
再び首筋に唇を落としながら、きっちりと着込まれた野戦服のボタンを外していく
何度も行われたその行為は、もう慣れたもので
最初の頃よりははるかに早く、ボタンが外れていく
上着をはだけさせると、カズは自分でそれから腕を抜く
ついでに、その下の白いシャツも脱がせてしまうと日に焼けてない肌が露になる

「スネーク、アンタも脱げよ」

自分だけ脱がされたのが気に入らないのか、カズは俺のシャツの裾を引っ張って抗議してくる

「なら、脱がせてくれるか?」

にやりと笑ってカズを見れば、カズは一瞬恥ずかしそうに目を伏せて
体を起こして、俺の背中に手を回した

「脱がせるから、腕上げてくれ」

シャツの裾を持って、上に引き上げられる
腕を上げてやれば、あっさりとそれが引き抜かれる

そのままでカズを抱きしめれば、直接触れ合う温かな肌が心地いい
トクトクといつもより速い心音が伝わってくる

そのままもう一度カズをシーツに沈め
唇に、額に、瞼に、頬に、何度もキスを落としていく
そのたびに、カズはくすぐったそうに笑う

それが何となく嬉しくて、二の腕や脇の近くなど、くすぐったがる場所に唇を落としていけば、堪えきれないという風にカズが笑う

「ちょ、スネーク…ふふ、くすぐったいって…」

くすぐったさから逃げようとする体を押さえつけて、ちゅっちゅっと唇を落とし時折肌を吸い上げる
そのたび、白い肌に紅い華が咲き、俺の中の独占欲が満たされていく

「も、やめ…くすぐったいってばっ」

「なら、これはどうだ?」

笑いっぱなしのカズに、ふっと笑いかけ
ちゅうっと紅く色づくソコに唇を寄せれば、カズの体がピクンと跳ね
さぁっと、頬に朱が走る

「ここも、くすぐったいか?」

「ぁ…」

ペロリと舌先で舐めながら、もう片方をくにくにと指先で押しつぶしてやれば、カズの口から小さく声が漏れる

「…そこは…」

「どうだ?」

「ん…きもち、いい…」

とろんとした目で俺を見つめながら
まるで、うわ言のように言葉を零す唇に一気に下半身が重くなる

いつもは、そこで感じることを頑なに認めようとしないくせに
まったく、2週間という歳月はここまで人を変えるものなのか

もう少し、可愛らしいカズの様子を堪能するつもりだったが
今日は、俺のほうが持ちそうにない

カズのズボンのベルトを外し、下着ごとずり下げて反応し始めた性器を露出させてやる

「スネーク?」

いつもより急性な行動に、カズが不思議そうに俺を見つめる
そんなカズを見つめながら、俺も自分のズボンと下着を取り払う

「カズ…俺の、触ってくれ」

カズの手を取って、完全に勃ちあがった己のソレへと導けば、カズはソレに柔らかく触れる
その刺激すらたまらないものに感じて、僅かに腰が跳ねる

どうやら、久しぶりの行為に自分でも思う以上に高ぶっているらしい

「何だスネーク、今日はもう我慢できないのか?」

ニヤリと、いつもの悪態をつくような顔でカズが笑う
そんな顔すらも可愛くて色っぽいと思ってしまう俺は、もう末期なのだろう

「あぁ…カズが可愛すぎるから我慢できそうにない」

仕返しに、ニヤリと笑ってやれば、かぁっとカズの頬が赤く染まり
小さく、バカスネークと呟いたのが聞こえた

中途半端に脱がされたズボンと下着を自ら脱ぎ
お互い膝立ちになって、互いの性器へと手を伸ばす

「あ、ん…」

ゆるりと勃ちあがるカズのソレに触れてやれば、ビクリと腰が跳ねる
そのままゆるゆるとしごいてやれば、気持ち良さそうな吐息が耳元を掠める

「カズ、俺のもしてくれ」

カプリと耳の軟骨を甘噛みしながら囁いてやれば、小さく頷いてゆるゆると手を動かしだす

「あ、ぁ…すねー、く…」

「ふ…カズ…」

男同士なせいか、何度も体を重ねたせいか
カズの手は、ゆるやかながらも的確に快楽のツボをついてきてとても気持ちがいい
お返しにカズのイイところを指で擦ってやると、カズの腰がビクリと跳ねる

くちゅくちゅと、先走りに濡れたお互いの性器から淫猥な水音が響き
時折性器の先端同士が触れあい、そのたびゾクリとした快感が腹を重くする

「んっ」

「ふ、ぅ…」

たまらず口付ければ、ぬるりとした舌が絡み合い
上と下、両方からの快感に体が開放を訴える

「うぁ、ぁっ…」

「くっ…」

俺が達したのと同時に、ドロリと手の中に精液が漏れる感覚がし、カズもイったのだとわかった

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