揺れる部屋の中で・2



「あ、ぁ…」

スカーフが外され露わになった白い首筋に噛み付きながら、ボタンの外れた野戦服に手を突っ込んで胸元を弄り回す
果物くらいなら切れるように、と備え付けられた台の上に手を置いて甘い声を出して身悶えるカズに、ずくりと下肢が重くなるのを感じる

久々だからたっぷりと可愛がってやりたいが、万が一にも腰が立たなくなってしまえば、間違いなく怒られる
それに、平和そのものとはいえ一応移動中だ
何かの拍子に、前にいるマングースたちが車を止めてこちらにやってくるともかぎらない
不満はあるが、早めに終わらせるとしよう
物足りなくても、1回ヤればある程度気がおさまる
たっぷりと可愛がるのは、マザーベースに帰ってからだ

そう判断し、早々にズボンのベルトへと手をかけて外す
そのままチャックを外せば、重力に逆らわずズボンがストンと床へと落ちる
露わになったグレーの下着に覆われた尻を軽く撫でれば、ピクリと体が跳ねて視線がこちらへ向けられる
すべらかな肌の感触を楽しむのもいいが、こうして下着越しに撫でてやるとカズは恥ずかしそうな、だが気持ち良さそうな顔をする
その顔に煽られてそのまま穴のあるあたりをグリグリ押してやると、カズの口から小さな声が漏れた

「も、それやっ…」

「何だ、直接触って欲しいのか?」

指先で刺激してやりながらそう言ってやれば
カズは恥ずかしそうに目を伏せるが、否定はしない
どうやら、カズも久々の行為に随分と興奮しているようだ

「舐めろ」

カズの興奮が、俺の興奮をも掻きたてる
下着越しに撫でていた指を、カズの口元へ持っていく
その指先に、ぬるりとした熱いものが触れる
柔らかく絡みつく舌に誘われるように、ゆっくりと咥内を傷つけないように中へと進めれば、ねっとりと粘膜が絡みついてくる
ヌルヌルと絡みつきながら唾液をまぶす舌の動きは、まさに奉仕をしているときのソレのようで
指先から生まれる甘い快感にゾクゾクとしながら、もう片方の手で下着をずり下ろす
そのまま、緩く反応を示す性器を握ってゆっくりと愛撫する

「んむぅ…ん、ん…」

カズの声から、くぐもった声が漏れる
奉仕のときのような声にたまらなくなり、唾液でヌルヌルになった指を引き抜く

「んぁ…」

名残惜しげな声と共に、カズがチラリとこちらを見る
その目に軽く笑いかけてやれば、カズは視線を伏せて俺がやりやすいように足を開き、少しだけ腰をこちらへと突き出す
その快楽に従順な様に、自然と笑みがこみ上げる

「ほら、力抜いてろ」

カズの唾液でたっぷりと濡れた指先で後ろに触れれば、一瞬きゅうっと驚いたように収縮し
まるで、ねだるように入り口が指を誘い込もうと蠢く
誘われるままに奥へと指を入れると、カズの白い喉が反りあがった

「あっ…」

ずるずると指を喜んで飲み込むソコは、もう柔らかい
どうやら、俺が思っている以上にカズは興奮しているらしい
試しに一度引き抜き、指を増やして再び押し込むと多少引きつりはするものの、拒絶される感じはない

「随分と柔らかいじゃないか…そんなに欲しかったのか?」

「あ、も、ばかっ」

からかうように言ってやれば、悪態はつくものの、違うとは言わない
涙を浮かべながら俺を睨みつけるその瞳も、快楽の色に染まっている

いつになく素直なカズの反応に、気分がいい
そのまま気持ちのいい場所を掻き回してやれば、甘い声を上げて腰を揺らめかせる
まるで、もっともっととねだるように

「すねーく…」

とろんとしたカズの瞳が、俺のほうをねだるようにチラチラと見る
中もとろとろに蕩けていて、もう入れても大丈夫そうだ
それに、俺もそろそろ我慢の限界が近い

「カズ…」

ほんのりと赤く染まる頬に軽いキスをし、指を抜こうと…

―プルル、プルル

した瞬間、すぐ側にある備え付けの無線機が雰囲気をぶち壊すようにけたたましい音を立てた

…これからが、いいところなのに

その音に、さっきまで快楽に溺れていたはずのカズの顔が、きりっとした副指令のものへと変化している
その切り替えの早さはさすがだといいたいが
俺としては、非常に面白くない

カズが無線機を手に取る前に
強引に、無線機をひったくる
驚いたように俺を見るカズにニヤリと笑ってやり
抜こうとしていた指を、再び中へと押し込める

「やっ…ちょ、無線っ」

どうにかして無線機を取ろうとするカズと体を密着させ、体重で押さえこむ
自然と顔同士も近づき、キッと睨みつける蒼い瞳が視点が合わないほど側にある

「声出すなよ、聞こえるぞ?」

その体勢のまま、耳元でそう囁いてやり
カズに見せ付けるように無線機のボタンを押した

「何だ、どうした?」

『あ、ボス…あの、副指令は…』

「今席を外している。どうした、緊急事態か?」

無線機から、マングースの戸惑ったような声が響く
おそらく、カズにも聞こえているだろう
さっきまで必死に無線機を奪おうと伸ばされていた手が、今は必死に口を押さえている
指をぐっと奥に突っ込んでやると、押さえ込んでいる体が小さく震えた

『あ、いえ…緊急事態というわけではないのですが…』

「そうか…俺が聞いても役に立たないことか?カズじゃないとダメか?」

『いえ、そういうわけでもないのですが、ボスが無線に出られて少し驚いてしまって』

「失礼だな、俺だって無線くらい出るさ」

無線機に向かって少し冗談交じりにそういえば、マングースが少しだけ笑ったのがわかった

「…お前、今笑ったろ?」

『い、いえ!笑ってませんっ』

「いいやぁ、確かに笑い声が聞こえたぞ?」

どうでもいい、じゃれるような話題でわざと会話を長引かせる
その間、たっぷりとカズを弄んでやる
いい所だけを重点的に攻めてやれば、体をビクビクと震わせながらも、早く終わらせろ!と言わんばかりに睨みつけてくる
ぐりっと指先が覚えている一番イイ場所を押してやれば、耐え切れないといった風にカズの口からくぐもった声が漏れる

『ボス、どうしましたか?』

「いや、ちょっと喉にマテ茶が行きかけてな」

無線機から聞こえたマングースの訝しげな声に、カズの耳が一瞬で真っ赤に染まり、プルプルと震えだす
マングースに無難な返事を返しておきながら、そのまま指をグチャグチャに掻き混ぜるように動かす
ビクビクとカズの体が激しく震え、必死に口元を押さえ歯を食いしばっている
声を出すまいと必死に耐えるカズの姿に、どうしようもないほどの興奮を覚える

「で、本題は?何か不都合なことでも起きたか?」

できるならこのまま突っ込んで揺さぶりたいが、それをしたら確実にカズの機嫌がマリアナ海溝のごとく急降下するのでそろそろ本題へと入る
マングースも、何か用事があって無線してきたんだろうし
後ろを弄る手は止めずに、マングースに本題を促す

『あ、はい、実はいつも使ってる道が土砂崩れにあったみたいで、迂回路を通るのですが…』

「予定より時間がかかるのか?」

『いえ、時間はさほどずれませんが、迂回路は少しですが整備されてない部分があるんですよ。だから相当揺れると思いますから、気をつけてくださいね』

「そんなにか」

『えぇ、改造したとはいえ、元は物資運搬用のトラックですから。副指令にも伝えておいてもらえますか?』

「わかった、伝えておこう」

ぐいっと指を奥へと押し込みながらそう言った瞬間
カズの体が、一際大きく跳ねた

「…だ、そうだ」

「ぷはっ…は、ぁ…」

俺が無線のスイッチを切ったのを確認したカズは、口元から手を外し大きく息を吐いた

「も、スネークのバカっ」

そのまま、涙目で力なく俺を睨みつける
頬を高揚させ、快楽に潤んだ瞳で睨まれても俺の欲が煽られるだけだ

「興奮しただろ」

「誰がっ」

俺の言葉に真っ赤になったカズは、キッと俺を睨みつけながら否定したが
白い太ももの隙間から棚を覗けば、とろりと白い粘液が壁に伝っている
カズがいくら後ろで感じるとはいえ、指だけでイくとこはあまりない
だが、そこをあまり問い詰めると機嫌を損ねて行為を中断されかねない

「なぁカズ…俺もそろそろ気持ちよくなりたいんだが」

耳元に欲情した声を流し込んでやりながら、白い尻にズボン越しにでもわかるほど高まりきった俺自身を軽く押し付ける
ここで行為を中断されて、困るのは間違いなく俺だ

「ぁ…」

俺の高まりを感じたカズは、小さく声を上げて俺を睨む瞳をとろりと蕩けさせた
どうやら、中断するほどには機嫌を損ねていないらしい
そのことに少しだけ安心しながら、俺は部屋の中を見渡した


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