お仕置き?いいえ尋問です・2



このマザーベースは、最初は本当に小さな洋上プラントだった
それをカズが指揮を取り改修して使えるようにし、さらに人数が増えるに従って増設、施設を各分野に専門化していくうちに、かなりの大きさになった

まぁ、何がいいたいかといえば、このマザーベースは人数が増えるたびに何度も増設を繰り返している
そのたび、ありとあらゆる施設…特に日常生活に関するものが増えていく
シャワールームも例外ではない
最初は衝立すらない、シャワーが10個ほどあるだけだったシャワールームも人数の増加、および女性兵士数の増加に伴い改築、増設を繰り返し
今では衝立とカーテンのついた立派なシャワールームとでかい浴槽のあるシャワールームが設置され、合わせて一度に60人近い人数が一度に入れるようになっている
そして、今回それら全てに繋がる様にサウナと水風呂が増設された

GMPの無駄だと思っていたが、今回ばかりはそのことに感謝した

カズの手を強引に引きながら、衝立のあるシャワールームへと引き入れ
一番奥の個室へと押し込み、自分も中へと入りカーテンを閉める

こうしてしまえば、外からは中の様子をうかがうことはできない

「な…何だよスネーク…」

勢いよく放り込んだせいか、壁に手をついて体を支えているカズが不安げな表情で振り返る
いつもは力強い自信に満ちた瞳が、今は不安と僅かな怯えに染まっている
そのことが、俺の中の嗜虐的な欲を煽る

「いや…お前のしたことについて、2人っきりで話しをしようと思ってな」

「あ、謝ったじゃないか!悪かった、もうしない…」

「まだ話は終わってないぞカズ」

早口なカズの言葉を遮ぎって言ってやると、カズの目が訝しげに細まった

そう、俺はまだ全てを聞いていない…もう1つ、疑念が残っている
今は問題になっていないから、二股を素直に謝るならそこには目を瞑っていてやろうかと思ったが
あれほど強情で俺の手を煩わせたのだ
謝ったのだって、俺に尻を叩かれて感じてしまったことを隠したいだけで本気で反省してはいないだろう
それなら、徹底的にやっておくにこしたことはない

二度と、そんなことをしようと思う気すら起こらないほどに

「まぁ…その前にお前の治療だ。のぼせて気持ち悪いんだろう?」

ニヤリと笑ってやりながら、シャワーのコックへと手を伸ばす
肌が触れ合った瞬間、カズの体がぴくんと跳ねて緊張で固くなる

そんなカズにかまわず、手に取ったコックを全開まで開く
もちろん、冷水で

「つめたっ!」

突然降り注いだ冷たい水に悲鳴に近い声があがり、前を隠していたタオルがバチャリと濡れた音を立てて床に落ちた
慌てて屈もうとするカズの脇から手を入れて抱え込むように体を密着させると、ぎくりと腕の中の体が強張った

「火照った体に気持ちいいだろう?」

耳元で囁いてちらりと下を見ると、予想通りカズの性器は勃ちあがっていて
内股を軽く撫でてやれば、カズの体がビクビクとおかしいほどに跳ね上がる

「や、やめてくれ…スネーク…」

その手を、カズの震える手が制するように掴むが、まったく力の入っていないそれはまるで行為を促すようにすら思えてきて、自然と笑いがこみ上げてくる

「なぁカズ…一体どんなプレイをしたら、こんな場所に傷が付くんだ?」

手を掴まれたまま、傷があるだろう場所に指を滑らせれば、困惑した瞳がゆらゆらと揺れる

「普通内股に傷なんか付かないよなぁ?しかも、爪で引っかいたような傷なんて」

「そ、それは…」

「言えないようなプレイなのか?」

「………」

カズはまた、ふいっと目をそらしてだんまりを決め込む
その横顔に、苛立ちと愉快さが混ざった不思議な感情が俺の胸を支配する

いい加減、理解しろ
素直にならなければ、酷い目にあうのだと

「言いたくないなら、言わなくてもいいぞ…酷い目にあいたいならな」

内股から手を離し、未だ冷水を吐き出すシャワーを手に取り
そのまま、カズの性器に押し当てる

「ひっ…」

その瞬間カズの喉から引きつったような声が漏れ、白い背がびくんっとしなる

しっかりと冷やされた冷水
しかも水圧は最大
刺激としては、かなりのものだ
むしろ、痛いくらいかもしれない

だが、これくらいがお前にはちょうどいいだろう?
何せ、俺に尻を叩かれて感じるくらいだからな

ゆっくりとシャワーを動かしてやれば、薄く開いた唇から熱い吐息が漏れ、快楽に体が震える

「ひぃっ…う、ぁっ」

やがてびくんっと体が一度大きく跳ね、ガクリと力が抜けた
肩で大きく息をするその様子からは、イったことが伝わってくる
手を伸ばして水を止め、シャワーを元の位置に戻し

「気持ちよかっただろう?火照った体に冷たい水は」

からかうようにそう言ってやれば、抗議の意を含んだ瞳が俺を睨みつけてくる
まだ、俺にそんな目ができるのか

「も、いいだろ…俺が悪かった、ガゼルにもスワンにもちゃんと謝る…」

「そうだな、彼女達にちゃんと謝っておけ」

「だから、もう…っ」

「言っただろう?俺の話はまだ終わっていないと」

どこか懇願するように俺を見るカズに小さく笑って見せ
快感の余韻にフルフルと震える尻を掴み
石鹸を絡めた指を後ろに押し込んだ

「あぁっ…」

するりと何の抵抗もなく後ろは指を飲み込み、カズはピクリと背をしならせて甘い声を上げる
その反応に、ずっと抱いていた疑念が確信に変わる

「カズ…お前、男とも寝てるな?」

指をゆっくりと動かしてやりながら耳元で囁けば、カズの肩がビクリと跳ねる

経験がなくても触れられれば気持ちよくなれる性器とは違って
後ろは経験がなければ、触れられたり指を入れられたりしても気持ち悪いだけだ
それどころか、酷い痛みを感じることもある

けれど、カズは何の抵抗もなく指を飲み込みあまつさえ快感を感じている
経験がなければ、こうはいかない

まぁ、軍隊というのは基本男やもめだ
男同士で下半身を慰めあうのは珍しくない
軍隊で人生のほとんどをすごしてきた俺も、男との経験がないといえば嘘になる
見た目だけは抜群にいいカズに男の経験があってもおかしくはない

だが、この反応はおかしい
反応が良すぎるのだ
もう一度言うが、軍隊みたいな男やもめの特殊な場所では、男同士で下半身を慰める…つまりセックスをすることも珍しくはない
だがそれは、女に困っているやつ限定だ
カズのように見た目がよく、なおかつ女の扱いが非常にうまいやつは、基本的に女には困らない
女に困らなければ、あえて男と寝る必要なんてない

そして、後ろは快感を感じる場所はあるものの、本来セックスに使う場所じゃない
女でさえ、長いことセックスをしなければ初めてのときのような痛みを感じるという
男で後ろなら、少しの間使わなければ痛みを感じ違和感を覚えるだろう

それがこうして感じているということは
今でも、男と寝ているということだ
しかも、かなり頻繁に

その事実を物語る体に、さらにある疑問が浮かんでくる

「もしかしてお前…アルマジロとも寝たのか?」

最初から気にはなっていた
アルマジロとスワンは恋人同士だった
そして、アルマジロはカズとスワンの石鹸プレイ…つまり、愛しい恋人の浮気現場を見た
それでマザーベース中のウミネコが飛び立つほどの勢いでコケ、尾骨骨折で1ヶ月の入院生活を送るはめになったというのに
アルマジロは、何も言わなかった
その場でカズを責めることもなく、見舞いに行った俺がそれとなく言ってみても

『副指令はモテますからねぇ』

と、困ったように笑うだけで文句の1つも口にしかなった
上司であるカズに遠慮しているのかと思ったが、どうも引っかかっていた

ココの連中は、男も女もどうにもカズに甘い奴らばかりなのでそのせいかとも思っていたが
もしも、カズがアルマジロとも寝ていたのだとすれば合点がいく
アルマジロもスワンに内緒でカズとセックスをしていたとしたら
カズを責めることも、文句を言うこともできないだろう
自分だって、スワンと同じなのだから

「言え…アルマジロとも寝たのか?」

ぐっと指を奥へ突っ込んでやると、ビクリと腰が跳ねる
が、カズは口を割る気はないらしい
喘声を抑えようとして手を口にはやっているが、それでも頷くぐらいはできるだろう
けど、カズはフルフルと体を震わせながら快楽に耐えるだけで、俺の言葉に何ひとつ反応しようとはしていない

いったいどこまで強情なんだこの男は

そのあまりにも頑なな態度に
どうしても、口を割らせたいという衝動が湧き上がってくる

「よし…じゃあ質問を変えよう。お前、ここにきてから何人の男と寝た?」

ぐりぐりと、中の僅かに膨らんだ場所を押してやると

「うっ…ふぅ、んっ」

カズの口から抑えきれない喘声が漏れだす
手で押さえられてるせいでくぐもっているそれがシャワールーム全体に響き渡る

「やめて欲しいか?カズ」

「ったり、前だっ」

「なら正直に答えろ、何人の男と寝た?」

ぐちゅぐちゅと音を立てて攻め立てると、くぐもった声を上げながらふるふると首を振るが、中は誘うようにキツく締め付けてくる
口と体では真逆の反応を示すカズに、ゾクゾクと欲情が刺激される

「ほら、素直に言わないと、酷い目にあうんだぞ?」

一度指を引き抜いてから、指を増やして再び中に押し込む
一瞬だけ引きつるようにソコが震えたが、すぐに甘く飲み込んでいく

「くふぅっ…うぅっ」

「ほら、素直になれ…何人の男と寝たんだ?ん?」

幼子をあやすような口調で、指をバラバラに動かしてやれば手のひらに覆われた口から酷く甘い声が漏れだす
が、カズはなおもふるふると首を振る

やはり、素直に言うつもりはないらしい
素直に言わないと、酷い目にあうとこれほど教えてやったのにな

どうやら、もっと酷い目にあいたいらしいな…カズ


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