Tentacle・2



ふわり
どこからか、甘い甘い匂いが香る
まるで、思考まで溶けてしまいそうなほど、とろりとした強く甘い匂い
まるで誘われるように、匂いが強くなる方向へ歩いていく
近づけば近づくほど、濃く甘くなる香りに頭がくらくらする

その先にあったのは
美しい、小さなピンク色の花
キラキラ輝くその花にそっと触れようと手を伸ばし…

「…ゆめ…?」

そこで、目が覚めた
うっすらと目を開ければ、枕もとの照明に見慣れた天井がほのかに照らされている

あれ…?俺電気消して寝たはずなのに

ぼんやりとした頭で、そんなことを思う
眠るとき、万が一のときのためにほのかに照明を明かして眠るが
けど、今ついている照明は、眠る前に確かに消したはずだ

不思議に思って、起き上がろうと体を動かそうとして

「…あれ?」

違和感に、気づく
体が動かない
指先まで何故か甘く痺れて上手く力が入らない
それだけじゃなく、四肢を何かに縛られているような感覚もする

「(敵襲!?)」

とっさにそう思って、一気に体が緊張する

だが、おかしい
俺は確かに、マザーベースの自分の私室で眠ったはずだ
現に、今見えている天井も、見慣れた自分の部屋のものだ

そんな場所で、敵襲?
実戦経験の浅い俺は、確かに一度眠るとなかなか起きることができなかったりするが
けど、マザーベースが襲撃を受けているのに、のんきに眠っていられるほど平和ボケはしていないはずだ
それに何より、敵襲なら、こんなに静かなはずがない

なら…イかれた兵士が夜這いでもかけに来たか?
いや、それもない
一応、ココはMSFの副指令である俺の私室だ
部屋の扉は、特殊な鍵を使わなければ開かない仕組みだ
そして、ココの鍵を持っているのは、俺と司令官のスネークだけ
スネークが兵士にこの部屋の鍵を貸すとも思えないし、俺も鍵を落としたりはしていない

じゃあ、何でこんなことになっている?

パニックに陥りそうな頭を、深呼吸することでどうにか冷静にし
状況を確認しようと、辺りを見回して…気がついた

腕に、何かが絡み付いている
緑色の、そう、まるでつる草のような…

…つる草?

ふと、頭の中に
今日の夕方の出来事が、思い出される

まさかな…と、背中に伝う冷や汗と嫌な予感を拭いきれないまま、鉢を置いた場所を見やれば

嫌な予感が、的中していた

俺の腕に絡むつる草は、確かにそこから伸びていた
腕だけじゃなく足にも絡みつき、さらに様々な太さのつるがまるで触手のように蠢いている

「(マジでUMAだったのかよ!?)」

どんな状況に陥っても、冷静でいられるように様々な訓練や知識を溜め込んできたが
さすがに、触手もどきのUMAに絡まれているというのは想定外すぎて、頭が真っ白になる

蠢いている触手の1本が、ぬるりと俺の頬を撫でて
ぞわりと、肌が粟立つ

一瞬で、食虫植物という単語が頭の中を過ぎり
ゾッと、背筋が凍りついた

「いやだっ…離せ!」

こんなわけのわからん触手に食われるとかいやだ!

どうにか振りほどこうと、必死で手足を動かしてみるものの
何故か力が入らない上に、がっつりと触手が絡み付いていてピクリとも動かない

「離せっ…こんなとこで、死ぬとかごめんだ!!」

それでも、どうにかして逃れようともがく
下着とシャツ一枚だけで寝ていたせいで、武器も身につけていない
枕の下に銃があるが、そこまで腕を伸ばせそうにない

「くそっ…離せ!俺なんか食っても美味くないぞ!?」

もがき続ける俺を観察するように、1本の触手が俺の目の前にやってくる
照明に照らされたそれは、先端がぬるりとした液体で濡れていて
それで溶かして食う気なのかと、恐怖にも似た感情が湧き上がる

触手が、まるで意思を持っているように俺の周りをゆらゆらと揺れ
するりと、首筋を濡れた先端で撫で上げた

「あぅっ」

その瞬間、口から甘い声が漏れて
ぞわりと、先ほどとは違う甘い感覚が背筋を駆け抜ける

「ぁ、なん、でっ…」

ぬるぬると、まるで首筋を舌で舐められているかのような感覚に、ゾクゾクと背筋が震える

おかしい
だって、俺の体はこんなに敏感じゃないはずだ
首筋を刺激されただけで、こんな…

混乱しきった頭で考えていると
ふわりと、甘い香りが漂ってきた

夢の中で嗅いだ、あの強い甘い香り
思考が解けてしまいそうなほどの、とろりとした濃い、麻薬のような香り

その香りに、思考が奪われていく
まるで、頭の中に霧がかかったみたいにぼんやりとして
逃げなければと思うのに、体からは逆に力が抜けていく

俺の体から力が抜けきったのが伝わったのか、手足に絡む触手が動き、腰を高く持ち上げられる

「ぁ…い、いや、だっ…」

どうにかして抜け出そうとしても、力の抜け切った体では指一本すら動かない
せいぜい、体を捩るくらいしか俺に抵抗するすべは残されていない

首筋の触手が、ゆるりとそこから離れ
襟元から、シャツの中へともぐりこんでくる

「やぁ…っあ、やめっ」

そのまま、ぬるりと鎖骨やら脇下やらを這い回る
その触手につられるように、蠢いていた触手たちがゆっくりと俺に近づき
ありとあらゆる場所を、這いまわり始める

「いやだっ…あぁ、いや、だぁっ…」

シャツの裾から入ったものが、乳首をまるでこねくり回すように動き回り
わき腹や背筋を、ぬるぬるとした先端で擽るように動かれれば自然と声が出てしまう

下肢にまわった触手は、内股を嘗め回すように這い回り
下着のふちを、まるで焦らすようにゆっくりと這う
ゾクゾクと快感が背筋を走りぬけ、力の抜け切った足をそれが支えている

まるで、沢山の舌に体中嘗め回されているような
沢山の指で体中撫で回されているような
そんな感覚に陥る

「も、いやだっ…誰か、たすけっ」

どうにかして逃れたくて、どうにかして助けを呼ぼうと声を出そうとした瞬間

「んむぅっ」

口の中に、太い触手が入り込んできた

「んむっ…んー!」

ずるずると、口の置くまで入り込むそれに息が苦しくなる
ふるふると首を振っても、それは抜けるどころかぬるりとした物を吐き出しながら咥内で蠢いている

ぬるりとした液体が舌先に触れ
同時に甘い蜜のような味を感じる
粘っこくて、舌が焼きついてしまいそうなほど濃くて甘い、極上の蜜の味

甘い香りに
蜜の味に
与えられる快感に

思考が、ドロドロに融けていく

「んぅ…ん…」

舌先を伸ばして甘い蜜を求めれば、とろりと先端から蜜が漏れ
夢中で、それに吸い付いて啜る
こくりと飲み下せば、腹の奥がじぃんと熱くなるような気がして
もっと、強い刺激が欲しくなる

「んぁ…ふ、んむぅ…」

下着の中で性器が完全に勃ちあがり、とろりと蜜を零しはじめる
物足りなくて腰を揺らせば、内股を撫でていた触手がゆらりと動き
下着越しに、先端を撫でられる

「んむふぁっ」

与えられた強い快感に、体がビクビクと跳ね上がる
あまりの刺激に、口の中のそれに軽く歯を立ててしまい
それに驚いたのか、口の中から触手がずるりと抜かれる

「ふぁっ…あ、あぁっ」

下肢の触手は、下着越しに形を確かめるようにぬるぬると蜜を塗りつける
下着越しとはいえ、敏感なソコを刺激される快楽に、腰がビクビクと震える

やがて先走りと蜜で濡れきった下着を、ゆっくりと剥ぎ取られ
ふるりと、ぬるぬるになった性器が顔を出し
我先にと言わんばかりに、触手がそれに絡みついた

「ひゃっ…あ、やぁっ」

ぬるりと絡みつき、締め付けるように動き回るもの
先端をぬるぬると弄り回すもの
それらが合わさって、極上の快感が体を駆け抜ける

「あぁっ、も、イくっ、イっちゃっ」

あまりの快感に、我慢する暇もなくあっという間に絶頂が訪れる
胸にまで飛び散った精液をまるで舐め取るように、触手がそれに群がってくる

「やぁっ…あ、やぁっ」

イったばかりの敏感な体には、それすら甘い刺激となって俺を攻め立てる
やがて、一滴残らず舐め取られるころには、体からはすっかり力が抜けきっていた

くったりと、体の力が抜け切ったのを見計らっていたのか
ぬるりと、後ろを触手が撫で

「ひっ…やぁぁっ」

ゆっくりと、体の中にもぐりこんできた
触手自身がだすぬるぬるした液体と、体の力が抜け切っているせいで痛みはない
むしろ、ゾクゾクとした快感が駆け上がる

何かを擦り付けるかのように、ゆっくりと体の中でそれが蠢く
触れた場所が、まるで燃え上がるかのように熱くなって
その場所をもっと弄って欲しくて、どうしようもなく切なくなる

「ぁ、ぁ…」

ゆるゆると動かされるたび、きゅうっと刺激を求めて後ろが締まる
焦らすような、ゆっくりとした動きに体が物足りなさを訴える

「いやぁっ…ふ、うあぁっ」

もっと、もっと激しくして欲しい
後ろをぐちゃぐちゃに掻き回して欲しい

まるで、俺のそんな蕩けた考えを読んだかのように
ぬるりと、もう1本触手が入り込む

「ひ、あぁっ…あ、あ、ぁっ」

その瞬間、先ほどまでのじれったい動き激しく掻き回されて
待ち望んでいた快楽に、体が歓喜の悲鳴を上げる

奥へ入り込む2本のそれがぐちゃぐちゃと後ろを掻き回す
そのたび、ぬちゃぬちゃと濡れた音が響いて、耳からも快感が煽られる

どうしようもないくらい、気持ちいい
今まで感じたことのない快楽に、体中が震えて声が止まらない

「ふ、ぁ…?」

後ろから与えられる快楽に溺れていると
先ほどまで口の中を蹂躙していた触手が、ゆるりと俺の唇を撫でた
とろりと蕩けた頭で、反射的にそれに舌を伸ばし、甘い蜜が滴る先端をチロリと舐める

まるで、その行動に満足したかのように、ゆるりと触手が離れ
同時に後ろの触手が、ぬちゃりと後ろを広げるように左右に引かれ

「あ…あぁぁぁっ」

その隙間に潜り込むように、太い触手が中へと入ってくる
体内を圧倒的な質量が蹂躙していく、異物感と違和感
それを打ち消すほどの、強烈な快楽

「あ、あ、あぁっ」

ずりずりと、後ろを触手が出入りするたび感じたことのない強烈な快感が脳へと駆け上がり
その間も、細い触手が這い回って体中が刺激される

意識が吹っ飛んでしまいそうなほどの強烈な快感に、瞼の裏がスパークして
ガタガタと、体中が震える

「ふぁっ、あぁ、やぁっ…ああぁぁぁぁっ!!」

グイッと奥を突き上げられ、性器をぎゅうっと搾り取るように攻められて
目の前が真っ白になり、ドクリと精液が噴出した

「ひぃっ…や、やだっ、やめ、ひあぁぁぁっ」

けれど、体の中を蹂躙する触手も、体中を這い回る触手も
攻めの手を休めてはくれない
逆に、さらに快楽を煽るように、全身を這い回り蹂躙する
そのたびに、電気のように強烈な快感が体中を駆け巡る

強すぎる快感は、苦痛にも似た感覚となって攻め立てる

「いやだぁっ、も、ゆるしっ…あ、あぁぁっ」

奥を突き上げられるたび、ほぼ強制的に精液を吐き出さされ
それを嘗め回すように這いずり回る触手に、また快感が煽られる

終わりのない、底なし沼みたいな快楽
あまりに気持ちよすぎて、恐怖すら湧き上がってくる

堕ちたいのか、抜け出したいのかそれすら考える暇もなく

「いやだぁぁっ…あ、ふぁぁっ…ひぃっ」

ただ、与えられる快楽をひたすらに享受した

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