In the interstice of reason and shame・1



「んっ」

夜も更けた、スネークの私室
ただ、書類を届けにきただけなのに
一瞬で抱き寄せられ、腰に手を回されて口付けられる

スネークの舌が咥内に割り込んできて
そのまま、舌を絡め取られてしまう
苦い葉巻の味と、トロリと蕩けてしまいそうな甘さが交じり合って
頭の中が、クラリと揺れて融けてしまいそうになる

とろりとした感覚に、いつものように身を委ねてしまいたくなるけど
けど、今日は流されるわけにはいかない

スネークのバンダナを引っ張って肩を叩けば、スネークはゆっくりとだが離れてくれた
最後に、唇を舐めて俺を煽るのを忘れずに

「どうしたカズ?」

一応話を聞く体制はとっているものの、目の前のスネークはすごく不満そうだ
顔は離してくれたものの、腰に回された手は離す気配がない

「…今日は、シたくない」

「どうしてだ?」

「明日、新兵達に訓練付けてやらなきゃならないんだよ」

あからさまに訝しげな、それでいて嫌そうな顔をするスネークの手を軽く叩いてやりながらきっぱりと言ってやる

スネークとのセックスは、気持ちいいし好きだ
好きな恋人と1つになれる快感と安心感は、言葉では表せない
できるなら、俺だって拒みたくない

けど、男同士のセックスというのはどうしても体に負荷がかかる
受け入れる側の俺は、特にでかい
訓練前には、あまりシたくないのだ

「いつも、ヤった次の日だろうが訓練してるじゃないか」

俺の言葉に、スネークがあからさまに顔を歪めた

確かに、最近は負荷に体が慣れてきたのか
激しくした次の日でも、兵士達の訓練がつけられるようになってきた

「明日は新兵達の訓練だ。万が一にも舐められるわけにはいかないからな」

けど、明日はまだここにきたばかりの、新兵達の訓練だ
すでにスネークに忠誠を近い、ここで生きる兵士達とは違う
ほんの僅かでも隙を見せれば、あっという間に付け上がるだろう

だからここで舐められてしまえば、MSFのためにも、スネークのためにもならない
だから、万全の体調で挑みたいのだ

「別にいいじゃないか。舐められたくないのなら、明日は俺も訓練に顔を出そう」

けど、スネークはどうしても今俺を抱きたいらしい
ゆるりと、腰に回された手が下へ降り、指先が尻の谷間を撫でる
まるで情事を思わせるその動きに、ゾクリと欲情に火が灯り
強く求められている喜びに、つい身を任せてしまいそうになる

「だって…しつこいんだよアンタ、回数多いし」

けど、その感覚をどうにか振り切って、威嚇するようにスネークを睨みつけた

もう一度言うが、スネークとのセックスは気持ちがいいし好きだ
だが、この男のセックスは、案外ねちっこくてしつこい
いつもドロドロになるまで体を弄くられ、意識が吹っ飛びそうになるまでイかされ続ける
しかも、遅漏という嫌なオプション付だ
情けない話、スネークが一度達する間に、俺は何度となくイかされる
オマケに、体力の有り余っているスネークは当然一度達したくらいでは満足しない

結果、終わる頃には俺の体力が限界を超えていることも少なくない
最初の頃は手加減されていたにもかかわらず、半日ベットから起きられないということもしょっちゅうだった

それなのに、最近は慣れて次の日に訓練もこなせるようになったのだから、人間の順応性の高さには本当に感心するしかない
自分で体験しているのだから、なおさらに

「それじゃあ、1回だけならどうだ?」

「1回?」

けど、スネークはなおも食い下がってくる
いつも好き放題なくせに、ものすごく珍しい提案までしてきた

「そうだ、カズがもう一度シてもいいと言わない限り、今日は1回でやめにする。しつこくもしない」

スネークのあまりの真剣さと
そこまで求められる喜びと
僅かに灯った欲情に突き動かされ

「…1回だけなら、してもいい」

1度だけならと、小さく頷いた

「カズ…」

俺の言葉にふっと表情を緩めたスネークは、再び俺に口付ける
一瞬の触れるだけのキスは、すぐに深いものへと変わり
ほぼ同時に、背後のベットへと押し倒される
ギシリと、スプリングが軋む音が部屋に響き、僅かに興奮を煽られる

うっとりと、深いキスに酔い痴れていると
カチャカチャと、ベルトを外す音が聞こえてきて
あっという間に、ズボンが下ろされる
それを抗議するまもなく、スネークは俺の脚を大きく開かせて後ろを軽く撫で
とろりと、その場所にベットサイドから取り出したローションを垂らした

「ちょ、いきなりっ!?」

「しつこいのはイヤなんだろう?」

確かにそう言ったけどっ
でも、いくらなんでもコレはいきなりすぎる

いつもは、胸やら性器やらを散々弄られて、半ばわけがわからなくなり始めた頃に後ろを弄られる
こんな風に意識がハッキリしてるときに弄られるのは最初のとき以来…いや、初めてかもしれない

ぬるぬると、ローションの絡んだ指が入り口を擽るように撫で、揉み解すように押される
そのたびに、むずむずした快感と、そんな場所を弄られているという羞恥心が湧き上がってくる
溺れるほど強くない、緩やかな快感
そんなものでは、当然理性や羞恥心を捨てきれない

「イヤだ、スネークっ…恥ずかしい、コレっ」

「何を今更、何度セックスをしたと思ってるんだ?」

からかうようなスネークの言葉に、カッと顔が燃えるように熱くなる

いつも、俺はスネークにこんなみっともない姿を晒しているのだろうか
いや、快感でぐちゃぐちゃな分、もっとみっともないんだろう
そんな姿を、いつもスネークに見られてるなんて
今も、スネークはどこか楽しげに俺の体を舐めるように見回している
いつもは気にならないその粘っこい視線に、まるでその場所を直接愛撫されているかのような感覚に陥る

やめてくれ、そんな目で見ないでくれ
見られているだけなのに、体が熱くなってしまう俺を
後ろを緩く弄られているだけなのが、もどかしくてたまらなくなっている俺を
こんなみっともない俺を、見ないでくれ

こんな時、体の反応を隠せない男の性を恨みたくなる
触られてもいないのに、完全に勃ち上がって刺激を求めて震えるそれは、スネークからも丸見えだろう

せめてもの抵抗に、顔を腕で覆い隠して表情を隠す
顔だけでも、あの粘っこい視線から隠したい

「どうしたカズ、今日はずいぶんといい反応をするじゃないか」

そんな俺に、スネークはクスクスと笑いながらも後ろを弄る手を止めない
ゆっくりと撫でながら揉み解し、じわりじわりと俺を追い詰めていく
時折指先だけをぬるんと一瞬中に入れられて、喉の奥から声が漏れた

「も、やだっ…しつこくしない、て…い、た、のにっ」

「解さないで突っ込めば、明日ココが痛いだろう?そうなれば、訓練で困るのはカズだ」

確かにそうだが、いつもは指くらいは遠慮なく突っ込んでくるくせに
今日に限って、じれったいくらい緩やかで丁寧な愛撫をしてくるなんて
早く入れてくれとすがりたくても、未だ残る理性と羞恥心が邪魔をしてすがれない
それとは相反するように、本能と体は早く快感が欲しいと訴える

撫でられるたび、ソコが指を欲しがってきゅうっと甘く疼く
そんな体の反応すら恥ずかしくて、無性に泣きたくなってくる

涙目になりながら、でもこの熱をどうにかして欲しくて
少しだけ、交差させた腕を下に下げ
その隙間から、スネークを睨みつけてやった


- 21 -


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -