sweet&sweet?



「………」

痛いほどの静寂が支配する、スネークの部屋
きっちりと締められたカーテンの、僅かな隙間
そこから漏れる光が部屋を満たす葉巻の煙を照らし、いくつかの筋となり、スネークの座るベットへと落ちる
カーテンを開けるまでもなく、外がいい天気だということはわかる
普段なら、これほど天気のいい日には訓練だの、訓練だの、訓練だの…おおむね訓練に時間を費やすスネークだったが、今日は珍しく一歩も部屋から踏み出すことなく引きこもっている
煙の発生源…ただ口に咥えているだけの葉巻の先端から、ポロリと灰が崩れて膝に落ちる
だが、それでもスネークはただ呆然と空を見つめていた

「(…これは、タチの悪い夢じゃないだろうか?)」

今日目を覚ましてから、何度となく思ったそんな幻想にも似た思考がスネークの頭を過ぎる
だが、そんな淡い希望は隣に座る存在…ミラーによって粉々を通り越すほどに打ち砕かれている
ミラーもスネークと同じように、シャツを羽織ってベットに腰掛けている
ミラーもこれほどのいい天気なら…いや、いい天気だろうが悪い天気だろうが、普段から書類整理だのスポンサー集めだの兵士達の指導だの、忙しく動き回っている
だが、そんなミラーも、今はスネークと共に部屋に閉じこもり、ぼんやりと空を眺めている
虚ろを通り越して無にすら見えるミラーの顔から、ゆっくりと視線を下へとおろしていく
肩に引っ掛けただけでボタンは留めていないシャツの、その開いた部分
そこから、2人がこうしていい天気だというのに部屋に閉じこもり、何をするでもなく空を眺めている原因
本来あるはずのない、白く柔らかそうな2つのふくらみがチラリと覗いている
それをしっかりと目に焼き付けて、改めて自分の体を見下ろせば
そこにはミラーと同じような、本来あるはずのないふくらみが確かな存在感を放っていた

目を覚ましたら、体が女になっていた
遠い昔から使い古された、御伽噺にしか存在しない、現実には絶対にありえない事態
まさかそんなことが己の身に降りかかるとは、夢にも思っていなかった
事実は小説より奇なり
ミラーの祖国の古い言葉らしいが、これほどの事態はいくらなんでも異様過ぎないだろうか
幽霊やあの世とこの世の境目といった、世間一般ではありえないとされがちな物を見てきたスネークですら、未だにこれを現実だとは認識できていない

「なぁ…なんなんだろうな、これ…」

「俺が知るか…」

だが、さすがにまだ若いからというべきか、思考の切り替えが早いせいか
先に冷静さを取り戻したのは、ミラーの方だった
大きくため息をつきながらも、興味深そうに自分の体を観察するミラーに、スネークもため息を吐いて咥えていただけの葉巻を消した
少しでも落ち着こうと火をつけていたのだが、もう意味はない
この異常事態にも興味深そうなミラーに、多少なりとも考える余裕というものが出てきた
パニックが伝染するように、冷静さも伝染するのかもしれない
そんなことを考えながら、スネークはミラーと自分の体を観察する
互いに一回りくらい小柄になったせいか、体格差そのものはあまり変わらない
だが、体型は恐ろしく違う
スネークの実戦用に鍛え上げられた肉体は、女になっても変わらずがっしりとしていて、量は少々落ちているがきっちりと筋肉が付いている
対するミラーは、やはり内勤が多く筋肉量がスネークよりも少ないせいか、とても女性らしい体つきをしていて、全体的に程よくむっちりとしている
胸も、平均サイズを胸筋で底上げしたようなスネークのものと違い、柔らかそうで形もよく、しかもサイズは明らかに平均以上
柔らかくて抱き心地が良さそうだ、と一通り自分とミラーの体を観察し終えたスネークは、若干の邪な感情交じりに上から下までじっくりとミラーの体を眺める

「いやん、スネークのエッチ」

スネークの不躾な視線に気付いたミラーは、小さく笑いながらふざけて胸を腕で隠した
その際腕に胸が寄せられ、意図せずに見事な谷間が作られる
それに釘付けになっているスネークに、ミラーは小さく苦笑し

「…あ、」

そして、あることに気付いた

「どうした?」

思わず漏れたという声に、スネークは見事な谷間から視線を外して顔に視線を戻す
その表情にあからさまに残念そうな色が見え、ミラーは今度こそ苦笑した

「いや、そういえばヒゲのないアンタの顔初めて見るなぁって」

初めてみるひげのないスネークの顔を、ミラーはどこか楽しそうに覗き込む
事実、2人が出会った頃にはスネークの顔にはすでに立派なヒゲがあった
生まれて初めて見たヒゲのない顔は、女になっているせいか年よりも若く愛嬌があるが、そこには年齢を重ねたからこその威厳が備わっている
そのギャップが魅力的に見えて、ミラーはまじまじとスネークの顔を見つめた

「知らなかった、ヒゲないと結構若く見えるんだな」

「今までお前は俺をどう見てたんだ?」

「いや、年相応だと思ってたぞ?」

「…今の顔が幼いとでも言いたいのか?」

「若いって言ってるだろ?褒め言葉だよ」

くくっとからかうように笑うミラーに、お前こそ幼く見えるぞ、とスネークは思う
ふっくらとした頬も、柔らかく下がった瞳もいつもと同じで愛らしい
だが女になったせいか、ただでさえ長かった睫が、びっしりと生えそろって何ともいえない色っぽさをかもし出している
しかも、何だか目も大きく丸く、より愛らしくなっている気がする
女になって母親である日本人の血がより強くなったのか、楽しげに笑うその顔はいつもよりも幼く、どう見ても27には見えない
唇も心なしかいつもよりも赤く、誘うように弧を描くそこはいつもにも増して柔らかそうだ
キスがしたい
そう思い、スネークがミラーを抱き寄せようとすると

「スネーク…」

意外にも、ミラーのほうからキスを仕掛けてきた
多少驚いたものの、ミラーのさせたいようにさせていると、ミラーはスネークの体に腕を回して抱きつき深いキスをねだってきた
互いの体の間で潰される胸の柔らかさを堪能しつつ、スネークはねだられるままにミラーの咥内に舌を差し入れる
ミラーも積極的に胸を押し付けながら、スネークの舌に自分のそれを絡める
たっぷりと深いキスを堪能してからゆっくりと唇を離し、どちらともなく唇を繋ぐ唾液を舐め取った

「随分と積極的だな」

「女の子の体って、ちょっと興味あったんだよね」

アンタも興味あるだろ?とどこかイタズラっぽく笑うミラーに、スネークも欲情を含んだ笑みを返す
愛しい相手が、魅力たっぷりの女になっているのだ
何がどうなってこうなっているのかはわからないが、どうせなら思う存分堪能しておきたい
互いにキスを繰り返しながら、互いの体をゆるゆると弄る
互いの体を確かめ合う、擽りあいにも似た行為
先に動いたのは、ミラーの方だった
隙を見てスネークの体を押し倒すと、ぷるりと揺れる胸を手のひらで柔らかく包んで、手のひらに優しく力を込め、もう片方の手は焦らすように腰を撫でる

「ぁっ…」

ぴくんっと体を震わせて小さく甘い声を上げるスネークに、ミラーはふふんっと笑みを浮かべる
ミラーの女性経験はかなりのもので、当然テクニックにも自信を持っている
男性経験はスネーク以外ないせいで、普段のセックスはスネーク優位に進んでしまうが、今は互いに女だ
女相手なら、テクニックでスネークに負ける気はしない
自分優位のセックスに持ち込めると、ミラーは踏んでいた

「はぁっ…お前、これが目的、か」

思惑通り巧みな愛撫に体を震わせ、普段滅多に聞けない甘さの混じるスネークの声に、ミラーは優越感と興奮に背筋を震わせ

「たまにはいいだろう?」

にまり、と得意げな顔でスネークに笑いかける
その笑みの愛らしさに、一瞬流されてやってもいいかという思いがスネークの頭を過ぎる
だが、スネークもミラーに負けず劣らず、やられっぱなしは性に合わないという性格をしている

「んっ」

ゆるり、と体を撫でる手に、ミラーは驚いたように体を捩る
確かに、女性の扱いに関して言えばミラーの方が上手かもしれない
だが、ミラーの扱いには自信があった
どこが弱くて、どうすれば力が抜けてしまうのか
手が覚えているといっていいほど、スネークはミラーの体を知り尽くしている

「あ、ぁ…」

スネークの思惑通り、ミラーの体からどんどんと力が抜けていく
力が完全に入らなくなったのを見計らって、スネークはミラーと体の位置を入れ替え、勝ち誇ったように笑う

「形勢逆転だな」

「ずる、いっ」

ミラーは涙目でスネークを睨みつけ抗議するが、それがスネークを煽るだけだということをミラーは知らない
まんまとその目に煽られたスネークは、笑みを深めながらミラーの下肢へと手を伸ばす

「あぁっ」

「何だ、もう濡れてるじゃないか」

くちゅり、とワザと音を立てられて、ミラーの顔が一気に赤くなる
その初々しい反応に気を良くしたスネークは、たっぷりと指先に蜜を絡めるように愛撫を繰り返し
くったりと快感で力の抜けたミラーの中へ、ゆっくりと指を進めていった

「あ、ぁ…」

スネークに胎内を弄られるたび、じわりと腰から足に痺れるような快感が響く
男のときに中を弄られるのとはまた違う、快感
初めて知る快感に、あっという間にミラーは夢中になる

「(何かもう…このまま女でも、イイかもしんない…)」

甘い快感に溺れながら、ミラーはぼんやりとそんなことを考えていた

「(くそっ!何故俺は今女なんだ!?)」

そんなミラーとは逆に、スネークは焦燥にも似た苛立ちをどうにか顔に出さないように奮闘していた

ミラーは元々男で、何がどうなってこうなったのかはわからないが、今は女の体だ
つまり…ミラーは今、確実に処女だ
その理屈でいくとスネーク自身も処女ということになるが、そんなことはスネークの頭からは綺麗さっぱり消えている
可愛らしく体を震わせて、スネークが与える快感に溺れている、処女のミラー
男としての本能は、ミラーに己のモノを突き入れて処女を奪い、思い切り揺さぶりたいと強く訴える
だが、今はスネークも女
つまり、入れようにもモノがない
だが愛する人間の処女だ、自分で奪いたい
万万が一他の男に奪われたなら、発狂する自信がスネークにはあった
他の男に奪われるくらいなら、たとえ道具を使ってでもミラーの処女を奪っておきたいという欲求が、スネークの頭の中を掠める
だが、愛しいミラーの誰にも犯されたことのない場所を最初に蹂躙して処女膜を破るのが道具というのも、それはそれで気に食わない
やはり自分自身のモノで蹂躙したい、だが今は女、モノはない

快感に身悶えるミラーを堪能しながらも、スネークの思考は堂々巡りを繰り返す

「んぁ、ぁ…すねーくぅ…」

「可愛いぞ、カズ…」

そんなスネークの思考に欠片も気づかず、ミラーは与えられる快楽に震えて甘く鳴く
そのミラーの可愛らしい姿に、スネークの思考はさらに深みに落ちていく

「(このまま女でも、俺別に支障ないし…しばらく女でもいいかなぁ…)」

「(カズを可愛がり終わったら、どうにかして男に戻る方法を見つけなければ!)」

互いに真逆の事を考えながら、2人の甘い行為は続いていくのだった

















某所のにょたスネークに萌え、百合な2人が書きたいという衝動が再燃し、やらかしてしまった一品
どーしても両方の心情を入れたくて頑張って書き方変えてみたけど、くどいこれorz
っていうか、ほとんどスネーク視点っぽいし…うーむ、修行が足りん
もうちょっとエロ成分濃くしようかとも思ったけど、コレが限界でした
だって、何か恥ずかしいよ!百合でエロって恥ずかしい!!
何だろうこの気恥ずかしさ!ホモエロ書くときはそんなに恥ずかしくないのに!(それもどうなんだ)
おかげで色々中途半端だよチクショウ!
修行が足りない…ちょっとクレイモアに囲まれてきます

ぶっちゃけ最後のスネークの心情が書きたかっただけとか言えな…ゴニョゴニョ

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