My Little Lover4



俺達が幼い頃からある、この地域の恒例行事
ハロウィン・パーティー・ナイト
大人も子どもも仮装して、地域を練り歩くというシンプルな行事だ

子どもの頃は、別に楽しみでも何でもなかった俺だが、可愛い恋人ができてから毎年これが楽しみで仕方ない
可愛らしい恋人の仮装を眺めるのは、この行事唯一といっていいほどの楽しみだ

「あ、スネークっ」

おそらく広場にいるであろう可愛い恋人を探していると
俺に気づいたらしい世界一可愛い恋人であるカズが、パタパタと俺に駆け寄ってきた

その姿に、俺は一瞬天国へ迷い込んでしまったのかと思った

カズは、今年は天使の仮装をしていた

可愛い可愛い天使の姿をした恋人
ふわふわの真っ白な衣装に身を包み、頭にまあるいわっかを乗せて、背中に真っ白な羽根を生やして
しかも、その手には可愛らしいステッキが握られている
その姿は、まさに本物の天使が舞い降りてきたと言っても過言ではない
いや、いつも天使のように愛らしいが、今日は一段と可愛らしい

「トリックオア、トリート!」

しかも、そんな舌足らずな声で甘えるように言われたら
理性も、揺らぐというものだ

「カズ…お菓子はいらないからイタズラさせてくれ…」

そういって、可愛らしい天使の可愛らしい唇にキスを落とそうと…

「は〜い、満月はまだ先でやがりますよ変態狼男が。というか公衆の面前でのいちゃつきはご遠慮くださいませ〜、というかやめろ」

…した瞬間、顔面に何か固いものが押し付けられた、ものすごく勢いよく

「ロイおにーちゃん!トリックオア、トリート!」

「ほいお菓子。今年は天使かカズヒラ、似合ってて可愛いぞ」

「ありがとー!ロイおにーちゃんもかっこいいよ!」

「ははは、そりゃどうも、サンキューな」

「おいキャンベル…いつまで人の顔に、いてて、グリグリ、いたっ、押し付けてるんだっ」

グリグリと押し付けられるそれをどうにか奪い取って、今まで押し付けていた張本人…魔女の仮装をした幼馴染のキャンベルを睨みつけた
ちなみに、顔に押し付けられていたのはドリトス(ナチョ・チーズ味)だった

「それやるから、狼男は大人しくしてろ」

「キャンベル…愛し合う恋人同士がキスをして何が悪い?」

「うん…あんたはもう少し、人の目とか気にしてくれ」

はぁ〜、と盛大なため息をつくキャンベルに、少しだけムッとする
俺とカズは愛し合う恋人同士だ、キスをして何が悪い

「あのな…するなとは言わんが、公衆の面前でするな。色々とややこしいから、主に犯罪的な意味で」

だが、この無駄に付き合いの長い幼馴染は、俺の考えなどお見通しらしい
ものすごく呆れたように、じとりと俺に視線をくれながらそう言った

「はぁ〜…で、珍しいな。キャンベルが仮装してこの行事に参加するなんて」

「何でスネークがため息吐くんだよ…俺もスネークと一緒だ」

ほれ、とロイがマントの後ろに視線をやると

「こんにちは…」

その後ろから、ロイの家の近くに住んでいる小学生のフランクが顔を出した
その頭には、何か動物の耳…狐っぽいのをつけている

「お〜フランク!久しぶりだな〜」

フランクは、俺とキャンベルの弟分みたいなものだ
昔ちょっとしたことで親しくなったのだが、最近は時間が合わずなかなか会えなかったのだ

「お久しぶりです…」

ぺこりと、頭を下げるその姿は綺麗で様になっている
相変わらず、礼儀正しい子だ

「おいこらフランク、お前相変わらずスネークと俺に対する態度の違い激しすぎやしないか?」

キャンベルはそんなフランクにからかうような表情を浮かべ
その頭をわしわしと撫で繰り回した

「…お前とスネークは同等ではないからな」

「相変わらず可愛げのないおガキ様だなぁおい」

悪態はつくものの、頭を撫で回されてるフランクは無表情の中にどこか嬉しそうな雰囲気を漂わせているし、キャンベルも嫌そうな顔はしていない

相変わらず仲いいなこいつら

「フランクおにーちゃん、こんにちはっ」

じゃれている2人を眺めていると、とことことカズがフランクに歩み寄、ぺこりと頭を下げた
うん、カズは礼儀正しくて可愛いなぁ
いい子に育ったものだ、さすがは俺の将来の伴侶

「こんにちは、ミラー」

そんなカズに、フランクもペコリと頭を下げた





お菓子をもらえる年齢の2人を先に歩かせ、俺とキャンベルは後ろからその後をついて歩く
本当ならカズと手を繋いで歩きたいが、手を繋いでいては写真が撮れないので少しだけ我慢する
どうせ、後でめいっぱい手を繋いで抱きしめてやるんだから
そんな俺を、キャンベルがまるで未確認生物でも見る目で見ているが、いつものことなのであまり気にしないことにする

「で、俺と同じって…お前、フランクと付き合ってるのか?」

とりあえず、今まで撮った写真を軽く整理しながら、ふと気になったことを聞いてみる
もしそうなら、普段俺のことを変態だとなんだとかいっときながら、自分だって年下と付き合ってるじゃないか

「…そこはお前と一緒にすんな。ただの付き添いだ付き添い」

が、キャンベルは盛大にため息を吐いて完璧呆れたような視線を向けてきた

「付き添いって、フランクこういう行事好きだったか?」

「いや、学校帰りに会ったんだが…今日は何か祭りでもあるのかとか言いやがってな」

「ははは、フランクらしいな」

「らしいちゃらしいけどよ…せっかくのイベントだ、しかもお子様向けの。そんなの楽しまなきゃ損だろ」

アイツもまだガキなんだからさ〜、とキャンベルは笑った

キャンベルは、昔からとてもいい奴だ
口は悪いし、すぐ人を変態扱いするおちゃらけた奴だが

すごく優しくて面倒見のいい、俺の自慢の幼馴染で親友だ
カズとのことも、何だかんだで応援してくれている

「お前は毎年全力で楽しんでたからな、この行事」

「そういうスネークは、いっつもつまらなそうだったな」

「今は楽しんでるぞ?」

「そうだな、カズと一緒なら何でも楽しいんだろ」

チラリと、キャンベルが前の2人に視線を移す
それにつられてそちらを見れば、愛しくて可愛い恋人が笑っていた

「なぁキャンベル…カズはどうしてあんなに可愛いんだろうな」

「そうだな、アンタの目に30割り増しくらいに可愛く映ってるからだろうな」

「…このまま天界に帰ったらどうしようキャンベル」

「帰りゃしないから安心しろ、カズヒラはまごうことなく人間だ」

その姿を、手に持ったデジカメに収めながらキャンベルに話しかければ
キャンベルは呆れたように、でもどこか優しい顔で笑った

愛しい恋人が笑っていて、可愛い弟分も嬉しそうで

「スネークっ、おかしいっぱいもらった!!」

「スネーク…半分もらってくれないか?」

大切な親友も笑っていて

「オイコラお前ら、俺もいるんだぞ」

みんな、楽しそうに笑っていて
そのことが、とても幸せなことに思えて

キャンベルに頭を撫でられる2人を、写真に収めた

「ロイおにーちゃん、おれのおかし、わけたげる」

「お〜、優しいなカズヒラは〜。ほらお前らこいつ見習えよ」

「カズ、そいつに菓子を分けてやらなくてもいいぞ?その分俺にくれるか?」

「お前にやる菓子はない、ロイ・キャンベル」

「お前ら…」

いつまでも、こんな時間が続けばいいと思いながら

















書いてて自分だけが楽しいショタカズ
迷走しすぎなのはよくワカッテマス…
何かもう、ショタカズとロイの話になってますね…

どーしてもヌルヌル出したかったんです
ヌルロイ妄想が止まらないんです、助けてください

というか、女装でもカズに天使衣装着せたし…自分はどれだけカズを天使だと思ってるんでしょうか
天使の衣装着たショタカズはハンパなく可愛いと思います
うっかりスネークが犯罪者になりかけるのもしょうがない



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