Oh My Girl!5



ジェーンから、ここに残ることを進められて3日

「なぁ、ジェーン…」

「なぁに、ミラー」

俺なりに色々考えて…そして、決めた

「ちょっと、スネークに話があるんだが」

今後の、俺の身の振り方について



「何だ、カズヒラ…話とは」

ジェーンに呼ばれ、俺の前に座ったスネークの表情はいつもより固い
どうやら、緊張しているようだ

…なんで、俺よりアンタのほうが緊張してるんだよ

「今後の俺の身の振り方について、考えたんだ」

そう言うと、スネークはビクリと身を固くした
…だから、何でアンタそんなに緊張してんだよ…

「そ、そうか…で、どうするんだ?」

そわそわと落ち着きのない目の前の男にため息を吐きたくなったが、なんとか堪える
まるで、俺のほうがスネークに処分か何か言い渡すみたいじゃないか…

「最初に言っておく…スネーク、あんたと結婚はしない」

そう言った瞬間、スネークはあからさまにがっくりと肩を落とし、しょんぼりとした表情になる
そこまでがっかりされると、一瞬グラリと気持ちが揺れたが
ここでほだされてなるものかと、気を引き締める

「…そうか……」

「たかが胸揉んだ責任とって取って結婚とか、俺はまっぴらごめんだ!」

「そうか…駄目か…そうかぁ……」

えぇい、いい年したオッサンがしょぼくれるんじゃない!
雨の日の子犬を連想させる目で俺を見るんじゃない!
ほだされそうになるだろうが!!

「だが…アンタがいいといってくれるなら、ここに残りたいとは思う」

ほだされてしまう前に、本来の目的である言葉を口に出す

あれから、俺も色々と考えた
部隊を壊滅させてしまった俺に、行き場はない
他の場所に行くといっても、特に当てもない
なら、ここに残ってもいいんじゃないかと思った
いや、できるなら、ここに置いてもらいたい

ジェーンもスネークも、俺は好きだ
助けてもらった恩返しもしたい

そして、何より
この大きな男の、役に立ちたいと思った
だから、ここにいたいと思ったんだ

「え…でも、結婚はしないと…」

その当の男は、ポカンとしたマヌケ面で俺を見ているが

「結婚から離れろ…それとも、妻としてじゃないと俺はここにいちゃいけないのか?」

「とんでもない!大歓迎さ!!」

「じゃあ…」

「あぁ…カズヒラ・ミラー、お前を歓迎する!」

スネークは、満面の笑みを浮かべて俺に手を差し出した

「…けど、1つだけ頼みがある」

けれど、俺はその手を取らずに言葉を続けた

「頼み?何だ、言ってみろ」

「…俺を、男として側において欲しい」

その言葉に、スネークは不思議そうに目を丸くした

「男として?何故だ?」

「…女として、扱われたくないんだ。ずっと、そうやって生きてきたから…」

幼い頃から、女としてではなく、男として生きてきた
男の名前だったし、アメリカ人の血が混じっているせいか体格も良かった
女として成長を始める年齢になっても、アメリカに渡ってからも、戦場に身を置くようになっても
俺は、女としてではなく、男として生きてきた
そうなるまでに、色々とあったから

けれど、生まれてから25年男として生きてきた
いくらスネークが男女を平等に扱うといっても
今更、その生き方を変えることはできない

「ダメ…だろうか?」

「何がダメなんだ?お前が男だろうと女だろうと、お前はお前だろう?」

「え…それじゃあ…」

「あぁ、もちろんかまわない。カズヒラが側にいてくれるなら」

スネークはさも当然という風に言って、ふっと笑うと
再び、俺に手を差し出した

「ありがとう…スネーク」

その手を取ると、その笑みが嬉しそうに深まる

…そこまで嬉しそうに笑われると、少しだけ照れくさい
本当は、本当は少しだけ不安だった
妻としてじゃないと、いらないとか言われるんじゃいかって
女じゃない俺は、必要とされないんじゃないかって

『結婚しよう、カズヒラ!』

それくらい、あのときのプロポーズは真剣だった
例えそれが、あのくだらないことの責任を取ろうという、ポリシーに似たような感情から言われた言葉でも

そんなことを言われたのは
あんな真剣な言葉を聞いたのは
生まれて初めてだったから

けれど、ボスは俺が男でも女でもいいといってくれた
俺がいれば、カズヒラ・ミラーという人間がいればいいと言ってくれて
そんなことを言われたのも、生まれて初めてで
それが、なんだかくすぐったくて
とても嬉しく思えて

自然と、笑みがこぼれた

「………」

少しの間、そうやって手を握り合っていると
急に、握り合っていたを引っ張られ
スネークの腕の中に、すっぽりと収められてしまった

スネークの、男を感じさせる広い胸板に、俺よりずっと太い腕に
反射的に、俺は身を固くした

「す、スネーク!?」

「カズヒラ…ありがとう」

「な、ななな何が!?」

「ここに、残るといってくれて」

え、えぇぇ!!
それだけで、こんな熱烈な抱擁なわけ!?
俺が残るのがそんなに嬉しかったのか!?

完全に固まってしまった俺とは裏腹に、スネークはぎゅっと俺を抱きしめる

…スネークは、実はスキンシップの激しい人間で
これも、案外親愛のハグみたいなものかもしれない
アメリカでは、結構ハグとか当たり前だったしな

だから、静まれ
スネークに、他意はないんだ
だから静まれ、俺の心臓
熱くなるな、俺の顔

俺は、ハグとか慣れてないんだよ
苦手なんだ、俺は日本で生まれ育ったんだ
日本には、こんな風に抱きしめられる習慣なんてなかったんだ

だから、こんなに心臓が忙しいことになるんだ
そうだ、そうに違いない!

「本当にありがとう、カズヒラ」

いい加減離せとか、コチラこそ置いてくれてありがとうとか、これはセクハラだろうとか
色々といいたいことが頭の中をグルグルと回っているけど

「…カズで、いい…」

すっかりパニックになってしまっていた俺には、そう返すので精一杯だった





「もう、2人ともじれったいわねぇ…まだまだ道のりは遠そうよ、ボス」

外で、ジェーンがまるで母親か何かのような顔で笑っていたことを
俺もスネークも、知らないまま
















ちょっとだけ進展したかもしれない2人
ほだされるだろう!とか思ってる時点で、実は相当ほだされてることに気づかないカズヒラさん
そして、盛大にフラれるスネークさん
そして、今回いつもより空気読んでるジェーンさん

というかスネーク…ハグポイントが違うよ…
カズは"責任を取って"結婚がイヤだって言ってるんだから!
そこでハグして
責任とかもう関係ない…お前が好きだから結婚したい
って言っちゃえば、もしかしたらカズほだされて結婚してくれるかもしれないのに!!

まぁ、うちのスネークさんには無理な芸当ですね
なんせ、バカだし

最近、スネークとボスという呼び方が混同してしまう…
どっちもネイキッドさんのことです、はい

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