甘い涙を零す



カズが、随分ストレスを溜め込んでいるようだ
そのことに気付いたのは、おそよ1週間ぶりにマザーベースに帰ってきた日のことだった

「副指令!訓練を付けてください!」

「おう、いいぞ!」

「ミラーさん、ドリトス食べますか?」

「お、ナチョ・チーズ味か!サンキュー」

兵士達に話しかけられたりすれば笑うし、冗談だって言う
だが、ふとした瞬間
カズの表情が消え、蒼い瞳が虚空を眺めている
俺がいない間に、何があったかは知らない
だが、そうとうストレスを溜め込んでいるようだ

カズは、いまだに俺にすら弱みを見せることを嫌がる節がある
このマザーベースを預かる副指令という自負からか、それとも生まれ持った気質ゆえか
他人が辛いときはいち早く察するくせに、自分が辛いときは誰にも見せないようにしながら笑い、弱音を決して吐こうとはしない
その徹底ぶりは、俺も驚くほどだ
きっと、俺以外に今カズがどうしようもなく辛いだろう事は気付いていないだろう

「カズ」

「ん?なぁにボス」

今も、俺が声をかけた瞬間いつものカズの表情に戻った
いつもと変わらないその表情に痛々しさを感じ

「後で、俺の部屋に来い」

ズキリと走る胸の痛みを悟られないように、耳元で小さく囁いた
カズは一瞬きょとんとしたような表情になったものの
いつものように、恥ずかしそうに顔を伏せて頷いた





「んっ…スネーク…」

部屋にやってきたカズをベットに押し倒し、キスをしながら服を脱がす
いつもなら一応の抵抗を見せるカズだが、今日は大人しくされるがままになっている

「ふ…ぁ…」

できるだけゆっくりと、焦らすようにその体に触れる
じれったそうに体を捩るカズの瞳は、涙を湛えて甘く潤んでいる
その目元にキスをすれば、カズは目を細めたが、その涙はまだ瞳から零れはしない

「すねーくっ…もうっ」

もっとたっぷりと焦らしてやろうと思ったが、カズが我慢しきれなくなったらしい
俺にしがみ付いて、潤んだ瞳で可愛らしくおねだりしてくる

その姿に、作戦を変えることにした

「ひ、ぅっ…」

ねだられるままに、カズの中へと自身を納める
辛そうに顔を歪めるカズの頬へとキスを落とし、髪を撫でてやるとその表情が少しだけ和らぐ

「もう、いいか?」

「ん…?」

カズが落ち着くのを待ってから、そう尋ねれば
カズは小さく頷き、ゆっくりと俺の背に腕を回した

「んぁ…ん、スネーク…」

緩やかに、探るように腰を揺らせば、カズの口から気持ち良さそうな声が漏れる
カズが快感になれてきた頃を見計らって、一番いい場所を突き上げる

「んあぁっ」

その瞬間カズの背がしなり、甘く高い声が漏れる
執拗に、その場所を突き上げれば

「あ、あぁっ…」

カズの瞳から、ぽろりと宝石のような涙が零れた
ようやく零れたそれに、密かにほっと息を吐いた

「あぅっ…ぅ、あぁ…ひん、んあぁっ」

一度零れだした涙は、まるで決壊したようにカズの瞳からボロボロと零れ落ち
甘い喘ぎ声に、泣き声が混じりだす
突き上げながら舌先で涙を拭うと、カズの喉から引きつったような声が漏れ、背に回った腕に力が篭る
縋るように抱きつく体に腕を回して背を撫でてやると、甘えるように体を擦り寄せてきた

素直に泣いていいのだと、教えてやりたい
辛いときは泣いてもいいと、苦しかったら誰かに縋ってもいいんだぞと言ってやりたい
人に甘えることは悪いことじゃないと、我慢することがいいとは限らないと伝えたい

そんなに張り詰めなくても、感情を抑制しなくても
それくらい俺が受け止めてやると、わかって欲しい

だが、どうしたらカズに伝えられるのか、俺にはわからない
普通に伝えたところでカズが反発するのは目に見えているし、かといってさりげなくカズを泣かせてやることも、俺には出来ない
どうやったら自然にカズを泣かせてやれるのか、溜まりに溜まった負の感情を吐き出させてやれるのか、わからない
この方法でしか、俺はカズを泣かせてやれない

カズには、俺のようになって欲しくない
俺はもう、どうすれば泣けるのか当の昔に忘れてしまった
泣かずに苦しみを押さえ込む方法しか、わからなくなってしまった
別にそれを苦痛に思ったことはないが、カズにはちゃんと泣いて欲しいと思う
泣き方を、忘れないでいて欲しいと思う

「あぁっすねーくっ」

「カズ…カズ…」

だから、本当はこんな方法ではなくちゃんとカズを泣かせてやりたい
俺がもっと器用だったら、もっと自然に泣かせてやれるのだろうか
俺にもっと経験があれば、カズに泣いてもいいと教えてやれるのだろうか
もっと優しい方法で、カズを甘やかしてやれるのだろうか
泣き方を、思い出させてやれるのだろうか


「あ、ああぁぁっ」

びくり、とカズの体が大きく震え、とぷりと欲を放つ
強い締め付けに、俺も堪えきれずカズの中へと欲を放つ

「すねーく…」

荒い息を繰り返しながら、カズが俺のほうへと視線を向けた
どこか哀しげに俺を見るカズの、まだ涙を零している瞳に
願いを込めて、口付けた

















突発文その2
泣けないスネークが、泣かないカズを泣かす話ってよくね?
という思いつきでのみ書きました
お叱りは受け付けますすみません(´・ω・`)

タイトルは相変わらず適当の極み(コラ)

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