泡沫の夢



「ふっ…あ、ぁっ」

圧倒的な質量が、体のナカへ収まっていく苦痛混じりの快感に、自然と口から声が零れだす
感じる痛みをスネークの背に腕を回し、しがみ付くことでどうにか耐える

「カズ…」

全部いれきったのか、スネークが大きく息を吐き
酸素を取り込むために開いていた唇に、口付けてきた

スネークからのキスに応えながら、ふと思う

どうして俺達は、今こうしてセックスをしているんだろう
一体、どうしてこういう関係になったんだっけ?

『…お前、案外肌綺麗だな』

きっかけは、よくある些細なことだった
珍しく顔が赤くなるほど酔ったスネークが俺の肌に触れ

『そーかぁ?ふっつーだとおもうけどぉ?あんたこそどーなんだ?』

すでに呂律が怪しかった俺が悪乗りして、スネークの服をめくってその体に触れた

『こら、カズくすぐったい』

『すねーくもわりときれーじゃん、きずいっぱいあるけどさ〜』

『お前には負ける』

『だっておれ、まだわかいもーん』

『いい大人がもんとか言うな、可愛くないぞ』

『うっせーおっさーん』

笑いながら、じゃれるように互いに触れあい
そのまま、温もりを求めるように体を重ねた

酔いがさめた後、互いに凄く気まずかったのを今でもよく覚えている
互いに酒で酔った上の、間違いだった
そう、互いに思っていた
このことは、一夜限りの間違いになるはずだった

「カズ、動くぞ」

「はぁ、スネーク…あ、うぁっ」

けど、その後も何だかんだと互いに求め合い
そして、今もこうして体を重ねあっている

じわじわと快感に支配され始めた頭で、ぼんやりと考える
互いに、寂しかったんだ
スネークは、胸に巣食う虚空を少しでも満たしたくて
俺は、誰かの温もりが欲しくて
だから、こうして体を差し出し、求め合っている

そう、誰でもよかったんだ
別に俺はスネークじゃなきゃいけないって事はなかったし、スネークも俺じゃなきゃいけないということはなかったはずだ
ただ、どうしようもなく寂しくて、誰かの温もりが欲しくて
だから、互いに箍が外れたときに側にいた相手を求めて、ずるずるとこの関係を続けている

「は、ぅっ…あ、すねーくっ」

「はぁ…カズ…」

誰でも、よかった
ただ、寂しかったときに近くにいたのが俺達だっただけで
誰でもよかった、誰でもよかったんだ

だからこの関係に、特別な名前なんかあるはずがない
俺がスネークに抱くこの想いに、特別な何かがあるはずがない

「ひ、ぁっ…スネーク、スネークっ」

寂しいから、側に居てくれるスネークの隣に居心地のよさを感じて
温もりが欲しいから、こうして抱いてくれるスネークに愛おしさにも似た感情を覚えるだけだ
全ては、寂しさと哀しさが見せる、ひと時の夢
だから、寂しさがなくなれば、哀しさがなくなれば
淡い夢が覚めてしまえば、この過ちの延長のようなこの関係も、感じる愛おしさにも似た感情も
全部、まるで泡のように消えてしまう

そんな不安定で不確かなものが、恋であるはずがない
まるで水に映った月の様な虚構が、愛であるはずがない

そんな関係を、感情を、特別なものにしてはいけない

「カズ…っ」

わかっている、それくらいわかってる
でも、俺を見るアンタの目が優しいから
体に触れる手が気持ちいいから、触れ合う肌が心地いいから
もう少しだけ、夢を見ていていいだろうか
もう少しだけ、覚めることに怯えている夢に浸っていてもいいだろうか
そのときがきたら、ちゃんと目を覚ますから

「スネーク、ぁ…すねー、くっ」

だから、もう少しだけ
もう少しだけ、この優しい夢を見させて欲しい

落ちる唇を、体の中に放たれる欲を受け止めながら
何かに縋るように、俺はスネークの体に必死にしがみ付いていた

















ふと思いついたままに書いた突発文
こんな風にあいまいな関係の二人もいいよね的なノリで…つい…

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