背に咲く花に口付けを



知っている人間はこのマザーベースでもあまり多くないが、カズの背中には刺青が入っている
カズいわく、別に隠しているわけじゃないが自慢するようなものでもないらしい
だから、普通に人前で服も脱ぐし風呂にだって入る
なら何故あまり知られていないかと言うと、少しばかりその刺青が特殊だからだ

「カズ、背中見せてくれないか?」

シャツを捲り上げ、しっかりと鍛えられたカズの胸元をゆるりと愛撫しながら白い首筋に舌を這わせ、もう行為の度に恒例となりつつある頼みを口にした

「アンタ、ほんとにコレ好きだな」

ほんの僅かだが息を弾ませ、頬を高揚させたカズは少しだけ呆れたように笑うと、いつものように自分からシャツを脱いで俺に背を向ける
ほんのりとした灯りに照らされ、うっすらとだがカズの背中にピンク色をした花が浮かんでいる

「今見たって、まだそんなに色出てないだろ?」

「いや、薄いピンク色で綺麗だぞ」

可愛らしい淡いピンクの花達の1つに口付ければ、カズは小さく体を震わせながらも少しだけ笑った

カズの背中は、普段は刺青が彫られているとは思えないほど白く滑らかだ
だが、興奮したり体温が上がったりすると、その背中に美しい花が浮かび上がる
原理はよくわからないが、日本独特の彫り方で透かし彫りというらしい
この特殊な入れ方のおかげで、カズが背中に美しい刺青をしているというのはあまり知られていない
訓練のときは体を冷やさないように上を全て脱ぐことはないし、風呂も忙しいカズは普段シャワーばかりであまり体温が上がらず目立たない

ちゅ、ちゅっと花が浮かび始めた背中にキスを落とし、指先でカズが感じる場所をゆっくりと辿っていく
徐々にカズの息が上がっていき、まるで蕾が花開くようにゆっくりと背中の花に色が付く
こうして色が付いてくと、まるで俺が愛しいカズの背に花を咲かせているような、陶酔に近い錯覚を起こす

「ん、ぁ…」

「綺麗に色が出てきたぞ?気持ちいいか?」

「あ、も…ばか…」

少しだけからかってやると、花と同じくほんのりとピンクに染まった頬をしたカズが振り返って、少しだけ拗ねたような目で俺を見る
その頬にキスを落とし、首筋に軽く吸い付くと甘い声と共に首筋にも花が咲く
それを舌先で舐りながら、ふるふると震えるカズの下肢へと触れる

「ぁ…」

「ほら、もうこんなにしてるじゃないか」

そのまま焦らすように快楽を与えれば、カズの腰がねだるように揺れる
それと同時に、ふわり…と背中の花が不思議な色香を放ち始める
香りなどないはずなのに、まるで甘い蜜のような香りが鼻をくすぐる

「甘い匂いがするな…お前の花か?」

「あっ…んなわけ…んんっ、ない…だろっ」

「そうか?じゃあ、お前自身の香りか?」

その香りと、快楽を欲しがる仕草に誘われるように、指をさらに奥…ひっそりと秘められた場所へと伸ばす
数度その場所を撫でると、早く欲しいといわんばかりに指先を飲み込もうとヒクつきだす

「あ、ぁ…も、焦らさないで…」

もうカズ自身も我慢の限界なのか、腰を緩く揺らしておねだりをし始める
もっと焦らしてやってもいいが、あまり焦らせばカズがダウンしてしまう可能性がある
ゆっくりと指先に力を込めると、つぷりと先端がナカに潜り込み、奥へ誘い込むように蠢く内壁に逆らわず奥へと押しやる

「あ、あぁ…」

そのまま気持ちいい場所を擦ってやれば、欲に濡れた声と共に背中の花が赤みを増す
指を増やして抜き差しすれば、くちくちと小さな水音が部屋の中に響く

「んぁ…あ、スネークぅ…」

カズのナカが甘く指先に絡みつき、背中の花が咲き誇る直前くらいがちょうどいい頃合だ
その頃には、俺自身もすでに限界が近い

指を抜けば、物足りなさそうな…けれどどこか期待を含んだ瞳が俺を見返してくる
ぴとり、と先ほどまで指が入り込んでいた場所に俺自身の先端を当ててやれば、トロリとその瞳が期待と快楽に潤む

「入れるぞ…」

カズの首がこくりと上下するのを見てから、ゆっくりと腰を押し付ける

「あ…あぁぁ…」

細く欲に濡れた悲鳴と共に、ずぷずぷとソコは俺を悦んで飲み込んでいく
完全に繋がった瞬間、カズの背の花が満開に咲き誇る

「相変わらず、綺麗だな」

その花達を指先で撫でながら、その美しさに自然とため息が漏れる
最初はうっすらとしか浮かんでいなかった可愛らしい花が、今は紅く美しく咲いている
カズの背に咲く、何輪もの紅く美しいリコリス…日本では曼珠沙華と言うらしい

「スネークっ…も、やぁ…ほし、いっ」

その美しさに見とれていると、カズがじれったそうな声を上げて腰を揺らす
どうやら、今日はもう我慢がきかないらしい

「悪かった…好きなだけやるから、そう怒るな」

甘く潤んだ瞳で不機嫌そうに俺を睨むカズの頬にキスを落とし、揺れる腰を掴んで軽く揺らしてやる

「あぁっ…あ、あんっ」

待ち望んでいた快楽に、カズは満足げな甘い声をあげて、自分からも腰を押し付けてくる
その可愛らしい痴態に煽られるまま、柔らかく締め付けてくるナカを突き上げる
妖しく狂い咲く曼珠沙華に、しっとりとした汗がかかって光を反射する
それはまるで、本物の花のように…いや、本物以上に美しく魅力的だ

「あ、あ、あ…スネーク、もっ…」

「綺麗だ、カズ…お前も、背中の花も…」

これは、俺の欲目というか、錯覚なのかもしれない

「あ、あぁぁぁっ」

だが、カズが絶頂を迎えるその瞬間
背中の曼珠沙華がよりいっそう紅く染まり、まるで吸い込まれそうなほど妖艶に咲き誇る
カズの背の花が、カズ自身が
最も美しく映える瞬間
その瞬間が、たまらない
その光景を見届け、俺もカズのナカへと欲を放つ

「あ…はぁ…」

「カズ…」

どうしてカズが背にこれほどまで美しい墨を入れたのか、俺は知らない
若気の至りというやつか、それとも何か理由があるのか
知りたいと少しだけ思うが、別にどうでもいいかとも思う
どんな理由があるにせよ、カズの背中に咲く美しい曼珠沙華の美しさは、俺の心を捕らえて離そうとはしないのだから
未だ美しく咲き誇る花を眺め、俺はその中の1つに小さく唇を落とした
カズの背に咲くその花は、蜜などないはずなのに
口付けた場所が、とても甘い気がした





















チャットで盛り上がった刺青話
透かし彫りって、エロイよね!みたいなノリで書いてみた
さっぱり目な和エロ目指してみましたが…和エロの欠片もないorz
ちなみにさっぱりエロス発言したら、いろんな方に全否定(笑)されたのでさっぱりは頑張った

これさっぱりですよね?そうだと言ってよジェミー(誰)

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