媚薬多量摂取の恋人



…この間の夜這いは、見事な失敗に終わった
やたら楽しそうなスネークに、手錠と縄を最大限に有効活用したプレイを致されてしまったのは、記憶に新しい

だが、俺は男役になることを諦めちゃいない!
この間の失敗で、証明された
やはり、どう頑張っても伝説の傭兵であるスネークに力ずくは無理だ
もっと頭を使った作戦でなければいけない

俺はあれから必死で考えて、1つの策を練った
そのための準備もバッチリ済ませた
今度こそ、このミッションに失敗は許されない
スネークを組み敷くという、俺史上最大最難関のミッションを!

機会は、すぐにやってきた

「スネーク、コーヒーのおかわりはどうだ?」

あるモノを手に入れてすぐ、スネークが俺の部屋へふらりとやってきたのだ
特に目的もなく、ただ俺に会いにきただけのようだった
終生発情期のスネークにしては、とても珍しい行動
だが、今は都合がいい
スネークにコーヒーと菓子を出し、しばらく雑談をして
高鳴る心臓を押さえながら、俺はつとめて平静を装ってスネークに笑いかける

「ん、もらおうか」

俺の意図に気付かないスネークは、小さく笑って俺にカップを差し出した
そのことにガッツポーズを取りたい衝動をどうにか堪えて、俺はカップを受け取ってそそくさと部屋の奥に引っ込む

「ふふふ…今日こそ男役を譲ってもらうぞスネーク…」

コポコポと音を立てるコーヒーメーカーを眺めながら、俺は抑えきれない喜びのままそう呟いた
スネークの分のコーヒーをカップに注ぎ、俺は戸棚から小さなピンク色の小瓶を取り出して、中身をカップに数滴落とす
ピンク色をしたソレは、カップの中のコーヒーに混ざってあっという間に見えなくなった
念のため匂いも嗅いでみるが、特に変わった匂いもしない
これならスネークも気付くまいと、密かにほくそ笑んだ

ビンの中身は、媚薬だ
以前スネークに内緒で使われ、大変な目にあったといういわくつきの物だ

「体に力が入らないくらい敏感になってしまえば、俺でもスネークに力で勝てる!」

この薬の効力は、身を持って知っている
触られるだけなのに、まるで愛撫されているくらい感じてしまった
当然、愛撫をされれば…まぁどうなるかは察して欲しい
コレを飲めば、スネークもあの時と俺と同じ状態になるに違いない
そうなれば、俺が男役に回ることなどたやすいことだ

スネークに力で勝てず、なお拘束も不可能だというならば
スネークの力を弱めてしまえばいいのだ
媚薬はあまり詳しくないが、これは人体に特に悪影響はないとスネークが言っていたのが頭の隅に残っている
問題ないならいいだろう
スネークも俺に遠慮なく使ってたし

「はいスネーク、コーヒー」

適正量より少しだけ多めに入れたそれを、スネークの前に置く
頼むから、疑わずに飲んでくれよ…

「あぁ、ありがとう」

そんな俺の必死の祈りが通じたのか、スネークは何の疑問も持っていない風にコーヒーを口に運ぶ
その喉が動いたのを確認し、小躍りしたい気持ちになった

「…どうしたカズ、やけに嬉しそうじゃないか」

だが、あまりの嬉しさに表情に出ていたのか
どこか訝しげな表情でスネークが俺の顔を覗き込んでくる
その言葉と瞳に、ぎくりと一瞬からだが強張った
どうにか、誤魔化さなければ…!!

「い、いや…アンタとこうしてゆっくりできるの嬉しいなぁって」

「はは、今日はやけに可愛いことを言うんだな」

とっさにそう口にすれば、スネークは目元を緩めて柔らかい表情で笑った
…よかった、うまく誤魔化されてくれたようだ

後は薬が効くまで、適当に話をしていればいい
俺はスネークの隣に座って、その様子を観察しながら適当に話題を振っていく

「でな、その時博士が…」

…話題を振り続けること、約15分
未だに、スネークに変化が見られない

おかしいな…俺のときは10分くらいでもうぐにゃぐにゃになっちゃったんだけど…
変わらずに俺の話をニコニコと聞いてくれるスネークに、内心焦りが出始める
いくら俺が話し上手で話題が豊富だといっても、そろそろネタ切れだ
第一、 同じ場所で暮らしているんだ
話すネタなんて、たかがしれてる
だが、部屋から帰られても困る

「でな、それで…」

話題、話題…えーっと、何か話してないことあったっけ?
必死でここ最近の記憶を整理しながら、笑顔を崩さないように喋り続けていると

「で、カズ」

さっきまで俺の話を聞くだけだったスネークが、口を開いた

「何だスネーク?」

助かった
スネークから話題を振ってくれるなら、俺はそれを聞いて膨らませるだけでいい
自分で話題を振るより、時間が稼げる
ほっとしながら、そう聞き返すと

「お前、コーヒーに何入れた?」

物凄い笑顔で、核爆弾が投下された
その言葉に、びしりと体も思考も固まる

「いや別に?砂糖とミルク入れといたほうがよかったか?」

背中にブワリと浮かぶ汗を感じながら、とりあえずしらばっくれてみる
もしかしたら、薬が効き始めているのかもしれない
それなら、もう少したてばきっと俺の思い通りに…

「…この前お前に飲ませたアレなら、俺にはあまり効かんぞ?あの薬と俺は相性が悪いからな」

「うそっ!?」

だが、続く予想だにしていなかった言葉に、俺は取り繕うのも忘れてつい声を上げてしまった

しまったと思ったときには後の祭り
スネークは盛大なため息を吐きながら俺を咎めるような瞳で見てくる
その視線に居心地の悪さと、この後されるであろうことが容易に想像できて嫌な汗が出てくる
さて、どうにかしてココから逃げるための算段をしなければ
抵抗しても無駄かもしれないが、抵抗しなければこの後スネークだけが楽しい展開になるのは目に見えている

「やはり媚薬か…よくアレを手に入れられたな、結構珍しいものなんだが」

「あはは〜俺ちょっとトイレいきたいなぁなんて」

「逃げようたってそうは行かないぞ?」

じりじりと後退していた俺を、にやりと笑ったスネークはいとも簡単に抱き寄せてしまう
押し付けられる腰に、すでに準備万端なスネークのナニが当たっている
その感触に、嫌な予感が予感でなくなるのを感じた

「き、効かないんじゃ!?」

「効きにくいだけで効かないわけじゃない」

しれっとそう言ったスネークは俺を抱え上げ
ベットへと、放り投げた

「ちょ、スネーク!まだ昼間!!」

「せっかく可愛くて仕方ない恋人が、激しくめちゃくちゃにされたくてたまらないと媚薬を盛ってくれたんだ。期待に答えなければ男じゃない」

「何も言ってない!俺何も言ってないんだけど!?」

ギシリ、とベットが軋み、スネークが俺に覆いかぶさる
その瞳が、まるで飢えた獣…いや、それを遥か通り越しているといっていいほど凶暴な色をしていて
背筋が、ぞくっと震えた
その震えは期待とかそんな甘いものではなく、純粋な恐怖ゆえだ

「照れなくてもいい、たまには昼間から恋人の激しい欲望のままに陵辱されたい日もあるだろう」

「そんな日があってたまるか!!頼むから話をっ…やぁんっ」

「激しいプレイが好みなら、そういってくれればよかったのに…媚薬なんぞ盛らなくとも、望むならいつでも手加減無用で相手してやる」

「だから俺何も…やめ、ふぁっ、いやぁ…」

「俺に全てを任せろ…全て委ねて快楽に溺れろ」

こうして、ミッションに失敗した俺は快楽地獄という名の恐怖を味わうのだった





















カズヒラ攻受逆転計画その2
媚薬を使ってスネークの体を敏感にしちゃおう作戦も見事失敗
これから、カズは獣となったスネークに思う存分貪られます
というか、このシリーズのスネーク何気に酷い(笑)
あ、いつもですかすみません

お題・受攻逆転を狙うネコさんの御題
配布先・モノクロメルヘン

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