ストラブ博士のサンタ計画〜聖夜編



カチャリ
扉の開く音が聞こえて、俺ははっと目を覚ました
まだ寝付いてからそう時間はたっていないだろうから、今はおそらく夜中だろう
コツリ、コツリと床をブーツのようなものが叩く音が響く
念のため、枕の下の銃を手に取り足音が近づいてくるのを待ち

「誰だ?」

音がすぐ側で止まると同時に跳ね起きて、侵入者に銃を構えた
その銃口が向いた先には

「やぁビッグボス、メリークリスマス」

大きな袋を担いだ、ミニスカサンタ姿のストレンジラブが立っていた
可愛らしいサンタクロースの衣装のスカート太ももの中ほどまでしかなく、すらりとした足を黒いタイツが覆っていて
膝まである茶色を基調に沢山のファーがついているブーツが足元を美しく見せている

カズがこの格好できてくれたらよかったのに

その姿に、俺は真っ先にそう思った
カズも足のラインが綺麗だから、黒いタイツもふわふわのファーがたっぷりついたミニスカートもよく似合うだろう
黒いタイツを破いて、肌の白さとのコントラストを楽しむのもいいな
スカートだから、ある程度タイツを破ったら事をいたせるしな

「…博士、何をしている?」

そんな邪な妄想に浸りながら、構えていた銃を降ろす
それにしても、いつの間にこんな衣装を用意したんだ?
頼んだら、カズの分も用意してくれないだろうか

そんなことを考えていると、博士は軽く指を振って

「博士ではない…私はサンタクロースだ」

そう、堂々と言い放った

「いや、どうみてもストレンジr」

「それはおそらくよく似た別人だ。私は正真正銘のサンタクロースだ」

いや、お前みたいなのが何人もいたら恐ろしいぞ

一応その言葉は飲み込んで、大きくため息を吐いてみせる
そういえば、先ほどのクリスマスパーティーという名の大宴会で、悲痛な顔をしたヒューイがなぜか俺に謝ってきたが
なるほど、このせいか
あの時は何が何だかわからなかったが、ようやく納得がいった

「博士…俺は知っている。サンタはいないと」

俺は1月ほど前に、偶然サンタがいないと知ってしまった
さすがにショックだったが、もうプレゼントをもらえる年でもなかったのでそれほど落ち込むこともなかった
いや、例えサンタを信じていても、この博士の姿を見てサンタだとは思えないが

「ビッグボス…サンタは存在する。私がサンタクロースだからな」

だが、博士はあくまでサンタクロースだと言い張るようだ
というか、博士がこんなことをする理由がわからない
カズにでも、頼まれたのだろうか
カズは、俺がサンタを信じていたことを知っている
きっとカズはサンタがいないと知っていたんだろうが、俺が信じているのを見て黙っててくれたんだろう

カズは捻くれものの頑固者だが、根は優しい
可愛くて優しくてよく気がついて…まさに完璧な恋人だ、俺の自慢だ
あぁ、せっかくの聖夜だというのに、何故俺は博士のサンタコスを見ているんだろうか
どうせなら、カズのサンタコスが見たい
そして、聖夜を思いっきり満喫したい
何か用事があるらしく、2人きりで過ごせないと申し訳なさそうに謝る恋人の姿を思い出しながら、俺はもう一度ため息をついた
博士じゃなくて、カズがサンタコスで来てくれれば…

「さてビッグボス…君は今年世界を救った。その功績をたたえて、今年は特別に大人である君のところに私、サンタクロースがプレゼントを持って来た」

ぼんやりとカズに思いを馳せていると、博士は左肩に担いでいた袋を下ろし

「入れ」

扉に向かって、そう声をかけた

その中に入っているんじゃないのか

そんなことを思いながら、扉に目をやれば
見慣れた顔が、どでかい袋を抱えながらトナカイのコスプレをして入ってきた

「…ホーネット、マングース…お前らまで何やってるんだ?」

そいつらはカズの側近中の側近、ホーネットとマングースだった
暗いからだろうか、心なしか顔色が悪い

「いえ…」

「トナカイ、です…」

お前ら、一体何があった

どこか疲れたような、諦めきったような声でそう答える2人に、一体何があったのかと心配になる
そういえば、こいつらが絡んでいるということは、やはりカズが博士に頼んだのだろうか?
いや、だがいくら俺でも博士のコスプレは気づくが…

「ごくろうだったな、降ろせ」

そんな彼らに構うことなく博士は顎でそう命じ、彼らは逆らうことなく俺の前にどでかい包みを置いた
いつの間に、そんな女王様と下僕みたいな上下関係が出来上がっていたんだ
もう、博士がサンタじゃなくて女王様に見えてくる
手に黒い鞭でも持っていたら、完璧にクリスマス仕様の女王様だ

「ビッグボス、これが君へのプレゼントだ」

半ば現実逃避に近いことをぼんやりと考えていると、博士はその包みを指差して俺の顔を見る
つられて俺も地面に横倒しにされた包みを眺める
淡いブルーの袋に、金色のリボンがグルグルまきにされている
というか、この包みやたらとデカイな
細長いソレは、ゆうに人一人分くらいの大きさが…

人、1人分?

その大きさに、ある期待が胸を過ぎる

「…サンタは、その人間が欲しいモノをくれるんだよな?」

念のため、博士にそう問いかければ

「あぁ、ボスが一番欲しいであろうプレゼントをチョイスしてある」

自信たっぷりに、そう微笑んだ

その微笑に、ある種の確信を持って包みに手をかける
リボンを解いて、はやる心を抑えながら包装紙を破り捨てると

予想通り、中から眠っているらしいカズが出てきた
頭にサンタクロースの帽子を被り、肩に可愛らしいケープをかけている
その体はよく言えば色とりどりのリボンで綺麗に飾り立てられている
ぶっちゃければ、がっつりと拘束されている
後ろ手に縛られた腕、絶妙な位置に絡む縄はまさに芸術といってもいい
大きく開かれたむっちりとした太ももには縄が食い込んでいて、まるで極上のハムのようでとても美味そうだ
そして股間には良心のつもりか、上品な白いハンカチがかけられている
だが、隠されていることで余計に卑猥さが増している

たまらない姿に、思わず湧き上がった生唾を飲み込んだ

「博士…これは…」

「安心しろボス、包装は全て私が手がけた」

いや、そこが聞きたいんじゃないが
そう思ったが、博士の背後で引きつった顔をしている2人を見る限り、おそらく中に数が入っていることは知っていたが、こんな素晴らしい…げふん、あられもない格好をしているとは知らなかったんだろう
いや、こいつらがこんな格好にしたとか言ったら軽く殺すかもしれんが

「後、コレはおまけだ」

再びカズに視線を戻し、その素晴らしい姿を堪能していると
博士はさっきまで担いでいた袋から60cmくらいの大きさの箱を取り出した

「おまけ?」

「あぁ、プレゼントをより堪能してもらおうと思ってな」

カズと同じように淡いブルーの包装紙に金のリボンがかかっているそれを受け取り、開けても言いかと目で問いかける
博士は俺の問いかけに小さく頷いて、手を差し出して開けろと示す
示されるまま、包装紙を乱暴に破いて箱を開けると

「これは…」

「気に入ってもらえたか?」

中には、電池式でスイッチを入れると震えたり、ぐるぐる動き回ったり、大きさの違う球体が棒状に連なったものとか
平たく言えば、大人のおもちゃがたっぷりと入っていた
ご丁寧に、ローションも数種類用意してある

「普通のと、舐めても平気な味つきと、媚薬入りだ」

「媚薬…」

「粘膜に塗ると、痒みに似た疼きを引き起こす。擦って欲しくてたまらなくなるぞ」

博士の言葉に、あられもなく乱れるカズの姿が一瞬で頭を過ぎる
しかもご丁寧に、カズは程よく縛り付けてある
もう口では言えない妄想が頭の中に広がり、ごくり、ともう一度生唾を飲み込む

「あぁ、ちなみにボスの恋人へのプレゼントは明日1日の自由だ。彼の業務はとても優秀なトナカイ達が済ませてくれる」

さらに続く博士の言葉に、一瞬後ろの2人が何かを言いかけたが

「「…はい、そうですね…済ませます…」」

博士のひと睨みで、どこか達観したような表情で独り言のように呟いた

カズは、明日1日自由
そして、俺へのプレゼントはカズと大人のおもちゃと数種類のローション
そんな夢のようなプレゼントをされれば、することはひとつ
思う存分、聖なる日を楽しむに決まっている

「まぁ、それもこれも、ボスが私をサンタと認め、サンタを信じるというならプレゼントしよう」

にこり、と博士は笑って俺の顔を覗き込む
俺の答えなんか、当に決まっていた

「もちろんだ!ありがとう、サンタさん!」

俺は自分で出来る最高の笑顔で博士…いやサンタさんに心からの礼を口にした
こんな素晴らしいプレゼントをもらえるなら、サンタだろうか神だろうが悪魔だろうがなんだって信じてみせようじゃないか

「あぁ、ちなみに箱の底には衣装も入ってる。必要なら使うがいい」

「黒タイツもか?」

「当然だ、お前たちに優しいように破れやすい素材で出来ている」

「さすがはサンタクロース、いいセンスだ」

「お褒めに預かり光栄だ」

俺達の会話を、後ろの2人…いや、トナカイはどこか諦めたような目で見ている
その口元には、諦めた人間が浮かべる独特の笑みが浮かんでいた

「さて、私たちも色々と忙しい。プレゼントが気に入ってもらえたなら失礼しよう」

「本当にありがとうサンタさん。メリークリスマス」

「あぁ、メリークリスマス…ほら行くぞお前たち」

サンタさんは、にっこりと何かをやりきった達成感を含んだ笑みを俺に向け
トナカイは、転がされているカズに哀れみを含んだ視線を向け
どこか軽い足取りで、重く引きずるような足取りで
俺の部屋から出て行った

俺はサンタさんとトナカイが出て行った扉を眺めた後
目の前にある、最高のプレゼントの数々を眺めて考える

さて、これほどたくさんあるんだ
別に、今日全部使ってしまわなくてもいいだろう
カズにばれないように隠しておいて、ゆっくりと小出しに使っていこう

抑えきれない笑みを浮かべたまま、とりあえずベットの下にカズ以外の物を押し込んでおく
そして、よく眠っているカズを抱え上げてベットに寝かせ

「起きろ、カズ…」

さっそく聖なる日を楽しむために、カズの体を軽く揺すった


















超絶突貫工事ですすみません(土下座)
ソリリキクエに夢中になってたらクリスマス忘れてたんだよorz

きっとこれからスネークだけが楽しいクリスマスが始まると思います

皆様メリークリスマス!
イチャイチャする男女にはもれなく管理人から前歯に青海苔がついている呪いがかかります(やめんか)

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