初体験は副司令室で・2



「いい眺めだぞ、カズ」

そう、スネークの楽しそうな声が降ってくる
一体どんな表情をしているのか想像できても、実際に見ることはできない

「そうか、俺の気分は最悪なんだが」

「可愛いなぁ、お前は」

会話が繋がってねぇよ!
そういって殴ってやりたいけど、腕を動かしても頭の上から何かが擦れる音しか聞こえてくるだけ

「似合うぞ、その格好」

「言われても嬉しくとも何ともないんだが」

スネークが褒めた今の格好
目をいつも愛用しているスカーフで覆われ、手首を縄で縛られてベットのパイプに括り付けられている
もちろん、全裸で

男なら、一度はやってみたいがされたくはないこの格好
今そんな格好をさせられていると思うと、無性に泣きたくなってきた

「もうさっさと調べるなりなんなりしてくれ!んで解いてくれ!!」

「カズはせっかちだな…急いでもいいことは何もないぞ?」

あるさ!
このどうしようもない格好から開放されるじゃないか!!

「まぁ、ゆっくりと調べさせてもらうさ」

「うぁっ」

いきなり首筋に熱い感触がして、つい声を上げてしまう

「何だ、今日は可愛く鳴いてくれるじゃないか」

クックッと笑う気配がして、カッと顔が熱くなる

…見えないっていうのは、思いのほかでかい
次に何をされるか予想がつかない
声が、抑えられない

「んっ…」

ぬるりと、熱いものが首筋から胸元へ滑り落ちて
きゅっと、胸の飾りが摘まれる

「あ、ぁっ…」

そこをクリクリと弄りながら、熱いものは下へ降りていく
胸から腹にかけて、しつこく唇が落ちて吸われる感覚がする
まるで、何かを描いているような

「…キスマークとかは、付けられていないようだな」

足の付け根まで舌を滑らせたスネークが、どこか満足げに呟く声が聞こえて
するりと、わき腹を撫でられ体が跳ねる

「あ、たりまえだ…何にも、してない」

「どうかな?もう少し調べてみないと」

くすりと、楽しげに笑う気配がして
腰を持ち上げられ、何か柔らかいもの…多分、クッションだ…がその下に捻じ込まれた

ちくしょう!またこの格好かよ!

「うむ、絶景だな」

「も、やめろ!恥ずかしいんだよコレ!!」

「ちゃんと調べるには、しっかり観察しないとな」

「だから何もしてないっつーの!!」

バタバタと足を動かしてみるものの、うまくバランスが取れなくて体勢を変えられない
そんな俺を見ているはずのスネークが、小さく笑う気配がして

「ひゃっ」

後ろに、ぬるりとした感触が走る

「ちょ、スネーク!何してっ!」

「今日はローションを持っていないからな…ちゃんと濡らさないと痛いだろ?」

ぬるぬると、ソコを舐めあげられて腰が震える
じわりとソコから広がる快感と、あまりの恥ずかしさに泣きそうになる

「やだっ…そんなとこ、舐めんなっ」

「濡らしとかないと、後が辛いぞ?…カズも、痛いのはイヤだろう?」

性器を舐められたときとは、比べ物にならないほどの羞恥心
今まで、スネークにしか見られたことのない場所を舐められている
快感と入り混じる羞恥心に、

「やだ、やだっ」

「カズはイヤだばっかりだな…なら、これもイヤか?」

「あっ」

いきなり性器を握られ、強烈な快感が体を駆け抜ける
その間も、ぬるぬるとした舌が後ろを舐め
するりと、体の中へ入ってきた

「あっ、あ!」

視界がさえぎられているせいで、舌の動きが、指の動きが、はっきりと伝わってきて
強烈な羞恥と、快感がグチャグチャに混じりあい
先端を強く擦られた瞬間、あっけなくイってしまった

「…早いな、そんなに気持ちよかったか?」

「う、るさいっ」

ニマニマと笑っているスネークの顔が、ありありと想像できて
無性に腹が立って、スネークがいるであろう方向に蹴りを繰り出した瞬間

カタリ

どこからか、何かが落ちるような音がした

「あぁ、カズが暴れるから…」

スネークのため息が聞こえ、どうやらさっきの蹴りの衝撃で何かが落ちたらしいことがわかった

ギシリ、とベットが軽く軋み
今まで俺に触れていたぬくもりが、消えた

「…スネーク?」

大丈夫だ、落ちた何かを拾ってるだけだ
そうわかってはいても、ゾクリとした恐怖が背筋を這い上がる

恐怖?
何が、怖い?

必死に聴覚を研ぎ澄ましても、物音1つ聞こえない
ドクドクと、心臓が嫌な感じに鼓動を始める

もしも
もしも、このままスネークが俺を置き去りにしたら?
このまま、1人ぼっちで取り残されたら?
たった1人で、取り残されてしまったら?

ゾッと、背筋を冷たいものが走る

俺の視界は、まったくきかない
もしも、もしも今まで俺の側にいたのがスネークじゃなかったら?
俺が見えないのをいいことに、誰かがスネークに成りすましていたら?
スネーク以外が、俺の体に触れていたとしたら

そう考え、急に見えないことがどうしようもなく怖くなった

「イヤだっ…スネーク、スネークどこだよ!?」

見えないことが怖くて、どうにかして目を覆うスカーフをもぎ取ろうとするけど、縛られた両手ではとても届かない
それが、さらに恐怖をあおり

「やだ!スネーク、スネーク!!」

どうにかして逃げたくて、めちゃくちゃに暴れた

「カズ!?」

パニックを起こした俺に慌てたのか、スネークの声がして体を押さえつけられる

「やめろ、肩を痛めるぞ!」

けど、こいつは本当にスネークか?
姿を見たくても、視界がきかない
触れたくても、両手の自由がきかない
一度疑いだすと、何もかもが疑わしく思えてくる

スネークじゃないとイヤだ
俺に触れるのも、こんなことをするのも
スネークじゃないとイヤだっ!

怖くて怖くて、涙がボロボロと零れだす

「イヤだぁっ、スネーク、どこスネーク!?」

「カズ…」

「やだぁ…スネーク、スネークっ」

泣きながら暴れていると、はらりと目元を覆っていたスカーフが解かれる
急に明るくなった視界に目を細めていると、両腕を縛っていた縄の感触が消えた

「カズ」

ようやく、明るさになれた視界の先で
スネークが、笑っていた

「すねー、く…?」

「どうした、カズ…俺はここにいる」

ゆっくりと手を伸ばせば、スネークの手が俺の手を握り
そのまま、指を絡められる

あぁ、スネークだ
俺の知ってる、スネークだ

「すねー、スネークっ」

「悪かった、怖かったなカズ」

安心感でボロボロと泣きじゃくる俺を、スネークが笑いながらあやすように撫でる
そのことが嬉しくて、緊張の糸が切れたせいで涙が止まらない

「う〜、う〜…」

「俺が悪かった、だから泣き止め」

目の前の体にすがり付く俺に、スネークは軽くキスを落とす
額、瞼、頬…それから、唇

「ん…」

「はっ…カズ…」

一度口を離し、今度は深く口付けられる
ぬるりと入り込む舌に、自分のソレを絡める
ぬるぬると絡まる舌が気持ちいい
夢中でそれを絡ませあい、混ざり合う唾液を飲み込む

「…カズ、もう入れていいか?」

離れた唇に伝う銀の糸を舐めとったスネークは、俺の髪をなでながらそう囁いた

「ん…」

俺はそれに小さく頷いて、そろりとスネークの背中を足で撫でた
その仕草に、スネークはスッと目を細め

「入れるぞ」

ゆっくりと、腰を進めてきた

「あ、あ…」

「痛くないか?」

心配そうに頬を撫でる手に、返事の代わりにするりと頬を寄せる
それをいいようにとったのか、スネークは満足げに笑うとゆっくりと腰を使い出す

「ん、や、スネーク…」

快感に流されてしまいそうな体を、スネークにしがみ付いて耐える

「可愛いな、カズ…」

「やっ、あ、ぁ」

俺に触れているのが、気持ちいのが、ちゃんとスネークなのが嬉しい
見えないより、見えるほうがいい
触れられないより、触れるほうがいい

突き上げられる快感に、ぼんやりとそんなことを考えた

「カズっ」

スネークも余裕がないのか、徐々に突き上げが早くなる
性器を握られ、一気に体が絶頂に向かって
快楽にぐちゃぐちゃになった脳みそは、とりとめのないことを考え始め
いつもとは、違った方向に思考がずれていく

「イけ、カズ…」

快感に眉を寄せ、荒い息を吐き出すスネークを
何故か、愛しいとすら思った

「あ、すねーくっ…やぁぁっ」

奥を突き上げられ、グリグリと性器を弄られ
たまらずに、欲を吐き出した







「…おいカズ、いい加減でてこい」

スネークの呆れたような声が、頭の上から聞こえてくる
最初と同じく、顔を見ることはできない
けど、別にまた目隠しをされてるわけじゃなくて

「うるさい、さっさと出て行け」

俺が、全身シーツに包まっているからだ

だって、恥ずかしいだろ!
目隠しされて怖くなって、大の大人が泣き出すなんて!
しかも、スネークにすがりまくって甘えまくったなんて!!
そんな俺を、がっつりスネークに見られてたなんて!!!

羞恥心で死ねるというのが、今初めてわかった
誰か数十分前の俺を殺せ!
ソレが無理なら今すぐ俺を殺せ!!
あぁもういっそソコの窓から飛び降りてやろうか!!?

「そんなに恥ずかしがるな、可愛かったぞ?」

「…今すぐその口を縫い付けられたくなかったらさっさと出て行け!」

「照れ屋だな、カズは」

「俺と会話しろ!というか出てけ!ここは俺の部屋だ!!」

ぎゃんぎゃん吼える俺とは対照的に、スネークが楽しそうに笑う声が聞こえ
ずしりと、丸まった背中に重みが加わり
シーツ越しに、暖かなものが触れた

「カズ、悪かった…そんなに怒るな」

「抱きしめるな!出てけっつってんだよ!!」

「断る、と言ったら?」

「ぶん殴ってやる!」

「この体勢でか?」

クスクスと笑う声が降ってきて、俺は言葉に詰まる
確かに、シーツに包まってる上背後から抱きしめられてる今の体制じゃ、抵抗することすらできない

「う〜…」

「ほら、大人しくしてろ」

この体勢じゃ、スネークを殴ることも振り落とすこともできない
そう、自分に言い訳しながら
俺は大人しく、しばらくスネークの腕の中にいた



















今日はAmazonからCDが届かないと知って、むしゃくしゃして書いていた
でも、書いてる途中で佐川さんが頑張って届けてくれた
だから、中途半端にしかむしゃくしゃしていなかった
だから、何となく中途半端になった
後悔と反省しかしていない

これ、R18表記でいいんでしょうか…?
むしろ、R指定いらなくね?

テーマは、目隠しでガチ泣きカズ
次に繋げるために心理描写多くしたらエロが薄くなった
そして、相変わらず出張るオポッサム

途中でうっかりCD聴いてしまったため、全体的に軸がぶれている
…マジすんませんでした…

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テーマ「人外ファンタジー」
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