初体験はシャワールームで・1



「はぁ〜…」

俺は、共有施設のシャワールームで湯を浴びながら、大きくため息をついた

「どうしたんですか、副指令?何か悩み事でも?」

「あぁ…うん、何でもないんだ」

心配そうに俺を見てくる兵士に、軽く手を振って何でもないと示すと、兵士は訝しげな顔をしながら、何かあったらいつでも相談に乗りますから!と元気よく励ましてくれた

気持ちは嬉しいが
言える訳がない…

男に突っ込まれて、気持ちよくなっちゃったんだけど、どうしたらいい?なんて…
しかも、その相手がここの司令官のスネークだなんて

あの忘れたい事件から数週間
俺は、あの忌まわしい日の記憶に悩まされ続けている

そのことを忘れようと、あれから何人かの関係を持ってる女兵士達と寝た
というか、次の日から頑張って忘れようとしている

けれど、がっつり刻まれた記憶はなかなか消えず
今も俺を悩ませている

しかも、目を閉じている間にキスマークを付けられていたらしく

『あら、どこの可愛い子猫ちゃんと遊んできたのかしら?』

アレから寝た相手にそう笑われて、初めて気がついた
そいつが、俺とは体の関係と割り切ってくれてる奴だからよかったものの…
他の奴だったら、またこの間の喧嘩の二の舞になるところだった

まぁ、それはいい
問題は…この間のスネークとのセックスが良すぎたことだ
生まれて初めて突っ込まれ、イってしまったのは男として情けないが…
アレは、非常に気持ちよかった

女兵士と寝ても、どこか物足りなさを感じてしまう体が恨めしい

あれだ、俺が淫乱とかじゃなくて、スネークがテクニシャンなんだ
そうだ、そうに決まってる

けど、スネークに気持ちよかったからまた抱いてくれというのは、男としてのプライドが許さない
というか、男とセックスして…ましてや突っ込まれる側で気持ちよくなってしまったなんて、今すぐにでも記憶から抹消してしまいたい
医療班に頼んだら、記憶の一部分だけ消してもらえる薬とか開発してもらえないだろうか

そう、どうでもいいことを考え込んでいたから、気づかなかった
ものっ凄い笑顔をしたスネークが、すぐ後ろまで迫っていることに

「おい、カズ」

背後から急に聞こえたスネークの声にビックリして、思わず振り向いて

「へっ?」

いい笑顔のスネークを視界に入れた瞬間
ぐるりと世界が反転し
そのまま、意識がブラックアウトした

「ボ、ボス!?いきなりCQCなんてどうしたんですか!?」

「こいつの悪い癖が出た、ちょっとがっっっつり説教してくる」

「あ…は、はい…ほ、ほどほどに、してあげてくださいね…」

とてつもなくいい笑顔のスネークと、その笑顔に完全に怯えきった兵士との間に、そんなやり取りがあったことは
完全に意識を失っていた俺には、知る余地もなかった





「ん…」

ブラックアウトした意識が浮上してきて、ふっと目を開けると

「お、起きたかカズ」

「…スネーク?」

何故か下着一枚で椅子に座っているスネークが、目に入った
その椅子は、スネークが愛用しているもので
ここが、スネークの私室だということがわかった

あれ…俺なんで…

そう思いながら、体を起こそうとした瞬間
激しい違和感に気がついた

「…な、なんじゃこりゃぁぁぁ!!?」

俺は、スネークのベットの上に転がされていた
何故か、全裸で
しかも、右足首と右手首、左足首と左手首
それぞれを、黒い縄で一纏めにされて

「ちょ、何だよコレ!?」

突然のことに半ばパニックになり、縄を外そうともがく
ありとあらゆる縄抜けの方法を試してみるが、一向に解ける気配がない

「くっそ、解けないっ!誰がこんな…」

「そりゃそうだ、縄抜けできないように縛ってあるからな」

「アンタが犯人か!!」

「いい眺めだったぞ、カズ」

「しかも観察してたのかよチクショウ!いいから解いてくれ!!」

どうにか解けないかと手足をバタバタ動かしてもがいていると、ギシリとすぐ側で音がして、視界にスネークの腕が映る
その音に、ハッと頭が冷静になる

ここは、スネークの部屋だ
俺が気絶したもの、よく思い出せばスネークに声を掛けられた瞬間だ
そして、スネークは俺を縛ったという
さらに、俺は全裸…

このことから思い起こされる状況に、今更ながらぶわぁっと冷や汗が吹き出た

「す…スネーク?」

「俺は言ったよな、カズ?ヤりたくなったらいつでも相手してやるから、兵士達に手を出すのはやめろと」

確かに、そんなことを聞いた覚えがある
けど、それより抱かれて気持ちよくなってしまったほうがショックで今の今まですっぽり頭から抜けていた

「あ…うん…」

「それなのに、女兵士達に手を出してるってことは…覚悟してるってことだよな?」

何を!?
何を覚悟してるって言うんだ!!?

ダラダラと流れる冷や汗が止まらない

俺を見つめるスネークの表情
その笑顔は
もんのすごくいい表情で
目が据わっていた

「(ヤバイ…逃げなきゃ食われる!)」

そう思い、何とか逃げようとした瞬間
太ももの間に、スネークが体をねじ込ませ、脇下に腕を差し込まれ
完全に、ベットに固定されてしまった

普段なら軽く逃げ出せるが、手首と足首が結ばれた今の状態じゃ逃げることはほぼ不可能だろう

「(俺の馬鹿!!)」

何故、さっき起き上がっておかなかったんだ!!
パニックに陥って、たもがいていた数分前の俺を本気で恨んだ

「縛られてるんだ、大人しく観念しろ」

「できるかぁぁぁ!!!」

大人しくしたら、その瞬間食われるに決まってる
いや、このままでも食われることは確実なんだけど!

せめてもの抵抗に、スネークの体に膝を打ち付けてみるものの
手首と足首が繋がれているせいで威力がまったくないらしく、スネークははぁ、と小さくため息を吐いただけだった

「まったく…カズは素直じゃないな」

「そういう問題じゃないっ!とにかく解いてくれ離してくれ!!」

「安心しろ、この間みたいにたっぷり気持ちよくしてやるから」

「そういう問題でもなぁぁぁい!!!」

スネークとの会話が、今までにないくらい噛みあわない
半ば泣きそうになっていると

「うぁっ」

スネークが胸に顔を寄せ、ちゅうっと胸の飾りに吸い付いた
その感触に、体がビクリと跳ねる

別に感じているわけじゃない!感じてるわけじゃないけど!!
熱い舌先がそこを舐め、吸い付かれるたびにぞわぞわとしたものが全身に広がっていく

あれだ、この間は目を閉じたから逆に意識してしまったんだ
なら、逆に見てやればいい!

そう思って、胸元に視線をやると

「(うわっ…)」

スネークの赤い舌先がペロリとそこを舐めて軽く噛み付き
もう片方を、指先でこねくり回す姿が目に飛び込んできて

視覚から煽られ、かぁっと腹の奥が熱くなった

「(俺の大馬鹿野郎!!)」

反射的に目を閉じてしまい、前のときと同じように余計に舌や指の動きを意識していまい
そして、先ほどの光景がまぶたの裏に浮かんで消えない

腹の横を撫でられ、ゾクリとした感覚が背筋を這いあがって、思わず息が詰まる

「…嫌がっている割には、気持ちよさそうだな」

「き、気持ちよくないっ」

「そうか?もう勃ってるぞ?」

わき腹をなでていた手が内股を撫で、その先の性器へと触れる
胸を弄られる感覚に集中していたせいで気づかなかったが、そこはすでに半勃ちになっていた

「う…」

そのことを思い知らされて、泣きそうな気分になる
俺、男なのに…胸弄られて勃つなんて
しかも、その相手がスネークだなんて!
男としてのプライドが、ガラガラと崩れていくような気がした

「そんな顔をするなカズ、男でもココを弄られれば気持ちいいもんだ」

あからさまに表情に出ていたのか、苦笑しながらスネークが指先でソコを弾く

「んっ…」

「な?」

何が、な?なのかよくわからない
けど、宥めるように髪を撫でながら優しく問いかけるスネークに、何となくそれでいいんだと思えた
…決して、ほだされたわけじゃないからな

「さて、俺もそろそろ気持ちよくなりたいんだが」

けど、続く言葉に反射的に体が強張る
気持ちよくなりたいってことは…

「…さっさと、突っ込みたいってことか?」

ジトリとした目で見てやれば、スネークはどこか困ったような顔をした

スネークも男だ
前戯なんかせずに、さっさと突っ込みたいだろう
突っ込みたければ突っ込めばいい
ていうかもう、慣らさなくていい
とっとと突っ込んで、さっさとイってくれ
んで、さっさと縄を解いてくれ

こんな体制、ものすごく恥ずかしくていたたまれないんだよ!

「カズ、別に突っ込まなくても気持ちよくなれるだろ?」

「…じゃあ、今日は突っ込まないでいてくれるのか?」

スネークの言葉に、一瞬今日は突っ込まれずにすむのかと期待したが

「いや、突っ込むが」

何言ってんだ、みたいな態度のスネークに、僅か数秒で脆くも崩れ去った

「やっぱり突っ込むんじゃないか!もう早くしてくれ!んでコレ解いてくれ!!」

「カズ…俺はセックスはしたいが相手を痛めつける趣味はない」

「じゃあこれ解いてくれ!」

「それはダメだ、拘束は男のロマンだからな」

何が違うんだチクショウ!
そんな思いを込めて力いっぱい睨みつけるが、スネークは逆に何だか楽しそうだ
チクショウ、ちっとも効いてねぇっ

「一緒に、気持ちよくなりたいってことさ」

そう言って、さらりと髪を撫でたスネークは
そのまま、体重を掛けるように覆いかぶさってきて

「うぁっ」

そのデカイ手で、俺とスネークの性器を同時に握り
そのまま、上下に扱かれた

「うぁ、ぁ…」

「カズ…」

スネークの熱いモノが、俺のソレと擦れて
何ともいえない快感に、腰が震える

ぬちぬちと、性器が擦れ合うたびに粘っこい音がして、無性に恥ずかしくて目を閉じる

「カズ、目を開けろ」

けど、耳元で甘く囁かれて、カプリと軟骨を噛まれ

「やっ…」

たまらずに目を開けると

「いい表情だ、カズ」

にまりと笑ったスネークも顔を上げ、噛み付くように口付けられる

ぬるりと絡まる舌に、絶妙なスネークの手淫に、あっさりと追い立てられ

「んんーっ」

たまらずに、絶頂に達する

「ふっ」

ソレと同時にスネークの腰が振るえ、腹に熱いものが落ちる感覚がした

「…いい眺めだな」

息を整えていると、楽しそうなスネークの声が降ってきて
ゆるりと、2人分の精液が飛び散った腹筋をゆるりと撫で
そのまま、指先で2人分の精液を指でかき混ぜる
その仕草が、とてつもなく淫猥なものに見えて、思わず視線を外してしまった




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