初体験はポーカーで・1



「…どうしてこうなった」

俺はスネークの私室で、自分の格好を見ながら頭を抱えていた

『スネーク、ポーカーやらないか?』

きっかけは、ポーカーだった
ちょっとした息抜きのつもりでスネークと始めたそれ
だが、お互いの実力が拮抗していたのと、負けず嫌いが重なって
予想以上に白熱して、いつの間にか、次に勝った方が負けた方に何でも命令できるという話になっていた

その時、俺は勝ったと思った
なぜなら、俺の手にそろっていたのはフルハウス
負けるはずがない…そう思っていた

『どうだスネーク!フルハウスだ!』

けれど、自信満々に出した手札に
スネークはニヤリと笑って

『残念だったな、カズ…ストレートフラッシュだ』

俺の目の前に、手札を見せ付けた

そして今、俺はスネークの私室でベットに座っている
バスローブ一丁で

そして、頭を抱えている俺の耳に届くのは
シャワールームから響く水音
これが、可愛い女の子のものならちょっと覗きにも行くが
残念なことに、ココはスネークの私室
つまりは、シャワーを浴びているのは、スネークなのだ
ちなみに俺は、さっきほぼ強制的に浴びさせられた

「…ほんとに、どうしてこうなった…」

『あ〜あ、負けちまった…約束は約束だ、何でも命令しろ』

自信のあった手で負けて、軽く凹みながらスネークを眺めた
スネークは、何やらものすごく考え込んでいる

まぁ、スネークだしそんな酷い命令はしないだろう

そう、楽観しながら滅多に見れない真剣な顔を眺めていると

『…よし、決めた』

次の瞬間、スネークはものすごくいい笑顔で

『カズ、ちょっと抱かせろ』

と、言い放ったのだ

『だ、抱かせろ?何だスネーク、俺に抱きしめて欲しいのか?』

軽く背中に冷や汗が伝うのを感じながら、俺はどうにか笑みを作って腕を広げて見せた
これで、スネークが何か察してくれないかと願いながら

『すまんカズ、言い方が悪かった…セックスさせろ、もちろんお前が突っ込まれる側で』

けど、スネークはいい表情を崩さないままで、絶望的な言葉を言いやがった

『…本気?』

『本気だ』

『えーっと…俺男だけど?』

『そんなことは知ってるさ』

『スネーク…もしかして、ゲイなのか?』

『いや、バイセクシャルだ』

『…そうか』

別に知りたくもなかった、相棒の性癖に背中に冷や汗がダラダラと伝う
確かに、何でも言うことを聞くとは言った
いや、たかがポーカーの賭けで処女?を失うなんてイヤ過ぎる
いくら相手がスネークだからといって、それはちょっと…

そう、素直に言えばよかったのだけど

『まぁ、カズが怖くて怖くてどうしようもなくて、泣いて土下座しながらやめてくださいどうか違うのでって頼むなら違う命令にするが』

だが、スネークのあまりにも馬鹿にしたような態度と
俺の負けず嫌いを刺激するような言葉に

『怖いわけないだろ!俺は約束は守る!!今夜アンタの部屋に行くから首洗って待ってろよ!!』

と、ほぼ反射に等しくそう言い放ってしまった…

「待たせたな」

呆然とコレまでの経緯を考えていると、いつの間にかシャワーを浴び終えたらしいスネークが俺の前に立っていた

いやいや、全然待ってねぇよ
むしろそのまま永遠に出てこなければよかったのに

そう言いたくなるのを、どうにか堪える

スネークの姿は、俺と同じバスローブで
ほんのりと湿った髪を書き上げるその仕草は、男の俺から見ても色っぽくてかっこいいと思う
女なら、うっかり惚れてしまうかもしれない

でも、悲しい事に俺は男だ

「それじゃ、始めるか」

「えーと…マジでやるの?」

「マジだ」

「え〜…もうちょっとお喋りしようぜ?ほら、ピロートークは大事だろ?」

「そう言って、俺が寝るまで待つ作戦か?」

…バレてら

話をしているうちに、スネークが眠くならないかと考えていたが…あっさりばれてしまった

「そ…そんなわけないだろ?」

ダラダラと伝う冷や汗を気にしながら、どうにかして、時間を引き伸ばせないか考えていると

「カズ、もう黙れ」

焦れたらしいスネークに、いきなり口付けられた

「んむっ!?」

喋っていたせいで開いていた口の中に、あっという間にスネークの舌が入り込んでくる
ぬるりと上あごを舐められて、舌が絡み付いてくる

「(ちょ、巧い!)」

その舌から逃げようとすれば、逆に絡めとられ先端を軽く吸われる
ぬるりと絡み合う舌に、体から力が抜けていく

「…いい表情だな、カズ」

ちゅっと音を立てて唇が離れ
唇を繋げる銀の糸を舐めとったスネークが、意地悪げに笑った

「うるさい、バカスネークっ」

その言葉にムカッときた
けど、思いっきり睨みつけてやっても、スネークはニヤニヤ笑うだけ
ちきしょう、余裕ぶりやがって

「まったく、素直じゃないなぁカズは」

俺とは違い余裕たっぷりな表情のスネークは、ククッと喉の奥で笑うと
首筋に、顔を埋めてきた

「(うわっ…)」

ねっとりと舌が首筋を這いまわり、時折ちゅうっと音を立てて吸われる

その間にも、バスローブの合わせ目から入り込んできた手が胸元をユルリと撫で、きゅっと乳首を摘まれる

「んっ…」

背筋をゾワゾワとしたものが這いまわる感覚に、鳥肌がぶわりと立つ

あれだ、目を閉じてれば大したことはないっ
きっとそうだっ

そう思い、目を閉じてみる
が、逆によりスネークの舌とか指の動きをリアルに追ってしまい、めちゃくちゃ意識してしまう

けど、今更目を開けるのもっグルグルと葛藤していると

「カズ…すまないっ」

「へ?」

急に、切羽詰った声を出したスネークに、ふと目を開けると
スネークは、自分の性器をしごいていた

「(うわ、デカッ)」

というか、他人の自慰行為なんか初めて見た

目を閉じ、行為に没頭するスネークから何故か視線が外せない

「っ…」

やがて、小さく唸ると
俺の腹に、白濁を吐き出した

「すまんな…あのままだと、お前を傷つけてしまいそうだったもんでな」

「は、はぁ…」

すまなそうに眉を下げるスネークに、俺はただ呆然と返事を帰すしかできない
何故か、心臓がバクバクと激しく音を立てている

「さぁ…じっくりと楽しもうか」

けれど、一瞬で表情を変えたスネークに、今度は嫌な意味で心臓が音を立てる
ぺろりと舌なめずりをする、その表情は
まるで、今から獲物を食らう動物を連想させ

「(や、ヤバイ!)」

本能的に、恐怖が全身を襲った

「や…やっぱなし!!」

反射的に体を反転させて、スネークの下から逃げようとしたが

「おいカズ、今更やめるなんて言い出すな」

が、肩を掴まれスネークに背後から覆いかぶさられる形でベットに縫いとめられる

しまった!
スネークに一発蹴りでも入れてから逃げ出せばよかった!!

そう思っても、すでに後の祭りで

「やだやだやだ!スネークのでかいし入るわけないしとにかくイヤだ!!」

「男らしくないぞカズ、」

「やっぱなし!男らしくなくてもいいとにかくやだ!」

訓練しているとはいえ、普段マザーベースに篭りっぱなしの俺とは違い
常に前線でミサイルやらしょって、戦車やヘリを走りっぱなしで相手しているスネークの体はがっしりとした無駄のない筋肉に覆われていて
普段の半ばじゃれあいに近い喧嘩ならともかく、スネークが本気になれば力ではかなうはずがない

わかってはいるけど

「大人しく、しろっ」

「イヤだ!大人しくしたら掘るだろ!!」

「そういう約束だろうがっ」

「やだやだやだ!とにかくイヤだ!!絶っっっ対やだ!!」

大人しくしていたら、あっという間に食われる!

とにかくスネークの下から出ようと暴れまくっていたせいで

「つったく…大人しくしてろ」

スネークの片手が、下半身に伸びていることに気づかなかった

「うぁっ」

その手が、半ば脱げかけていたバスローブの隙間から侵入して
直に性器を握られ、体が震えた
そのまま手を動かされ、あっという間に体から力が抜けていく

言っておくが、別に女との経験が少ないわけじゃない
いや、人数と回数だけで言えばむしろ多いほうだと思っている
けれど、これは…

「(ヤバイッ…気持ちよすぎるっ)」

同じ男だからか、それとも経験が豊富なのか
スネークの手は、感じる場所をピンポイントで刺激する
しかも、とてつもなく絶妙な力加減で
あっという間に、性器が勃ちあがっていく

「うぁっ…ぁ、」

「何だカズ、逃げようとした割にはもうビンビンじゃないか」

うるせぇっ不可抗力だしょうがねぇだろ!!
と悪態の1つでもついてやりたいが、そんな余裕すらない

スネークが手を動かすたび、まさに極上といっても過言ではない快楽が全身を掛け巡り
先走りを塗り広げられる、くちゅくちゅという水音が
耳元に感じるスネークの湿っぽい吐息が、聴覚から快楽を煽り
あっという間に、絶頂寸前まで追いやられる

「(ヤバイ…イクッ)」

そう思った瞬間、スネークの手の動きが変わる
さっきまでポイントを刺激する動きだったのが、今度はそこを微妙に外してくる

ポイントを外され、絶頂寸前だった体は急になくなった快感を求めて震えだす

「や…スネークっ」

「どうしたカズ?そんな目で俺を見て」

わかってんだろこの性悪が!
そんな思いを込めてにらみ付けてやるが、スネークは楽しそうに笑うだけだった

その手の動きも、確かに気持ちいい
けど、絶頂に達するには、圧倒的に足りない
あと少しなのに、もう一押しが足りない

もどかしい、たまらない
早くイきたくて仕方ない

「も、おねがっ…スネークっ」

「逃げずに大人しく抱かれると約束できるなら、イかせてやる」

ふざけんなコノヤロウ!
一瞬、悪態が頭をよぎったけど

「約束する!約束するからぁ!」

全身を支配する、快楽と欲求に耐えられず
俺はこくこくと頷きながらそう懇願した

「いい子だ、カズ」

そんな俺に、スネークは満足げに微笑むと
先端を、軽く引っかいた

「ふぅ、ぁっ」

その衝動で
ようやく俺は、絶頂に達することができた




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テーマ「人外ファンタジー」
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