たまにはこんなのも?
「…男役、やらせてくれるって言ったよな?」
「コレも男役だろう?わがままを言うな」
「これ、わがままなのか?」
「文句を言うな、嫌ならこのまま健全にプロレスするか?俺はそれでも構わんぞ?」
ローションを片手に持ったまま、どことなく不満げに俺を組み敷くカズに、あからさまなため息を吐いてながら俺もじとりとカズを見やった
「今日こそ、俺が男役やりたい」
夜もとっぷりと更け、恋人とベットの上で2人きり
キスをし、互いの体をゆるりと撫であい、組み敷いて服を肌蹴させた途端、もう一体何度目になるかわからない主張を懲りずにカズは口にした
どうしてか、カズは時々こうして男役をやりたいとやたら主張することがある
本人曰く男のプライドがどうたらこうたららしいが、別に普段女役で満足してるんだからいいじゃないか
というか、俺に揺さぶられているときのカズは女の何倍も色っぽいし、女役でも十分すぎるほど気持ち良さそうだし、別に無理して男役に回らなくてもいいんじゃないか?
という本音は普段包み隠して、口達者なカズをなだめすかしておだてて俺主導のいつものセックスへと持ち込むのだが
「…お前、まだ諦めてなかったのか?」
もう服を脱がそうかという段階で言われたせいか、それとも
うっかりぽろり、と口から本音が漏れた
「…まだ?」
しまった、とすぐさま思ったがもう遅かった
ギラリとカズの目が一気に鋭さを帯び、さっきまでほんのりと色香に染まっていた表情が見る見るうちに般若へと変化する
「アンタ…今まだ?って言った?まだ男役やりたいのかとか言った?」
「いや、その…悪かった、つい、な?」
「つい?ついでまだって言えるんだーへぇーそうなんだふざけんな」
「わ、悪か…」
「アンタはいいよな、いっつも突っ込むほうだもんな。男としての本能満たしてるもんな。けどな、俺だって男だぞ?たまには突っ込みたいときあるよ?それなのに何?アンタと同じモン持ってるのにコレから金輪際、アンタと付き合ってる限り使うなって事?何それふざけんな体の構造一緒なのに俺ばっかりって不公平じゃないか俺女じゃないのにいつも突っ込まれる側ってどういうことだよ大体アンタはいっつもいっつも……」
俺に組み敷かれた体勢のままで、真顔で、静かに、けど物凄い早口で延々とキレ続けるカズの小言に疲弊し
「俺が悪かった…」
「じゃあ男役やらせてくれる?やらせてくれるよな本当に悪いと思ってるなら妥協してくれるよなアンタだって子どもじゃないんだし…」
「もうわかった、わかった、男役やらせてやるから機嫌直してくれ頼むから…!」
つい、そう口走った
そして、俺はその約束…カズに男役をやらせるために、全裸でカズに組み敷かれている
だが男役をやらせると約束はしたものの、突っ込まれるのは正直ごめんだ
一度だけなら妥協もしてやろうという気になるが、うっかり譲ってカズが味を占めても困る
もう一回くらいならいいだろう?と甘えてきて、挙句完全に男役に成り代わろうとするカズが容易に想像できて、俺はばれないようにため息を吐いた
一度くらいならいいが、俺の下で可愛らしく喘ぐカズを拝めなくなるのは、非常に困る
カズの口は達者だが、俺だって伊達に戦場を渡り歩いてはいない
嬉々として俺に覆いかぶさってきたカズを必死に説得し、互いにギリギリのラインを見極めながらの交渉を重ね
どうにか、素股という点で妥協させることに成功した
「…いいじゃん、突っ込ませてくれたって。ねぇ、ダメ?」
「まだ言うか…さっき素股で納得しただろう?一度約束したことを反故にする気か?」
まだブチブチと不満げに唇を尖らせ、どうにかして突っ込んでもいいと言わせようと可愛こぶって小首をかしげるカズに、一応俺だって妥協しているんだと少しだけ強気に出てカズを睨む
あまり強気に出てしまうとカズに付け入る隙を与えてしまうが、何でもいう事を聞いてしまえば今度は調子に乗られる
そのギリギリの見極めは難しいが、不思議と面倒ではない
むしろ、どことなく楽しさすら感じられてしまう
「ちぇっ…じゃあ、今回は素股で我慢してやる」
相手がカズだからだろうか?と馬鹿げたことを考えていると、ようやく諦めたのか盛大にため息を吐きながら、突然人の太ももにローションをぶっ掛けてきた
「っ…おいこら、冷たいだろう」
「いいじゃん、すぐに暖まるって」
ささやかな仕返しのつもりなのかふんっと鼻を鳴らしながら、やや乱暴な手つきでドロドロと肌を伝い落ちるローションを塗り広げていく
そんな態度に半ば呆れながらも塗りやすいように足を開いてやれば、俺が逃げるつもりがないとわかったのか、不機嫌そうな表情が少しだけ和らいだ
「お、ホントにやらせてくれんの?」
「約束だからな。ほらさっさとしろ」
「言われなくても」
大人しくされるがままになっていると、ようやく機嫌がなおってきたのか、太ももに触れる手つきが柔らかく優しくなってくる
どことなく楽しそうに俺の太ももにローションを塗りたくるカズが無性に可愛く見えて、すぐさま押し倒したい衝動に襲われるが、今そんな素振りを見せようものなら機嫌を損ねることはわかりきっている
必死にその衝動をやり過ごそうとするが、俺のそんな葛藤など知る由もないカズは、愛撫も兼ねているつもりなのか、やけに丁寧に足に塗りたくる
「それじゃ、足閉じて?」
いい加減にしろ押し倒すぞ!?という言葉を何度飲み込んだかわからなくなった頃、ようやく満足したのかソコから手を離し、可愛らしくそうおねだりしてきた
その言葉に、ホッと息を吐いて足を閉じる
俺が自分の言葉に素直に従う様が嬉しいのか、機嫌が良さそうにカズが笑う
その笑みすら俺の理性の琴線に触れ、無意識にカズの体に触れようとする手をどうにか引っ込めた
「それじゃ、挿れるからな」
少しでも男役だという自覚が欲しいのか、わざとらしくそう言いながらカズが俺に乗り上げる
ずしり、とのしかかる重みに漏れそうになるため息を必死で堪え、少しでもカズの気分がよくなるように背中に腕を回してやる
これで満足して、暫くの間大人しくなってくれるなら俺としても助かる
カズは俺のそんな思惑に気づいているのかいないのか、ふふ、と小さく笑いながら俺に口付けてくる
そのキスに応えてやっていると、大量のローションでベトベトになった太ももの間に、カズの性器がにゅるりと入り込んだ
「んっ…」
合わさった唇の隙間から小さく声が漏れ、ピクリと口の中の舌が震える
しごいてやっているときと似たような反応に、一瞬だけ組み敷かれているという事を忘れそうになる
だが、太ももの比較的柔らかな皮膚を熱くて硬いものに擦られる感覚が、今カズに組み敷かれているのだとはっきりと伝えてくる
「ん…ぁ…」
それでも、口から甘い声を漏らし、気持ち良さそうに瞳を潤ませるカズの反応は、俺が優位に立っているいつものセックスのときと同じものだ
試しに少し太ももに力を入れると、ひっ、とカズの喉から気持ち良さそうな悲鳴が上がる
そのままカズの動きに合わせて太ももに力を入れれば、とろとろとカズの表情が快感に蕩けていく
「そんなに気持ちがいいか?俺のココは」
「ぁ、ばかっ」
腕を伸ばしてカズの太ももを緩く撫でれば、カズは目を細めてこちらを睨む
だがそれが照れ隠しだという事くらいよく知っているし、現によほど気持ちいいのか、小さく喘ぎながら夢中で腰を揺すっている
カズに組み敷かれているのに、カズを抱いているような感覚
今までにない新鮮な感覚に、これも中々面白いなとそんなことを思う
「カズ…」
「ぁ、すねーくっ」
ぬちぬちと響く小さな水音に、太ももを擦り上げられる感覚に、何より気持ち良さそうなカズに、徐々にこちらも熱が上がっていく
それに、動くたびにカズの性器が俺のソレに擦れて、こちらもそれなりに気持ちがいい
ちらちらと肌蹴た服から覗く乳首をたまらずに指先で摘めば、ビクリとカズの背が仰け反った
「さ、わるなってばっ」
「どうしてだ?気持ちいいだろう?」
「はぁっ、んあぁっ」
そのまま指先でくにくにと弄れば、カズの体が震えると同時に太ももの間の性器が小さく跳ねる
絶頂が近いのだろうとより強く締め付けてやれば、小さく息を詰める気配と共にびしゃりと腹から胸にかけて精液が飛び散った
「はぁ…ぁ、はぁ…」
「はぁ…カズ…」
どさり、と俺の上に崩れ落ちたカズに、カズがいつもやるように小さく舌先を出してキスをねだってみれば、たまらないといった風に唇に噛み付かれた
うっとりとした表情で、俺の咥内を荒らしまわるカズに、自然と笑みが漏れる
カズは満足しただろうが、俺はまだ満足していない
男役をやらせてやるという約束はもう果たしたんだ、次は俺が思い切り楽しんだっていいだろう
「次は、俺の番だ」
すっかり油断しきっている体をひっくり返し、何が起こったかわからずにポカンと俺を見上げているカズの耳元でそう囁き
薄く開いた唇に、噛み付いた
力尽きながら始まって、力尽きながら終わったのが丸分かりである
そして何が書きたかったのかなにがしたかったのかまるでわからない!
いや久々の更新がコレでゴメンナサイ、一度ネイカズネイっぽいものを書いてみたかったんだ…
もう背伸びしませんゴメンナサイ
多分この後カズは盛大に食われます、だって我が家のカズだもの
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