愛を欲しがる壊れた子ども



もう死ぬまで、誰も愛したりはしない
また独りぼっちになったあの日
冷たい石の前で、俺は自分に誓った

お袋は死んだ
息子である俺の事なんか忘れて、死んだ
親父も死んだ
俺に何も言わず、自分で死んだ
2人とも愛していたのに、大切だったのに、勝手に俺を置いていなくなってしまった
俺に何も言わずに、遠くへ行ってしまった
2人とも、俺を独りにした

愛した相手に捨てられるのが苦しくて
愛していた相手がいなくなるのが悲しくて
独りになるのが辛すぎて
だから、もう二度と愛すまいと決めた

『愛してるよ』

薄っぺらい愛の言葉だけを吐いて、気持ちいいだけの遊びの恋をして、誰にも心を許さずに
ビジネス以外の何にも心を傾けずに、生きようと思っていた
失うくらいなら、誰も心に入れないほうがましだと思っていたのに

『お前を、スカウトしに来た』

アンタが、俺を拾ったから

『どちらもイヤなら、俺の腕の中で果てるか!?』

アンタが、あんなにも俺を欲しがったから

『カズ』

アンタが俺を側に置いたから、笑うから、怒るから、優しくするから、厳しくするから、俺を褒めるから、叱るから、名前を呼ぶから、認めてくれるから、温かいから
ずっと欲しかったもの全部くれるから、全部全部アンタが、アンタが悪いんだ
欲しがるのは諦めたはずなのに、求めないつもりだったのに、捨ててやろうと思っていたのに、全部全部、アンタがこうしたんだ

「スネーク…」

すっかり準備を終えて、目を閉じているスネークに向き直る
ほとんど手入れのされていない少しかさついた頬に触れれば、スネークがゆっくりと目を開けた

「…カズ?」

まだ上手く状況がわかっていないだろう少し擦れた低い声が、俺の名を呼ぶ
それだけで、心の中が満たされていく…二度と抱くまいと誓った感情で、満たされていく

アンタが俺をこうしたんだ
アンタが俺を拾ったから、俺はまた誰かを愛するハメになったんだ
俺はイヤだったのに、アンタが俺を拾って側に置いたから
土足で俺の心に踏み込んで居座ったから

「起きた?スネーク」

「か、ず…?これは…?」

「なぁ…愛してるんだ、スネーク」

だからさ

「愛してるんだ、アンタを、アンタだけを…だからさ、スネーク」

責任とって、俺の事愛してくれるよね?

ぎしり
薄暗い部屋の中に、縄が軋む音が小さく響く
スネークの片方しかない瞳が、困惑に満ちた色をして俺を見上げている
その色に、愛おしさが溢れてきて
何か言おうと薄く開いた唇に、口付けた

「っ!?」

その瞬間俺を突き飛ばそうとでもしたのか肩が動く
だが、麻縄で縛られた腕は僅かに動いただけで、その手は俺には届かない
抜けられない縛り方で拘束しているから、スネークでも抜けられない
それに意識が戻ったとはいえ、まだ酒に混ぜた薬は残ってるはずだ
抜けられたところで、ろくに動けはしないだろう

「カズ…何だ、これは…」

「言っただろう?愛してるんだ、スネーク」

困惑しきった表情のスネークに、そういって微笑みかけ
僅かに開いた唇の間に強引に舌をねじ込んで、葉巻の味のする咥内を思う存分貪った

「ぐっ…」

「ん、ぅ…」

瞬間、スネークの口からくぐもった声が漏れる
けど、俺の舌を噛んだりはせず、俺のさせたいままにさせてくれている
てっきり噛まれると思っていたのに…優しいな、スネークは
そういうとこも、好き、愛してる
喜びと興奮と愛情がない交ぜになった感情に任せるまま、野戦服のボタンに手をかける
触れた胸から、速い心臓の音が手のひらに伝わってきて、それすら愛おしく思えた

「愛してる、愛してるんだスネーク」

愛してる、誰よりもアンタを愛してる、アンタだけを愛してる
そうさせたのはアンタなんだから、俺を愛しくれるよな?
俺を独りにしないよな?ずっと俺の側にいてくれるよな?
ずっと一緒にいてくれるよな?俺を置いてどっかいったりしないよな?

「愛してる、愛してる、愛してる…」

愛してる、愛してるんだ
だからいなくならないで、独りにしないで、側にいて
愛して、愛して、お願いだから俺を愛して

「カズ…」

「なぁ…愛してるんだ」

はだけた胸
その心臓がある場所…スネークの命がある場所に、吸い付いて痕を残した

















今週のタイバニで、バニーちゃんが盛大に、やっばいくらい病んでいたので
病んだカズが書きたくなった(どんな思考回路だ)
病んだカズって書いたことなかったし、いい機会かな〜みたい…な?

え?カズはスネーク縛ってどうする気かって?
HAHAHA、もちろんレイプに決まってんだろ(最低だ)
ネイカズ…?うん、ネイカズですよ?

スネークの心境もちびちび書いているので、多分UPする、いつか

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