見たい見せて見せなさい



別に暑くもなく、かといって寒いわけでもない、そんな夜
下着とシャツ一枚というラフな格好でベットの上を転がりながら、俺は小さく唸っていた
仕事も終わって、飯も食って風呂も入って、もう後は寝るだけなんだけど…何となく、ムラムラする
ヤりたいってほどじゃないけど、モヤモヤとした欲情が俺の中に居座っている

「う〜あ〜…面倒くさ…」

こういうハッキリしない欲情が、実は一番厄介だったりする
無視して寝ることもできるけど、無視すれば大概いやらしい夢を見たりして目が覚めたとき自己嫌悪に陥るのは目に見えている
夢の内容によっては、スネークの顔が一日見れなかったりするから厄介だ
かといって、スネークに抱いてくれと頼みに行くほどかと言われればそうでもない
それに、つい数時間前に任務から帰ってきて疲れているスネークにそんなことを頼むのも、何だか悪い気がする
以前なら、女の子のところに行ったりして解消していたが…今それをしようものなら、スネークからお仕置きと称した語るのも恥ずかしいことをさせられてしまうことくらい、身に沁みてわかっている

「…抜くしかないか」

淫夢覚悟でさっさと寝るか、それとも処理してから寝るか
暫く考えて処理をしてから寝ることにして、ゆっくりと体を起こす
正直抜くのも何となく面倒な気がするけど、背に腹は帰られない
明日にはスネークから報告書が上がってくるだろうし、その時に顔が見られないとかいう事態になるのも面倒だ
念のため扉の鍵を確認してから、隠してある秘蔵の素敵雑誌を引っ張り出して表紙をめくる

「………」

そのままぱらり、ぱらりとページをめくっていく
次々に現れる、挑発的なポーズをとった女の姿は、やっぱり何度見ても興奮する
付き合っている相手は男だが、普通に女も好きだ
最初は乗り気じゃなかったけど、やはり視覚から刺激されればそれなりに気分も高まってくる
窮屈になりだした下着を下ろして、下肢に手を伸ばした瞬間

「おいカズ、書類持ってきたぞ」

聞こえるはずのない、スネークののん気な声が部屋中に大音量で響き渡った
大慌てで声がした方に振り向くと、一応風呂は入ったのかラフな格好をしたスネークが書類片手に立っていて
今何をしているのか丸わかりな状態の俺と、バッチリと目が合った

「…スネーク…何で…?」

「いや、任務の報告書を持ってきたんだが」

そういう事じゃねぇ
何でこんな夜遅くに、執務室じゃなくて俺の私室に、しかも鍵かかってるのをわざわざ開けて、しかも寝室まで来てるかって事だよ!
きょとんとした表情で俺を見るスネークにそう叫んでやりたかったが、予想外すぎる事態に完全に固まっているせいで何一つ言葉にならない
しかも、スネークは固まっている俺に構わずつかつかとこっちに歩いてきたかと思うと

「お前、こういうのが好みか?」

さっきまで俺がおかずにしていた雑誌を覗き込み、ちょっとだけ不機嫌そうにそうにそう言いやがった

「いや…その…」

「全く、お前という奴は…」

さらに、呆れたといわんばかりの態度で首を振ると、説教するときの顔で俺を見つめてくる
いや、何で俺が悪いみたいになってんの?
ここ俺の部屋で、今はプライベートな時間だよね?
っていうか、パンツはいていい?
言いたい事ばかりが、ぐるぐると頭を回る
少しでも落ち着こうと下着に手をかけ、履き直そうとすると

「カズ」

何故か、スネークに阻止された
しかも、さっきまでのお説教顔から一転した、ものっ凄くいい笑顔で

「…何?」

その笑顔に、とてつもなく嫌な予感を感じて、ぶっきらぼうに…内心ビクビクしながらそう訊ねると

「見せろ」

スネークはいい笑顔のまま、物凄くいやな単語を口にした

「…何を?」

「お前が、自慰をしているところを見せろ」

嫌な予感が確信に変わりつつあるのを感じながら、イヤなんですけどという空気をかもし出しながら、はぐらかしてみる
けどスネークは当然空気なんか読んでくれず、嫌な予感を見事に的中させてくれた

「…はぁ!?イヤに決まってるだろ!!」

「いいじゃないか、いつもは2人でもっと凄いことしてるだろ?」

「変な言い方すんなバカスネーク!イヤだからな、絶対イヤだからな!!」

「そう恥ずかしがるな、減るもんじゃなし」

「減る!アンタに見られたら減るの!!とにかく絶対に…」

「カズ」

必死で抵抗していると、スネークがふと真面目な表情になり

「自慰を見せるのと、このまま俺に好き勝手されるの…どっちがいい」

真顔のまま、死刑宣告を言い渡してきた





「おぉ、絶景だな」

「うっさい黙れバカスネーク」

物凄く機嫌が良さそうなスネークを前に、俺はベットに腰掛けて足を広げていた
もちろん、下着は履いていない
スネークに好き勝手されるか、スネークの前で自慰ショーを披露するか
数秒考えて、俺はショーを披露するほうを選んだ
普段ですら割と好き勝手にされているのに、さらに好き勝手されるということは、言うのも憚られるプレイを強要されるに決まっている
それよりも見られるほうがマシに決まってる…!

半ばヤケクソな気分になりながら、すっかり萎えてしまったソコへと手を伸ばす
途端にスネークの目が楽しそうに細まり、じぃっと穴が空きそうな勢いで見つめてくる
けれど何が悲しくて、恋人相手にとはいえ自慰を見せなければならないのか
情けなさに涙が出そうになりながらも、目を閉じて強引にスネークの存在を頭から追い出して自分を慰めることに集中する

「ん…」

恥ずかしさと情けなさは感じるが、それでも触られれば勃つものは勃つ
出来るだけ早く終わらせてしまおうと、気持ちがいいところを重点的に擦り上げる

「お前、そういうやり方が好きなのか?」

少しずつ高まっていく快感に、集中しようとしていた矢先
スネークの物凄く楽しそうな声が、耳に届いた
その瞬間、忘れかけていたスネークの存在を強烈なまでに意識させられ、一気に全身が沸騰しそうなほどの恥ずかしさに襲われる
見られている、ということを、物凄く意識してしまう

「も、黙ってろよっ」

「すまん、それがお前の好きなやり方だと思ったら、つい」

すまん、とは言っているものの、スネークの声からは反省の色は微塵も見えない
むしろ、俺を辱めて楽しんでいる様子すら窺える
その声に、余計に羞恥心が煽られる
セックスをするときは見られていてもそれほど恥ずかしさを感じないのに、自分で慰めているのを見られるのがこんなに恥ずかしいなんて
あまりの恥ずかしさに、自然と足が閉じていく
だが、スネークはそれが気に入らなかったのか

「こらカズ、足を閉じるな…見えないだろう?」

俺の方へと足音が近づいてきたかと思うと、閉じかけていた足が強引に開かされた
慌てて目を開けて下へ視線を向ければ、ニヤリと笑ったスネークが俺の太ももを押し開いていた

「ちょ、何してっ」

「お前が足を閉じるからだろう?ほら、開いていてやるからちゃんと見せろ」

ほら、と促され恥ずかしさに涙が出そうになってきたが、自慰が終わらないかぎりスネークもやめてはくれないだろう
とにかく早く終わらせたくて、目を閉じて性器を擦り続ける
けれど、至近距離で見られているせいか、スネークの視線をまるで熱のように感じてしまう
視線だけじゃない、太ももに感じる手のひらの熱も、熱の篭った吐息も
スネークの何もかもを、強烈なまでに感じてしまう

どうしてこんなにスネークが近くにいるのに、自分でシなきゃならないんだ?
ふと、そんな思考が頭の隅を過ぎる
見たいなら、スネークがシてくれればいいじゃないか
自分でスるよりも、スネークにシてもらった方がよっぽど気持ちいい
いつもみたいに、気持ちよくしてくて欲しい

「ん、ぁ…」

体がスネークにされる快感を思い出して、自然と声が漏れてしまう
その大きな手で擦って欲しい、キスして欲しい、熱い舌で胸を苛めて欲しい
そんな考えがどんどん膨らんで、頭の中が一杯になっていく

「ぁ、ぁ…ん、はぁ…」

いつもは声なんか出ないのに、まるでスネークを誘うように甘い声が零れ、もう片方の手がシャツの裾から潜り込み、いつもスネークにされているように乳首を苛めはじめる
先ほどまで閉じようとしていた足が、今は見せ付けるように大きく開いている
スネークにシて欲しくて、出来るかぎりいらやしい動きで性器を弄り回す
うっすらと目を開けてスネークを見ると、スネークの楽しそうな、けれど欲情の篭った瞳と視線がかち合う
期待と恥ずかしさで、頭の芯がくらくらするような感覚に陥る

「やぁ、ん、ぅ…スネーク…」

「可愛いな、お前は」

ゆらり、と揺らめく腰を止められないままスネークの名を呼べば、小さくのどの奥で笑いながら、だらだらと先走りを零すソコにふぅっと息を吹きかけられた

「はぅっ」

たったそれだけの刺激なのに、イきそうなほどの快感が全身を駆け巡る
その快感に煽られるままに、自然と性器を弄る手も、胸を苛める手の動きも早くなっていく
ちかり、と瞼の裏が点滅して、覚えのある感覚がせりあがってくる

「あ、あ、あ…スネーク、スネークっ」

「…イく時は、イくと言え」

スネークが喋る、ほんの僅かな吐息
それすらも、極上の刺激に感じてしまうほど高まりきった体はあっという間に上り詰め

「あぁぁっ、イく…スネーク、イくっ」

一瞬も我慢できずに、たっぷりと精液を吐き出した

「可愛かったぞ、カズ」

「…うっさい黙れあっちいけ」

ようやく公開自慰ショーが終わった後
物凄く満足げなスネークとは裏腹に、俺は後悔と羞恥にどっぷりと頭の先まで漬かっていた
イって冷静になれば、今にも穴を掘って埋まりたいほどの恥ずかしさしか残っていない
むしろコレくらい恥ずかしいなら、好き勝手にされた方がましだったかもしれないというくらい恥ずかしい

「なぁカズ…」

頼まれたってもう二度とするものか!と心に誓っていると、スネークがどこか申し訳なさそうにこちらを見てきた

「…何?」

スネークがこの顔をするときも、大抵ろくでもない事を言い出す前兆だったりする
軽く警戒しながら聞き返せば、スネークはちらりと下に視線を向けた
それに促されるようにスネークの視線の先を追うと…何というか、ズボン越しにもしっかりと主張しているソレが目に入った

「…好き勝手しないんじゃなかったの?」

「好き勝手にはしないさ、お前の意思が最優先だ」

なんならお返しに見せてやろうか?とおどけて見せるスネークに軽く拳を入れて、盛大にため息を吐き出した
お前の意思が最優先とか言ってるけど、スネークの中では続きをすることはすでに決定事項に違いない
何だよ…どっちにしたって、最終的にはスネークの好き勝手にされるんじゃないか
あんな恥ずかしい思いさせられて意味ないとか、もう本当にコイツ何発殴っても足りないくらいムカつく

「いたた…お前、殴るなら手加減して殴れ」

「手加減せずに殴るから意味があるんだ。痛みでちょっとは萎えただろ?」

「生憎お前が可愛かったんでな、これくらいで萎えはしない」

「変態」

「褒め言葉として受け取っておこう」

ふっと表情を緩め、腕を伸ばしてきたスネークを拒絶することなく、その腕に大人しく収まって…でもやっぱり悔しいから睨みつけると、スネークは計画通り、といわんばかりの笑みを浮かべる
その表情が死ぬほどムカついたから、自分から噛み付くようにキスを仕掛けてやった

本当はちょっと物足りなかったなんて
アンタに触って欲しくてしょうがなかったなんて、絶対に言ってやるもんか
けど、アンタの思い通りばかりに事が運ぶのはムカつくから、せめてもの抵抗に嬉しそうに俺からのキスに答えてくれるスネークの舌を軽く噛んでやった


















鬼畜を書いた後は反動でギャグっぽいものが書きたくなる
ただそれだけだ…すみません、物投げないでくださいごめんなさい
マニアックエロ書きたい症候群なう(きめぇ)

見せ合いっこにするかどうか結構悩みましたが、今回はカズが一方的に見られてるだけで
全てスネークの計画通り、うちのスネークまじひでぇ…

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