親しい者なら…普通なの?



スネークから抜きっこに誘われてから、早数ヶ月
あれきりにしよう、と心に誓ったにもかかわらずスネークから誘われるたび断りきれず、何度もズルズルと行為を繰り返した結果

「スネーク…あのさぁ…」

「ん、どうした?」

「今日、いい?」

「あぁ」

いつの間にか、女も解禁になったにも関わらず、そういった行為が俺達の間で至極当たり前のことと化していた
いや、決して俺がゲイになったとかそういうことではない
男と女、どちらと肌を合わせたいかと聞かれれば、女と即答する
俺にゲイの気なんて、これっぽちもない!
けど、たまに性欲はあるけど女の子を相手にするのが面倒になるときもある
いや、女の子を口説くは好きだし、気持ちよくさせるのも好きだ
けれど、女の子を相手にするというのは、結構気を使わなきゃならない
そういう雰囲気を作って、きちんと相手も気持ちよくなれるよう配慮して、下手なこと言わないように気をつけて、それから終わった後も気を遣わなきゃならない
普段は面倒だと微塵も感じないけれど、たまにそういった計算とか気遣いとかなしにして、気楽に早く気持ちよくなりたくなる
そういう面では、スネークとの行為は雰囲気作りも計算も気遣いも一切しなくていい分気が楽だ
男同士という部分に慣れてしまえば、さほど悪くないと思い始めた

それに…下手な女の子とヤるよりずっと気持ちいいし
手なら、男も女も変わんないし…
スネークも、抜きっこくらい普通って言ってるし…
うん、そんなにおかしいことじゃない
ゲイじゃなくても、抜きっこくらいするだろ…多分
相手のスネークもゲイのゲの字も思い浮かばないくらいの女好きだし、相当のムッツリだし
うん、何もおかしくない、おかしくなんかないぞ

「どうしたカズ?」

「…ううん、何でもない」

スネークとの行為の前の恒例行事と化した、自分への言い訳を頭の中に思い浮かべながら曖昧に笑う
自分から言い出しておいてなんだが、何度経験してもやはり男同士ということに多少抵抗が残る
最中は気持ちよさしか感じないけど、終わった後同性にイかされたという事実にほんの少し微妙な気分になるし

「そうか?」

「…うん、なんでもないから」

だが、これが普通だと思っているスネークは、毎度俺の葛藤なんか一ミリも気づいていないらしい
けれど今日は少し顔に出すぎていたのか、不思議そうに俺の顔を見た後少しの間考え込むように顎に手をあて

「…そうだ、今日はちょっと変わった事してやろうか?」

何をどう勘違いしたのかは知らないが、さもいいことを思いつきましたと言わんばかりに表情を明るくした
何となくその表情が、数ヶ月前抜いてやろうか?と言い出したときのものと被り、嫌な予感がしてきた

「…何?変わったことって?」

「大丈夫だ、痛くはしない」

警戒しながら一応そのことについて聞いてみるが、あの時と同じようにスネークは俺が何を言いたいのか全く理解してないらしく、にこりといい笑みを浮かべたまま俺のベルトに手をかける

「ちょ、待てって…何すんだよ!!」

「?脱がさないとヤれないだろう?」

「そういう問題じゃない!何やる気かって聞いてんだ!!」

そのままズボンを剥ぎ取ろうとするスネークに全力で対抗するものの、悲しいくらい腕力の差は歴然だ
強引にズボンを剥ぎ取られ、下着にまで手がかかりそうになる
さすがに今下着を剥がされるのはごめんなので、遠慮のない蹴りをスネークに向かって繰り出す

「いい蹴りだ、さすがはカズ」

その蹴りもあっさりと避けられ、なおも伸びてくる手を必死にさらに蹴りで牽制する
が、スネークの手は見事に俺の蹴りをいなしたり避けたりしながら、じりじりと近づいてくる

「おいカズ、脱がせられないだろ?」

「だからそうじゃねぇだろ!?何する気かって聞いてんだよバカスネーク!!人の話聞けよ!!」

ついに下着に手がかかると同時に自分が出せる全力の大声でそう叫べば、ようやく俺の言いたいことを理解したのか、あぁ!と言いたげに目を輝かせ

「いや、口でシてやろうと思ってな」

しれっと、とんでもないことを言いやがった

「……………はあぁぁぁ!!?口!!?」

「何だ、お前フェラチオ知らないのか?」

スネークの言った意味が理解できず…いや、理解するのを頭が拒み、固まること数秒間
ようやく現実に帰ってきた思考で、ありえない!と暗に滲ませて叫んだ俺に
スネークはまたもや俺の聞きたいことから、斜め上どころじゃなくずれた発言をかましてきた

いやいやいやいや、おかしいだろ!
何だよ口って!?
いや知ってるよ?フェラチオくらい知ってるけど!女の子にならされたこともあるけど!!
普通野郎同士ではしねぇだろ!!?
それとも何か?スネークの普通では男同士でもフェラすんのか!?
ははは、冗談じゃねぇ!!
しかもアレだろ?今までの行為の経験から言って、咥えられたら咥え返さなきゃならないんだろ?
男のブツ咥えるなんて絶対、絶っっっ対に無理!!死んでも無理!!
手なら、自分のブツをしごくのと同じようなものだから、慣れてしまえば普通に出来る
だが、さすがにスネークのブツを咥えろと言われたら全力で逃げる
何が悲しくて他人のナニを咥えなきゃならないんだ!?

「無理無理無理!俺咥えるとか無理!!」

「…されたことないのか?フェラチ…」

「あるけど!あるけどするのは無理!!」

必死で逃げようと、自然と滲んできた涙を拭いもせず本気の蹴りをスネークにお見舞いしてやる
だが、悔しいことにスネークはその蹴りも何てことないように受け止めたり避けたりしながら

「いや、俺は別にそこまで溜まってないし…シなくてもいいぞ?」

そう、あっさりと言い切った
その言葉に、つい抵抗をやめてぽかんとマヌケに口を開けてしまう
俺が聞いたのは、溜まったときに親しい人間と抜きあう、というものだった
だから、スネークも応じるということはそれなりに溜まってたってことだとばかり思っていた

「…じゃあ何で誘い、受けたんだ?」

「…?お前は溜まってるんだろう?」

「アンタが溜まってないなら、俺が無理につき合わせてるみたいじゃないか」

「俺は別に無理に付き合ってやってるとは思っていない。それにお前の方が若いんだ、溜まるのも早いだろう?」

「そりゃそうかもしれないが…」

聞いてない、別にそんなことは聞いてない
そう言いたくなるのをぐっと堪えて、どうにか会話をつなげようと試みるが

「お前が誘ってくれるということは、それほどお前が俺を信頼してくれているという証だろう?」

スネークはそれを遮って、まるで当然と言わんばかりにそうのたまった
そうなのか?そういうものなのか!?
あまりに堂々とした…むしろちょっと嬉しそうなスネークの態度に、こっちが間違ってるんじゃないかって気になってくる
スネークと話していると、こういったことが割とある
例えば、ダンボール戦車について語られたときとか

「…アンタは男の…その、ナニを咥えるの平気なのか?」

「いや、好んでやりたいとは思わないな」

「ならなんで、俺の咥えようとしてんだよ?」

「…?何かおかしいか?」

どうにかスネークとコミュニケーション…もとい会話をしようと試みるが、相変わらず噛みあう気配すら見えない不毛さに、ついに頭痛がし始めた
ついでに、スネークの信頼しているしていないの基準が全くわからない
それともあれか、野郎同士でヌいたり咥えたりするのが、日本で言う裸の付き合いレベルのことなのか
銭湯で前をタオルで隠している相手に、おいおい隠すなよ俺達の仲じゃないか!みたいに言っちゃう感じなんだろうか
あまりの不毛さと理解不能ぷっりに、段々と脳が深く考えることを放棄し始める
というか、これはアレだろうか?断ったら数ヶ月前と同じように信頼問題に発展するんだろうか?
…うわぁ、凄く面倒くさい

「カズ、脱がすぞ」

脱力しきり抵抗をやめたことを行為の了承ととったのか、スネークはそういうと同時に見事な早さで下着を剥ぎ取って足の間に陣取った

「ちょっ…た、タンマ!ちょっと待って!!」

ガバリと足を大きく開かされて、さすがに我に返り今にも顔を埋めようとしているスネークの頭を必死で押す
ちょっと現実逃避しかけたけど、さすがに男に、スネークにナニを舐められるというのは恥ずかしいとかみっともないとかそもそも男同士だろとか…色々と弊害がありすぎる

「どうしたカズ?」

「え、え〜っと…そう、恥ずかしい!恥ずかしいからやめてくれ!!」

「日本人は本当に恥ずかしがりやなんだな。大丈夫だ、痛いことはしない」

「いやそういう問題じゃ…!」

慌てる俺とは正反対に、スネークはどこか楽しげに口の端を上げ俺の抵抗などものともせずに俺の腰を引き寄せ
ぱくりと、先端を咥え込んだ

「あぅっ」

そのままズブズブと飲み込まれ、ビクリと内股が反射的に震えた
溜まっていたのもあってあっという間に反応を示し始めるソレに気を良くしたのか、スネークはゆっくりと舌を遣い始めた
うねうねと肉厚な舌が別の生き物のように這いまわり、柔らかな咥内が程よく締め付けてくる

「ふっ…んぅ、ん…」

ヤバイ、これマジ気持ちいい…!
反射的に漏れそうになる声を、手で口を覆ってどうにか押さえ込む
やはり慣れているのか、刺激してくる場所もタイミングも完璧といっていいほどにツボを心得ている
ココをこうして欲しい、と思った瞬間にその通りにされて、自然と体が震えた

「…気持ち良さそうだな」

一通り舐め回され、完全に勃起した頃、スネークは一度顔を離し、まるでからかうように俺のほうへと視線をやる

「うる、さい…」

そのからかうような目にも、こうも快感に弱い自分にもムカつきながら睨み返すと、スネークはくくく、と楽しげに笑い

「もっと気持ちよくしてやるから」

そういって、再び顔を埋めた

「あ、ぁっ」

奥まで咥えられたり、先端を吸われたりするたびに、まるで背筋を電流のような快感が駆け上がる
今までに何度もフェラされたことはあるけど、ここまで気持ちいいのは初めてだ
気持ちよくて、恥ずかしくて、腕で顔を覆い隠す
その瞬間、まるでその行為を咎められるように軽く歯が当てられる

「ひぅっ」

歯が当てられても普通なら痛いだけだが、スネークがすると強烈な刺激へと変化する
ビクッと跳ねた腰を諌めるように撫で、ちゅ、ちゅっと水音を立てながら、スネークは頭を上下させて刺激を与えてくる
その間も、手は内股や尻の辺りを撫でたりと忙しく動き回る
あまりの快感に、チカリと瞼の裏が点滅する

「も、離し…頼む、から…」

徐々に迫り来る絶頂感に、顔を覆い隠していた腕で必死にスネークの頭を押す
ここまでされておいてなんだけど、さすがに口の中に出すのは…その、恥ずかしい
ちらり、とこちらを見上げたスネークにフルフルと首を振って見せると、今回はきちんと伝わったのかスネークはあっさりと顔を離した
そのまま絶頂を促すように裏筋を吸うように舐められ、先端をグリグリと苛められ

「ひ、ぃ…んんんっ」

あっという間に、スネークの手を濡らしてしまった

「気持ちよかったろ?」

ぼうっと荒い息を繰り返して呼吸を落ち着けていると、スネークが得意げな表情で俺の顔を覗き込んできた
その目から視線をそらしながら、俺はすっごく気まずい気持ちに苛まれていた

いや、よかったけど…すっごくよかったけど…こんなの初めて、ってくらいよかったけど…
相手スネークだよ?スネークもさ、相手俺だよ?どっちも男だよ?
これってどうなの?普通なの?咥えるのが?
そんな複雑な思考が、頭の中でぐるぐると回る

「…気持ちよくなかったか?」

けど、俺が黙っているのをそうとったのか、見る見るうちにしゅんと落ち込んでいくスネークに

「いや…気持ちよかったけど…」

つい反射的にそう返事をしてしまい

「そうか!」

その瞬間ぱぁっと表情を明るくしたのを見ていたら、もう色々どうでもよくなってきた
そうだよな…口くらいなら、男も女も一緒だよな、うん…
口なんて、男も女も変わらない、テクニシャンならうっかりイっちゃっても仕方ない
そう思ってないと、やってられない
スネーク相手に深く考えても、疲れるだけだ

「…とりあえず、ズボンと下着取って」

あの時と同じように考えることに疲れた俺は、とりあえず下半身だけ裸なのをどうにかしようと体を起こして、いつの間にか遠くに放り投げられていたそれらを指差した






















20000打リクエスト前に完成させとこうと思ったの忘れてました(阿呆)
いえ、リクエストはこれの続編…というか、ここまでを前提とした話を書こうかと思ってまして…
リクエスト書こうとして思い出しましたorz

相変わらずこの2人の会話のキャッチボールは成り立ってませんね
これが天然化計算か…リクエスト小説でわかる、かもしれません

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