過去ログ | ナノ
あたしは朝の占いとか信じない方だ。ラッキーカラーがピンクだったとしても、わざわざ家の小物を漁ってピンクのハンカチを持って行ったりとか、そんなめんどくさい事はしないし、したくもない。ついでに言うと、天気予報もあまり信じない方。なんていうか、朝やってるキャスターが胡散臭くて嫌いだから。まぁ、そうじゃなくても基本信じない。そういうので気分を変える自分が嫌だから。しかもほら
「雨じゃん」
朝のニュースでは“今日は傘要らず!晴々とした天気になるでしょう”とか言ってた癖に。嘘つきめ。だから胡散臭いって言われるんだ(主にあたしに)。内心朝のキャスターに悪態をつきながら、あたしは念のためにカバンに入れておいた折りたたみ傘を取り出した。
「…あ」
(ピンクだ)
なんていうか、やっちまった感。生憎今日のあたしのラッキーカラーはピンクで、手にした傘もピンク。いや、でも、これはたまたまだし、別に占いを信じたから持ってきた訳じゃないし、天気予報が胡散臭かったからって“念のため”持ってきたただの偶然だし。全然、信じてない。
「何やってんだお前」
「うおおおっ!?」
言い聞かせてやっと落ち着いた心を乱される。あーあ、折角の精神統一が。いきなり現れたのは部活中であるはずの源田。驚き過ぎだろ、なんてあたしを笑いながらいつの間にか隣に立っていた。
「アンタ…部活は?」
「この雨じゃやってられないだろ。校舎内も他の部活が占領してるし」
「そっか…」
周りを見れば傘に困った生徒が玄関に溜まっていた。やっぱり、あのキャスターの言うことは信用しちゃいけないんだよ。これでみんな分かったはず。まぁこの中でどの程度の人があたしと同じニュースを見てるかは知らないけど。
「お前、傘持ってたのか」
「あぁ、まぁ」
「丁度いい、入れてくれ」
「えええそれはちょっと」
まず折りたたみって所で普通の傘より小さいというのに、2人で入るなんて、しかも源田と。スポーツマンなら青春っぽく濡れて帰れよって言ってやれば、試合前に風邪引いたら困る、とか最もらしい答えが返ってきた。
「どうせ折りたたみなんて元々気休めだろ」
「いや、気休めに2人も入ったらそれこそ意味なくなるし」
「なら2人で濡れて帰ろうぜ」
さっきの言葉は一体何だったんだ。風邪引いたら困るってお前つい30秒前に言ったばっかりじゃないか。てかあたしは濡れたくないし。
「ていうか相合い傘とか変な誤解招くかも」
「いいって。見せつけときゃいいだろ」
「ちょ、源田!」
まだ傘も開いていないのに腕を引かれて、あたしは源田と雨の下へ飛び出した。あーあほら、ラッキーカラーなんて意味ないじゃないか。何もかもどうでもよくなってしまったあたしは、そのまま彼に引かれて走った。雨で冷えた体には、彼の手が熱すぎて溶けそうとか、少し思った。
恋に恋なんてしないわ
(ちょっとなら信じてやってもいいかな、とか)
101014
メルト/初音ミク:なぎさ様リク
リク来た瞬間ボカロktkrとか思いました^p^メルトマジ懐かしい
いつか書きたいなって思ってた曲だったのでいい機会が出来て良かったです。ありがとうございました!gdgdクオリティーで申し訳ないですが喜んで頂けると嬉しいです^^*