過去ログ | ナノ






「―――…あ、」


帰宅しようと靴を履き変えている玄関で彼女が短く声を発した。その視線は彼女の靴箱に向いていて、不意に俺も彼女を方を見た。


「どうした?」

「あ、いや、あの」


途切れ途切れの言葉に疑問が浮かぶ。何か隠しているような雰囲気。俺は彼女より先に靴を履き終わっていたが、動こうとしない彼女を見兼ねて彼女に歩み寄った。


「何」

「いや、あのって、あっ」


はらりと彼女の靴箱から舞う白い紙。無意識にそれが床に落ちるのを見ると、床につき静止したその紙は封筒だった。端には彼女の名前に様までついて書いてある。俺は一瞬でそれの意味を悟った。ああ、これって


「ラブレター?」

「……うむ」

「…なんつーか、ベタだな。ベタっていうより古典的か」

「…………うむ」


困ったように眉をひそめながら小さく呟く彼女を見て何と無く複雑な気持ちになる。多分彼女はこれを隠しておきたかっただろうな。実の彼氏に他者から貰った手紙(しかもラブレター)だなんて見られたくないと思うし。俺がその封筒を手に取り彼女に目を向けると、ほんのりと彼女の頬が赤くなっていた。


(なんだそれ)


好きでもない相手からの手紙でなんでそんなに顔赤いんだよ。バカじゃないのか。なんだか少しだけイライラしてきた。なんでお前そんなに必死なの。そのまま黙ってしまった彼女を見ながら俺は手紙をひらひらとちらつかせてみると、ムキになったようにそれを取り返そうと俺に手を伸ばしてくる名前。その手をタイミングよく掴み返すと、彼女は驚いたように小さく声をあげた。


「この手紙がそんなに大事か?」

「…え、でも」

「要らないなら俺にくれよ」

「は?」


俺はそう告げると彼女の手を離し、その手紙のサイドを両手で持つとビリビリと耳を裂くようないう音を立ててその手紙を2つに破った。「あああっ」なんて困惑する彼女を尻目に俺はその2つになった紙を更にバラバラにしていく。
彼女がこの手紙の主になびいてる訳でもないだろうし、俺の事が嫌いになった訳でもないだろうし。どうせ少女の本能的なもので赤くなったのだろうけど。分かっているのに、そんな苛立ちを静めようと手が逸る。止める彼女の言葉も聞かずに俺はただ無感情を装って紙を引き裂いていった。


「これでよし。行くぞ」

「えっちょっ佐久間!」

「ほら、行くぞ!」


彼女の手を無理矢理に引いて俺は玄関を出た。靴を完全に履いていない彼女がバランスを崩しそうになるのも少しだけ気にかけながら、俺はムキになって進んでいく。転ぶのを避ける為、彼女に本能的に掴まれた手を見ながら俺はなんだか自分がおかしくて苦笑した。

















(不安を消したかったからで、)

























091224
クリスマスイブですね。クリスマス夢書かなくちゃ(´Д`;)のノリでやっつけ仕事をした結果がこれだよ!
ちなみにヒロインに手紙を渡したのはおにゃのこっていう無駄な設定^p^

title:確かに恋だった

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