過去ログ | ナノ
「最近よく頑張るねぇ」
ドリンクとタオルを手に、ベンチで休んでいた俺に声をかける名前。片手で受け取りながら「サンキュ」と呟くと、彼女は満足げに口角をあげた。
「ネオジャパンってさ、日本代表候補にならないかって声かけられたんだ」
「へぇ、凄いじゃん」
「まぁ候補だから、次代表チームに勝たなきゃ本当の代表にはなれないけどな」
「それでも凄いよ、よかったね」
自分の事のように喜ぶ名前。俺もなんだか嬉しさが蘇った。1度逃した世界の舞台。それがまた目の前に差し出されているのだ、もう2度とないチャンス。今度こそ逃す訳には行かなかった。
試合までの時間は残り少ない。出来る限り練習に時間を割きたかった俺は、少しの休憩を挟んで、また俺は立ち上がった。
「もう再開?」
「あんまり時間無いんだ、すまん」
「…無理しないでよ」
俺からタオルを受け取ると、不安に表情を曇らせる名前。それはただ上辺だけではない、今までの俺を見てきた彼女の、心からの心配だった。影山が居た頃の帝国や、真・帝国時代。決して自慢出来ない過去を思い出す度に名前は不安に身を震わせていた。それは、心配や苦労ばかりかけていたというのに、俺を見捨てなかった彼女が背負った代償。俺の指命は、そんな彼女をこれ以上不安にさせない事。完全に無くす事なんて出来ないけど、少しでも彼女の負担を減らす努力を怠ってはいけないのだ。
「大丈夫、無理なんてしてない」
「ネオジャパンって、本トに安心出来る?」
「平気だって。あの雷門の吉良監督が居るんだから」
「…そっか」
どうやら心配が少し解けたようで、少しだけ目を伏せながら、名前は小さく笑った。あれだけ苦労をかけたのに、あんなに傷付けたのに、それでも俺を応援してくれる名前。その存在は余りにも大きくて、俺はまた彼女の笑顔に勇気付けられていた。
不意に名前が顔をあげる。真っ直ぐ射抜くような視線で俺を見つめながら、彼女はポツリと告げた。
「完璧じゃなくていいんだよ、源田」
最高・最強・完全・完璧・絶対・無欠。そんなものばかり求めていたあの頃の俺達が招いた結果を1番近くで見ていた彼女だから言える言葉だった。もう完璧なんかじゃなくたっていい。自分が好きな事を、精一杯やれればそれでいいんだ。
だって俺には、彼女がついてる。
「分かってる、大丈夫だ」
「…練習、頑張って」
「ありがとう、名前」
ポンと頭に軽く手を乗せると、名前は安心したように優しく笑った。
不完全な僕は不完全なままで
(いつだって最後は No Logic)
100806
music:ジミーサムP(sm8228650)No Logic
ジミーサムP神ですよね…このシリーズ2曲目ですしね…ただ好きな曲集めただけでたまたまなんですけど…好きだ…
しかし源田難しい。