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「…名前…―――名前…」


白とも黒とも取れるその空間を抜け出すと、目の前には眉を下げた源田の顔。あたしが薄目でそれを確認すると、彼は安心したようにため息をついた。


「名前!…よかった、やっと目覚ましたか」

「…源田?どしたの」

「どうしたもこうしたも無いだろ、お前練習中にいきなり倒れて。みんなビックリしてたぞ」

「あー…」


曖昧な記憶を辿ると、確かに視界がグラリと揺らいだ記憶が蘇る。あれからどれだけ時間が経ったのだろう。というか、源田はここに居ても大丈夫なんだろうか、練習に出なくていいのだろうか。


「練習は?」

「今昼。みんな飯食いに行った」

「…源田は?」

「お前だけここに置いて飯なんか行けるか」


当たり前のように放たれた言葉に、不覚にもときめいてしまう。差し出されたドリンクを一口貰って、何処か不具合が無いか自分で自分をチェックする。頭も腹も、手も足も、何処も痛くないしいつも通り。きっとみんながすぐに最善の対策を取ってくれたからに違いない。込み上げる感謝の念に少し嬉しくなった。


「みんな心配してたんだぞ、お前の事」

「……」

「露骨に焦っててよ。佐久間なんかミスの連続で」

「…そっか」


みんなの心配してくれている顔が浮かんで思わず苦笑する。源田の右頬には朝まで無かった真新しい絆創膏が貼ってある。きっと彼も何かやらかしたんだろうな。何だか微笑ましい彼らを想像しながら、自分の所為で怪我をさせてしまった事に申し訳無くなった。


「ごめんね、あたしの所為で」

「お前は頑張りすぎなんだよ、いっつも」

呆れたように笑いながら、源田はあたしの頭を撫でる。子供扱いみたいだけど、これが彼なりの優しさである事は分かっていた。ほんのり心が暖かくなる感覚。彼の大きな手を心地好く感じながら、あたしはただただ感謝する事しか出来なかった。
















(ありがとう、源田)(…あぁ)

























100609
やっと…更新出来た…テストしねばいい…くそ…源田好きだ…おかん

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テーマ「人外ファンタジー」
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