過去ログ | ナノ






源田はなんだか最近勉強熱心だ。どうやらサッカーばかりで成績が下がったらしい。たった2位下がったぐらいで何だっていうんだ、元々頭いいくせに。そのおかげであたしの事も構ってくれなくなった彼。ねぇ気付いてる源田?もうバレンタイン過ぎたんだよ。恋人達のバレンタインだよ!あたし達は一体何!恋 人 同 士 じゃなかったっけ!?
そんな不満さえ今の彼のには届かない。別にテスト1週間とかそんなんな訳でもあるまいし、むしろテスト終わったひゃっほーいって期間でしょ、何勉強しちゃってんの。あたしはそんな真面目源田の隣にいた所為で気が引けて手作りチョコを作る計画を潰していた。それもこれも源田の所為、あたしを見てくれない源田の所為なの。


「お前、何処に連れてく気だ」

「いいから!黙ってついて来てよ!」

「俺は勉強を―――」

「いいから!」


口を開けば勉強勉強。そんなに言うなら勉強してたってあたしの事を考えられるようにしてやる。行き着いたのは学校の近所の文房具店。見慣れた店内を進んで行くと、筆記用具類が立ち並ぶ列で止まった。それにつられて源田もあたしの隣で止まり、並んだペンを少し見てからあたしに問い掛けた。


「で、何したいんだお前は」

「こんなかでどれか源田が1番使いやすいのを選んで!」

「…はぁ?」


あからさまに意味不明といった顔でこっちを見てくる源田。何さその顔、分かってますとも、今使ってるのが1番使いやすいんだってのは。だからじゃん。あのまま勉強がはかどったってあたしに利益は無いの!あたしがプレゼントしたペンで勉強するなら、勉強中だってあたしの事を思い出したりするでしょ!メリットはそこにあるの。


「―――…正直要らないんだが」

「要らなくないの!さぁ選んで!」

「…………、」


もろに嫌そうな顔をしている源田。1秒でも惜しいといった表情であたしを見てくる。何なのそれ、あたしこれでもアンタの彼女なんだよ。その相手に対してその態度はどうなのよ彼氏として。


「別に源田に買ってって言ってる訳じゃないの!」

「じゃあなんでわざわざ」

「バレンタイン!何もあげて無かったでしょ!だから!」

「―――…ああ、そういや」


今思い出したのかこの勉強バカ。内心そう思って彼を見ていると、何やらその気になったらしく源田は真面目に悩みだした。そしてふと何か思い付いたのか、顔をあげて手に取ったのは、彼がいつも使っているのと同じシャーペン。厳密にいえば色違いだけど。


「これ」

「え、これでいいの」

「ああ」


納得した顔でこちらを見る源田になんだか違和感を覚える。取り敢えずそのシャーペンを購入し店を出た。


「はい、プレゼント」

「何の飾りも無しだな」

「必要無いでしょ、めんどくさがりのくせに」

「まぁな」


サンキュ、と小さくお礼を言われると胸がきゅっ、とした。さりげない所でカッコイイんだから困ってしまう。すると彼はそのプレゼントをカバンに仕舞うのと連動して自分のペンケースを取り出した。何を始めるのだろう?疑問に思いながらそれを見ていると、源田はペンが何本か入ったケースの中から彼がいつも使っているシャーペンを取り出してあたしに差し出した。


「お返し」

「…え、」

「お前俺が構わないからって拗ねてたんだろ?だからやる」

「・・・・何だそれ」


違ったか?と問われるが、図星過ぎて何も言えない。黙ったままのあたしを肯定と読み取ったのか、源田は困ったように眉を下げてあたしの頭を撫でて笑った。


「俺の努力と愛情が詰まってる。大事に使えよ?」


折角あたしがかっこつけたかったのに、こいつ何でもあたしの事知ってやがる。
ちくしょう、かっこいい。


「…なんなの源田のばーか、しね」

「おま、人が物やったっていうのにそれは酷いんじゃないのか」

「ばーか源田!ばーかばーか!」


いつもみたいな展開に陥ってしまった自分がなんだか許せなくて、でも嬉しくて、やけくそになったあたしは彼から貰ったシャーペンを握りしめながら余裕そうな彼を見ながら何度もバカって言ってやった。
















(結局彼はともかく、あたしは彼の事しか考えられて居ない訳で。なんの解決にもなってないけど、どうしようもなく悔しくて、幸せで)

























100222
かすみ様リク「源田甘」でした…あああ意味分からん\パーン/ヒロイン視点難しひ。駄作どぁ…本トやだよスランプだよシリアスしか頭に浮かんでこないんだよどうしよう。
リクありがとうございました!

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