過去ログ | ナノ






ベッドの横にある小さなライトだけに光を点し、俺はベッドに座って壁に背を向けていた。薄暗い部屋。ケータイの白い明かりが俺を顔を照らす。画面にはメールボックスが表情されていた。


「…………」


目を閉じると彼女の笑った顔が思い浮かんできて胸を締め付けられた。それと同時に、彼女が最後に見せた悲しそうな笑みも蘇る。嗚呼、彼女はもう俺の元へは帰ってきてくれないのだ。そこでまた俺は辛い現実を突き付けられた気分になって眉をひそめた。
今まで俺は彼女に何をしてあげられただろうか。彼女に力を貰ってばかりで、俺は何一つ彼女の為に行動していなかったのではないだろうか。そんな後悔ばかり頭の中を支配して心が重くなる。嗚呼、何故俺は彼女をもっと大切に出来なかったのだろう。彼女が居なくなって困るのは自分なのに。


(………名前)


心でそう呟いてみるものの、後には虚しさしか残らない。ケータイのアドレス帳には今も愛しい彼女の名前。隣に居てくれた時には気付かなかった彼女の優しさを噛み締めながら俺はまた目を細めた。きっとこの宛先からメールが来る事はもう無いのだろう。そう思うとまた辛さが増した。


(このアドレスを消して、彼女を俺から解放してやる事がきっと俺に出来る最後の償いだ)


この名前が有る限り、俺はまた彼女に縋り付いてしまうに決まっている。そんな事許されるはずもないくらい俺は分かっていた。メニュー画面を開いて1番最後の項目までカーソルを持って行く。“アドレス消去”の文字までたどり着くと、また彼女の微笑みが蘇って胸が引きちぎられるようだった。
ぽつりと、彼女には伝わらない言葉を呟いて決定ボタンを押すと無情にも“消去しました”と表示された。これで彼女は俺から解放される。それなのに俺はまた彼女が恋しくて堪らなくて、薄暗く表示されるその文字列を見ないようにケータイを閉じた。




「……………さよなら、名前」















(君よ。さぁ、微笑んで)

























100108
なんかwwww自分で書いといてコメントしづらいwww暗いぜHAHAHA←

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