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「タッチー!」

「……は?」


いきなり背中を軽く叩かれ振り向こうとするが、俺に衝撃を与えた張本人である彼女はすぐさま俺の横を通り過ぎて行ってしまった。数メートル行った時点で足を止める彼女。くるりとこちらに振り向くと満足げに微笑んで言った。


「源田鬼!」

「何が」

「だから!鬼ごっこ!」

「何で」

「鬼ごっこに理由はない!」


私は衝動に駆られるがままに始めたのさ!なんて自慢げに言うが、別にかっこよくも何ともない。しかも鬼ごっこって…ガキか。


「制限時間はあと10分!最後に鬼だった人は部活終了後にアイスを参加者全員分おごること!」

「全員って、誰居るんだよ」

「佐久間と辺見と成神と咲山」

「よくアイツら参加したな」

「さっくんかなり乗り気だったよ。源田にダッツ奢らせてやるんだーって」

「やらねえよ」

「えーつまんない源田」


口を尖らせて反論する彼女に背を向けて俺は歩きだそうとするが、彼女は早足で後を追ってくる。源田ぁと小さい子供のように参加をねだる彼女を軽く無視しながら廊下を進む。すると流石に諦めたのか彼女は俺の名前を呼ぶのを止めた。それと同時に腕を捕まれる。反射でそれを見ると俺より背の低い彼女が下から上目使いでこちらを覗き込んでいた。






「愛してるから付き合ってよ、源田」



「・・・・・・・」


思考停止。今の俺の状態はそれだった。長い睫毛が目立つようにキラキラと黒の濃い目を光らせてこちらを見ている彼女。瞬間顔に熱が集まるのが分かった。


「……源田顔赤いよ」

「うるせぇよ!誰の所為だと思ってるんだ!」


いいい、いきなりああ愛してるとかそういう事を言うなびっくりするだろッ!そう心で叫ぶが頭の混乱は収まらない。ニヤニヤと笑う彼女を見てすぐに冗談だと分かる。動揺を隠しきれない自分と彼女の偉そうな態度に若干腹が立った。


「じゃあお詫びに君を鬼ごっこに参加させてあげよう!」

「意味が分からねぇよ!さっきから何なんだ!」

「早速源田が鬼ですぜ!わっほい逃げろー!」

「こら!名前てめぇ!」

「源田鬼が追ってくるぞー!逃げろ野郎共ー!」

「野郎共なんか居ねぇじゃねえかよ!!」


冷静さを無くした俺は、あっという間に彼女のテンションに巻き込まれており、気付けば彼女の背中を追って走り出していた。激走とさっきの動揺で心臓が跳ねる。でも今は何だかもうどうでもよくて、ただ彼女を捕まえるだけを考え始めていた。心が軽い。心底楽しさを感じながら俺は走りながら苦笑した。
















(嬉しさ。それは君だけが成せる技。)

























100120
「その恋、何色」シリーズ第1弾。
“赤”で源田。すっかりヒロインが我である^p^自由に書きすぎたwwww

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