過去ログ | ナノ
「何これ」
「クリスマスプレゼント」
当たり前のように答える名前の顔は満足げで、何と無く腹が立つ。俺は渋々受け取るとそれを注意深く見回した。…これ、どう考えても
「ペンギンだよな」
「イエス。ペンギンのペンちゃんよ」
「ペンちゃんって…」
(バカにしてんのかお前は。)
どこの男子中学生がこんなぬいぐるみ欲しがるかってんだ。なんだか周りには俺がペンギン好きみたいなイメージになってるらしいけど、別にそんな訳じゃないし(つか俺だって今だにあの技がペンギンなの意味わかんねぇし)。そんな事を心の中で呟きながら俺はそのペンギンのぬいぐるみと向き合いながら彼女を見た。
「気にいらなかった?」
「気に入るとかそんなんじゃなくて」
(まず根本的に間違ってるだろ)
「え、佐久間はペンギン好きって聞いたから」
「誰に」
「源田」
(あの万年左なびきが。ツンツンしやがって髪型考え直せ)
「アイツのガセなんか信じるなよ」
「ガセだったの!?えーじゃあそれ論外じゃん」
(……まぁな)
事実を知った名前はおどおどと焦りだす。まぁ彼女はバカ正直だから何だって信じてしまうのは俺も前から知っている。多分源田も遊び半分で言ったんだろうけど、流石にこの自体は若干反省してほしいな。冬休み明けたら文句言ってやろう。
「ごめん佐久間、他にプレゼントになるようなものないよ」
「別にそんなの期待してねぇよ」
「でも」
「いいから気にすんな。これ、ありがたく貰ってやるから」
ぬいぐるみに手を乗せながら俺が安心させようと彼女に微笑むと、戸惑ったようにしていた名前の顔が困ったような笑みに変わった。まるで自分の失敗を笑い飛ばすように軽くハハハと声をあげると、名前は俺の手元のぬいぐるみに優しく触れた。
「ペンちゃん、大切にしてね」
「お前から貰ったんだから大切にしない訳ないだろ」
「佐久間は優しいね」
「まぁな」
冗談のように答えると、名前はまた小さく笑った声を漏らす。無表情のペンギンに「可愛いね」なんて呟きながら笑っている名前。その彼女の微笑みになんだか心臓の真ん中あたりがむず痒くなって、耐え切れず俺は苦笑した。
大切なのはその気持ち。
(佐久間からのプレゼントはないの?)(………あ、忘れてた)(あたしよりタチ悪くないそれ)
091226
只今12月26日午前2時。すません普通にクリスマス過ぎました^p^でもたかが2時間よ。気にしないわ私。