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「風丸!」


叫ばれた自分の名前に不意に振り向く風丸。視線の先には息を切らせた名前の姿があった。風丸は眉をひそめて視線だけ逃げる様に彼女から反らす。彼女に想いを伝えずままにイナズマキャラバンを降りた風丸。今となっては彼女と会うのが1番辛かった。だからこうやって逃げるように出てきたのに。


「何処行くの?」

「…何処だっていいだろ」

「良くないよ。皆と一緒にサッカーするんでしょ?」


先程とは違う、冷静な名前の声。攻め立てられているような気分になって、風丸は俯いた。


「……俺には、もう無理だ…」

「…」


唇を噛み、苦しそうに呟かれる言葉に、名前は言い返す言葉を無くす。そう、彼は諦めたのだ。皆と敵を倒す事、世界を護る事を。


「…帰るの?」

「、取りあえずは」

「また陸上やるの?」

「……分からない」

「宮坂くん達、陸上の皆がっかりするよ?風丸がサッカーやるって行ったから諦めてくれたのに」

「分かってる」

「皆応援してくれてるんだよ?風丸がサッカー頑張るの」

「…分かってる」

「風丸は皆の事裏切る事になるんだよ、」

「分かってるッ!!」


風丸の叫び声に名前は驚き目を丸くする。風丸を見ると、きつく目を閉じて今にも崩れ落ちてしまいそうに感情を堪えていた。


「…風丸、」


辛そうな風丸に、名前の声のトーンも落ちる。



「…ごめん、名前……ごめん」



片手で自分の顔を隠すように、風丸は俯いている。感情に堪えているのか、指がカタカタと震えていた。名前は今にも泣き出しそうで、風丸に駆け寄りたい気分で一杯だったが、これ以上近付いてしまってはもっと彼に辛い思いをさせてしまう。そう思い、その動き出しそうな足に力を込めた。


「……風丸、」


ポツリと名前が彼の名を呟いた。風丸は少しだけ顔を上げる。


「風丸が辛い思いをしなくてすむなら、あたしは無理に引き止めたりしない…風丸が、それでいいなら、…あたしに引き止める権利はない」


泣き出しそうに、声を震わせながら放たれる言葉に、風丸は顔から手を離す。顔を上げると、不自然に笑った彼女がいた。


「…名前、俺、―――」

「でも、」


風丸が口を開くが、それを遮るように名前が声のトーンを上げた。




「絶対戻って来て。今の言葉の続きはその時聞くから」




名前は笑っていた。満面の笑みを浮かべ、大粒の涙を流しながら。




「…返事は?」


嗚呼、何故彼女はこんなにも優しいのだろう。風丸は彼女の姿に耐え切れず背を向けた。




「…分かった。絶対戻ってくる」




今出来る限りに力強く、風丸は意を決して名前にそう伝えると、彼女に向き直り、困った様に眉を下げながら笑った。





「それまで、…さよなら。名前」















ら、










(遠くで見守ってて)

























091122
難しい\(^O^)/
福ちゃんが大好きです。まる。

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テーマ「人外ファンタジー」
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