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ピピピ…
受信音が響く。明かりの消えた部屋、布団の中でその音に気付いてケータイに手を伸ばすと液晶画面に彼女の登録名が表示されていた。こんな時間に何の用だろう。いつもなら寝ている筈なのに。疑問を持ちながらも7コール目ほどで電話に出た。
「もしもし?」
《…あ、出た》
「どうしたんだよこんな時間に。寝てなかったのか?」
《なんか寝れなかった》
「ふーん」
俺はもうちょっとで寝れたんだけどな。そんな心の呟きは閉まって置こう。今の彼女の声はなんだか寂しそうだから、きっとそんな事をいったら泣き出すとか電話越しの今の俺には手に追えないアクションを起こすに決まってる。俺は何を話す訳でもなく受話器に耳をつけている。ふとベッドから降りてカーテンに手をかける。窓の外に見える星が、近くにある月の明かりで目立たなくなって不意に目を細めた。
《佐久間、何か喋ってよ》
「無茶言うなよ。お前こそなんか言う事あって電話したんじゃないのか」
《別に》
「じゃあ何でわざわざこんな時間に…」
実際の所、何もないのなら寝てしまいたかった。明日もまた部活がある為、今のうちに疲れを取って置かないと支障が出てしまってからでは遅い。俺はどうしようも無くなって頭をかいた。
《冷たい、佐久間》
「んな事言うなら電話してくんな」
《ほら冷たい》
「切っちまうぞてめぇ」
ケータイに向かって苛立ちを表すにするものの、彼女の様子は変わらない。どうやら深く心配するほどの事はないらしい。特には考えていなかったものの少し安心した。
「大体、俺が冷たいなんてわかりきってる事だろうが」
《だって…》
しゅん、と彼女の声が小さくなる。耳元からの音が無くなって部屋の静けさが一層増した気がした。いつもは意識しなければ聞こえない自分の呼吸音さえ聞こえる静寂に小さく穴を開けるようにして、彼女はぽつりと呟いた。
星明かりが君より冷たかったから
(どんなに冷たくても、君の声が聞きたくなったの)
091213
さっくんはイナズマ界最強のドリームキャラだと思う。書きやすいったら^^gdgdですけどね