過去ログ | ナノ






「みてみてさっくん!積もった雪雪!」

「見れば分かるよそれぐらい」


犬かお前は、と呟きながら佐久間は早めに帰ろうと生徒玄関を出た。


「さっくんつめたい」

「お前煩い」

「さっくんつめたい!」

「置いていくぞお前!」


俺は早く帰りたいんだ、こんな寒い中に長時間居るなんて凍え死ぬぞお前。心底そう思っている佐久間にとって雪にかまっている暇などないわけで。


「先に帰るからな」

「えー!さっくん待ってよ!」

「煩い。俺は帰る」

「えーさっくーん」


名残惜しそうに見つめてくる名前に一瞬迷いが生じたが、やはり寒さには勝るものはない。校門方向に向き直り歩き出すした佐久間。しかし、予想していた名前の呼ぶ声も追ってくる足音もない。なんだ1人で帰る気なのか?佐久間がそう思った瞬間、





ド ン ッ





「おわっ何、冷たッ」

「わーいさっくん油断してやんの!」


首の後ろにキンと冷たい感触が伝わり、焦って手をやる佐久間。その手には溶けて水になってきている雪が触れる。


「名前ー!!」

「さっくんが怒ったー!」


あははと笑いながら佐久間から逃げる名前だが、現役帝国サッカー部の彼に普通の女子が勝てるわけもなく、呆気なくつかまってしまう。それでも笑い続ける名前。何がそんなに面白いのか。佐久間はそんな名前を見て不機嫌そうに目を細めた。


「何笑ってんだよ」

「いや、面白いなって思って」

「何がだよ。人に雪だまぶつけといて」


ため息をつきながら首元についた雪を払うと、また名前を睨みつける佐久間。名前はそれも気にせずにやにやと口角を上げている。


「ほら、あったかくなったでしょ?」

ふと口にされた名前の一言に、自分が寒さを感じなくなっていることに気が付く。寧ろ暑いぐらいの体温に驚くと、佐久間は恥ずさと悔しさのような表情を浮かべて名前から視線をそらした。


「ほら!帰るぞ!」

「はいはーい」


呑気に返事をして駆け寄ってく名前を拒む事なく隣に迎えると、佐久間ははぁ、と白い息を吐いてくすり、と笑った。
















(あ、今笑った!)(ガキくさいなって思って)(自分が?)(お前が!)

























091117
初雪シリーズ佐久間Ver.
佐久間をさっくんって言うのはマイナーなのかメジャーなのか今だ分からない私。

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