過去ログ | ナノ
再び会った彼の姿は、最後に会った日とは全然違って、彼の姿が視界に入るだけで覚えた安心感も、今は感じられなかった。例えるなら黒いオーラ、近付いたら侵食されてしまうのではないかとさえ思う程の、漆黒の気配。あたしは愛しい筈の彼に、恐怖を覚えていた。
「…かぜ、まる?」
「久しぶりだな、名前」
もう、違う。彼は“彼”じゃない。
黒いオーラを漂わせながら、彼はさも当たり前のようにあたしに近寄って来る。来ないで、そう思う程に足が竦んで、気付けばあたしは壁に追いやられている状態だった。
「何故逃げる?」
「何故って…」
「俺が怖いか?名前」
「…」
返答しようにも、口が思うように動いてくれない。喋ったら危ない、そんな本能があたしの口を固く閉ざしていた。
「お前も、分かるだろ?」
「…」
「お前らが逃げ出したと思っていたヤツが、最強となってお前らを潰しに来たんだ。俺は変わったんだよ」
「そんな事っ―――」
―――思ってない。
風丸が逃げ出したなんて、誰も思ってない。勿論、他のみんなの事も。
だからみんな、風丸の為に、戦えなかったみんなの為に、いっぱい努力して勝ち進んでここまできたのに。
彼の目にはそんな事実は映っていないようだった。
「明日、円堂達に会うよ」
「…!」
「そうしたら、俺がどれだけ変わったのか分かる」
変わった事なんか、言われなくても分かる。風丸、アンタは誰よりも弱くなったんだ。強さに固執し過ぎて、自分を見失った。そしてあたしも、アンタが居ないだけでこんなに
(誰よりも弱くなってしまった。)
するりと彼の手があたしの顔に伸びる。落ちた前髪を避けると、彼の冷たい微笑みがより鮮明に映った。近付く顔。流れるようにキスされる。抵抗するにも手に力が入らない。嫌らしいリップ音が耳に届くと、彼は顔がぼやける程の距離でまたニヒルな笑みを浮かべた。
「愛してるよ、名前。殺したいくらいに」
いっそ、一滴でも零せたら
(涙を流せない程、苦しい)
100816
闇丸ーヽ(´∀`)ノ3期見てるとDEとか黒歴史過ぎて思い出す度笑う。ごめん丸さん。エイリアも十分黒歴史だが。