6時間目の現国の授業を終え、3年教室を後にする。そしてその足で2年2組の教室へと急ぐ。 今日は珍しく真城が出張に出ていて学校におらず、副担任である高木が代行としてSHRを任されることになっていた。
高木は早足になりつつも、どこか気が進まない思いで廊下を進んでいた。
色々なことを考えるうちに、足は2年2組の教室の扉の前で止まっていた。 すりガラスの向こう側では、がやがやと声がする。 普段ならば、この声は騒々しいもののように感じていたけれど、今はどこか違う。
そうだ。 どこか重たいのだ。
彼女がいるのといないのとでは、明らかに学校の空気の重さが違う。
勿論明るい先生も多いし、表面的には分からないかも知れない。 ただ、自然と馴染んだものがないこの淋しさは、見て分かるものではないと思った。
もっと奥底から、足りない、という感覚。それから、少なからず沸き起こる、虚勢のようなもの。
そのせいで、朝から福田先生は少なからず荒れていたし、新妻先生は少なからず煩かった。 香耶はあからさまに元気がなかったし、小豆先生はドジが目立っていたように思う。
こうやって、わかりづらいズレを作ってくる。
はぁ、と溜息をついて、自分も大概だな、と苦笑を浮かべた。
これは隠す必要のないものだ。 だってみんな同じことを考えているのだから。
俺は苦笑を浮かべたままに、扉をガラリと引いた。
「サイコー先生、早く帰ってきてくれ」
と思いながら。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 今はそうでもないですけど、1人先生がいないだけで妙に淋しい気持ちになったりしてたんですよね。 その淋しさを思い出しながら書きました。
2011/10/03
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