『やっぱ出来てるよ』
『最初から付き合ってたんだって、きっと』
『お似合いだよね』









「ある噂が最近、生徒達の間から流行ってるらしいんですが!」


ばんっ、と資料室の長机の板を両方の手のひらで叩く秋人。
びくり、と肩を跳ねた3人。

資料室には調べものをしていた雄二郎と真城、暇つぶしにいる福田と、そしてたった今入ってきた秋人の4人しかいない。


「シュージン先生?」
「噂?」
「何を怒ってるんです?」


三方、それぞれの反応を示し、秋人の様子に気圧されつつも、戸惑う。
そんな3人の様子に、少しだけしまった、と思ったのか、手を机からどける秋人。


「噂と言うのはですね…」


真剣な眼差しで福田を見つめ、腕を組む。そして口を開いた。



「サイコー先生と福田先生が付き合ってる、という噂です。」


何とも女子生徒が好きそうな噂だ、と雄二郎は苦笑を浮かべる。真剣に聞き入れた自分が馬鹿みたいだ、と。



「ありえないですよね。」
「……………。」


すぐさま否定という即答を返す真城。
検討もついていない真城のきょとんとした顔に対し、福田は何とも気まずそうな顔をした。
苦虫を噛み潰したような顔とは少し違い、少なからずの諦めと呆れが感じられた。

そんな福田の姿に、苦笑と嘲笑を内心で送る秋人だったが、




「福田さん?」
「…先生をつけろ。」
「君が言えた義理じゃないだろ、それ。」
「…うるさい。回顧しそうになるんだよ、さん付けは!」
「…?」




報われない、と少なからず福田に同情した秋人だった。












‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
大学に置いてきたはずの恋心に葛藤する福田と、福田をライバル視してしまう秋人と、何も知らない雄二郎と真城。
なんて泥沼ですか、これ^^←

11/03/05