※BIOHAZARD新作のネタバレ、引用があります。苦手な方は閲覧をお控え下さい。









北国の寒さによって冷える坑道。
その一本道を早足に抜ける2人。
少しばかり広くとられた空間に出た2人は、嫌な予感、と目を凝らす。

しん、と静まった坑道に隙間風が吹く。


「来るぜ!」


耳を澄ました新たなパートナー福田が、にやりと笑う。


「嬉しそうにしないで下さい!」


冷や汗を流した高木が福田を叱り付ける。
その時、道の先から一匹の犬型B.O.Wが襲い掛かる。

バンッ!!

襲い掛かった一匹を打ち倒す。
正に引き金、とでもいうかのように、それから大量に押し寄せる犬型B.O.W。


「これは…オオカミ?」
「さぁ?感染体であることは間違いないでしょ」


冷静な判断で弾数と相手の勢力を分析して、ハンドガンを打ち放つ高木。
それとは対照的に、ナイフ、ハンドガンを遊ぶように使いこなす福田。

対照的ではあるが、バランスはとれており、悪いコンビだとは思えなかった。


「なぁ!確か、真城、だったっけ?」
「はい!?何ですか急に!今は任務に集中して下さい!」


目の前の事に集中し、少し余裕のない高木に向かい、唐突な質問を投げかける福田。
ショットガンを用いだした高木は、その質問を断ち切り、犬型B.O.Wへと立ち向かう。


「だって前に組んでいたんだろ?」


だが、福田は気にも留めず、話を続ける。
余裕なさそうに迎え撃つ高木とは裏腹に、華麗なナイフ捌きで犬型B.O.Wを倒していく福田は、余裕ありげに高木に問いかける。


「前の組織からずっとパートナーです。それがどうしたんですか?」
「かな、と思ったから確認しただけ〜」


ひらひらと左手を振り、もう興味ないと言いたげに右手のハンドガンで目の前の犬型B.O.Wを倒していく。

任務の遂行は完璧で、銃の使い方も上手く、ナイフへの転換のタイミングも悪くない。
言うことない心強いパートナーだが、高木は合わない、と相手を見下したような軽い戦い方をする福田の姿に腹を立てるのだった。


「もー!福田さん!いい加減、任務に集中…」


パンッ!

手ごたえのあった音が響き、思わず後ろを振り返る高木。
自らの足元でうめき声を上げる犬型B.O.Wの姿に驚き、目を見開く。

「いつの間に…」
「高木くんも集中してね」


くつくつ、と笑う福田に返す言葉もなくなった高木は目の前の敵をただ倒す事だけに集中する。

しばらくの交戦の後、全滅したのか一匹も現れなくなった。
まだ油断ならないがその隙に坑道を進む。

福田は密かに、真城って名前だけで動揺するなんて、と面白そうに含み笑いを
浮べたが、そのことに高木は気付いていないようだった。


「もう少ししたら抜けられるかもしれませんね。」


少しずつ明るさを増していく坑道に、高木が呟く。
どんどん先へと進んでいく福田は、そうだな、と言いながら雪の重さで崩れてた不安定な道を飛び越えていく。

それに続いた高木も着地し、次へ進む足を一歩出す。

ガラガラガラッ


「まずい…!!」


高木の着地した場所は運悪く、凍って固まった雪の道だったようだった。
崩れた道の道連れとなってしまった高木は斜面を滑り落ちてゆく。


「ぐあっ!」


坑道の一番下についた高木は全身を強打し、うめき声を上げる。
まさか落ちると思っていなかった福田は落ちた高木を上から見下ろし、安否を確認する。


「高木くん、大丈夫か!?」


起き上がる元気のある高木に安堵し、そう声を掛ける。


「…足を痛めたみたいです。今は動けそうにない…。」


そう返事をする高木に頭は打っている様子もないし無事のようだな、と息をつく福田。


オオーン!!


その瞬間、遠吠えにも似たうめき声が坑道内に木霊する。
嫌な予感に背筋を凍らす福田。


「まさか!?」


高木の落ちた広い地面と続く一本道を見据える。

ものすごい勢いで襲い掛かってくる犬型B.O.Wの集団。
1人では到底太刀打ちできそうにないその数に、高木は動けないまま銃で応戦する。


「待ってろ!今そっちにいくから!」


福田は戦況を見つめながら、突破口を探し、走り出す。
まだまだ高木の位置までは遠く、走りながら福田はハンドガンで援護する。

だがそれでは足りないほどの数が、次から次へと押し寄せ、銃だけでは対応しきれなくなる。
かなりの多さに相手が出来なくなると、先ほど拾ったデコイを集団へと放り込む。
デコイとは手榴弾であり、爆発と共にB.O.Wにしか効かない特殊な霧状の薬品を散布する武器だ。大量に押し寄せるB.O.Wを相手にするには打ってつけのアイテムである。

爆発と共にその場のB.O.Wは全滅するも、奥の坑道から音を聞きつけた犬型B.O.Wがどんどんと量を増す。


「くっそ!次から次へと埒が明かない…!」
「なんとか持ちこたえろよ!」


ハンドガンや手榴弾で援護しながら、福田は走る。
奥の坑道からどんどんと近づく、犬型B.O.Wではない足音。


「もうすぐだ!愛しの真太がすぐ行くぜ!」


ふざけてるな、と呆れながらも心強い助っ人に、もう一息だ、と力を込めてデコイを投げる。

心強い武器とパートナーの協力により、犬型B.O.Wも残り少なくなってきた。


パンッ!

という軽い音を立てて、最後の犬型B.O.Wが倒れる。
最後に放たれたの福田のライフルだったようだ。


「立てるか?」


全滅を確認した福田は、高木の元へと駆け寄り、手を差し出す。


「すみません、福田さん」


その手を素直にとり、謝罪をする高木。福田の力を借りながら、大分痛みの引いた足で立ち上がった。
まだ少し痛むが、これくらいなら走れるし、応戦も可能だろうと判断した高木は坑道を更に進む。

その姿に、大丈夫そうだな、と安堵した福田もその後に続く。


「なぁ、さっきの続きなんだけど」
「何のどの続きです?」


銃を構え、走り出す高木に続くように走り出し、高木の隣へと並んだ福田が急に話を振り掛ける。


「俺とお前、どっちが真城くんと合うと思う?」
「ぶっ!!」


高木の反応にそんなあからさまな、と笑い出す福田。
失態を見られ、顔を赤くした高木は、うるさいです、と強く返す。

少し落ち着いた頃、咳払いをした後に、福田へと言葉を返す。


「比較は簡単だと思います。」
「ほう」
「貴方が望む答えを出す事も。」
「言ってくれるねぇ」


必要なのは言葉じゃない、そう言ったのは真城だった。
その言葉を忠実に再現し、高木は誠実な対抗心を持って福田に質問の答えを返す。

先ほどの援護のお返しに。


「そうくるなら、この任務で高木バリケードをなんとか撤廃できるよう頑張っちゃうよ」


嬉しそうににやり、と笑った福田は銃を構え、目の前の木箱を打ち落とし、ハンドガンの弾を手に入れる。

いけ好かない、と対抗心と警戒心を露わにする高木の姿に、にやり、と笑った福田は前を見据える。


「外に出たみたいですね」
「だな」


ガガッ


外に出た瞬間、天候と坑道の影響で途絶えていた通信が突如復活する。
耳障りな音ともに、通信機器からリーダーである服部の声がする。


『どうしたんだ?今どこにいる?』
「障害で通信できませんでした。現在地は北欧に位置する…」
『何!?あれは罠だったのか!』
「どういうことです!?」


高木の説明を中断する服部の声。
悔しそうに机を叩く音まで聞こえる。


『偽の情報に踊らされた結果、地中海へと向かわせた…』


そして、少しの後、歯切れ悪そうに服部が口を開いた。


『真城くんと服部さんの通信が途絶えた。』
「何ですって!?」


思考が完全にフリーズする高木。
どうしたのか、と高木の通信機器に福田は無理矢理、耳を押し当て、会話の内容を聞き取ろうとする。



『真城、雄二郎共に現在消息不明だ』
「よりにもよってサイコーが…?」
「…そう、ありがとうございます」


ぷつり、と切れる通信。


「サイコーが…」


未だに思考の追いついていないほどの動揺を隠せない高木の挙動。
その挙動にはぁ、と溜息をついて、若さか、と呆れる福田。


「しっかりしろよ、バリケード!」
「げっほ!」


ばしん、と勢いよく叩かれた背中の衝撃に、咳き込む高木。
叩いたのは紛れもなく福田だが、その福田は悪びれた様子もなく、高木をおちょくる。


「雄二郎も一緒だし、大丈夫でしょ!」
「なんですかその自信…」


正気に戻った高木は、背中を叩いた腹いせに福田に少しだけ毒気づく。
その様子に、もどったか、と内心で安心した福田は、銃を構えて目の前に広がる敵の基地を見据える。





「考えてる暇はねぇよ。行動開始だ!」





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引用:Biohazard(revelations)
クリス→高木、ジェシカ→福田、ジル→真城、パーカー→雄二郎、オブライエン→服部の設定です。
この設定だとレイモンドを新妻、クエントを平丸か七峰あたりにすると面白くなりそう。笑
クエントが好きすぎて本家ネタバレ覚悟でパロディとして連載しようと思ったんですが、エンディングを見て断念しました。←
誰か代わりに書いてくれてもいいですよ?(おまっ

2012/02/21