小平太+生物委員 | ナノ



「伊賀崎先輩〜、僕怖いです…」
「僕も……」
「大丈夫、僕達だって毎日山道を走り回ったりしてるんだからどうにかなるはずだよ」

口々に不安を洩らすのは生物委員一年生の一平、孫次郎、三治郎、虎若。
そんな四人を三年生の孫兵が励ます。


何故こんな事になっているかというと、学園長お馴染みの突然の思いつきで自分達が所属している以外の委員会も体験してみることになったのだ。そして何とも運の悪い事に、生物委員が割り当てられたのは暴君こと七松小平太が君臨する体育委員会なのだった。
全員がそれぞれ、三之助と金吾の委員会後に疲れ果てて帰ってくる姿を目にしている為、恐怖は募るばかりだ。




しかし、そんな四人とは正反対の明るい声が五人に掛けられる。

「おっ、いたいたー!早くこっちに来いよー!」

(ひぃいいい!見つかっちゃいましたよ!?)
(手招きしてます……)
(もう行くしかないな…。みんな、覚悟を決めよう)
(僕嫌ですよぉお…!!)
(今日無事に帰れるかなあ…)








「えっと…、今日はよろしくお願いします」
「おう、よろしくな!何かみんな緊張してるなー」

((それは、あなたが怖いからですよ…!!!))

「大丈夫だぞ!竹谷にも手加減してやって下さいって言われたしな。私だってちゃんと考えているからな!」


((竹谷先輩…!))
((ありがとうございます!!))
流石は面倒見のよい我らが委員長。その思いやりに心から感謝した五人であった。
しかし、心底ほっとしたのも束の間。



「取り合えず、裏裏山までダッシュ百本だ!いけいけどんどーん!」

(((やっぱりこうなったぁああ……!)))


竹谷の配慮も空しく終わり、いつものいけどんな委員会風景が繰り広げられる。
こうして生物委員の長い長い地獄の一日は始まったのだった。




毒虫たちの脱走など、この暴君のいけどん精神に比べればかわいいものだと思った五人なのでした。


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