*現パロ、女体化です。
*女の子ですが名前はそのままです



──ついに、この時がきた。
俺は今、兵助と初めて体を繋げようとしている。ぎゅっ、と目を瞑っている兵助の緊張が俺にも伝わってきて、…もちろん俺もガチガチなんだけど。少しでも安心させてやりたくて、出来るだけ優しく兵助の服のボタンを一つ一つ、ゆっくりと外していく。
現れたのは滑らかな白い肌。
自分でもヘタレだと思うが、それだけで俺は兵助を直視出来なくなってしまった。だが男の本能だけは、しっかり働いているようで。

「(……えーと、ブラジャーって背中から外すんだよな…?)」

逸る手を必死に理性で抑え、出来るだけゆっくりと兵助の背中に腕を回して手探りでホックを探すが、なかなか見つからない。
焦った俺は兵助の身体をドキドキしながら見つめて、そこで気付いた。


「……ホックが、ない…?」

てっきりテレビのCMで見るような下着を想像していた俺は、想定外の出来事に呆けた顔をしてしまった。兵助が身に付けていたのは、真っ白な下着。それも小中学生が着けるような──所謂、スポーツブラだった。










「はぁあ!?兵助、お前マジかよ」
「自分に無頓着だとは思ってたけど、まさかそこまでとは…」

結局あの日は、八に「傷つけそうで怖いから」とか何とかいろいろ言われて、気まずい雰囲気のまま別れてしまった。
恋愛に疎くてどうすればいいのか分からなくなってしまった私は、雷蔵と三郎に相談している訳である。ちなみに二人も付き合っていて、初な私達と違って大分進んでいるみたいだ。

「…やっぱり私がいけなかったのか」

雷蔵と三郎に絶句されてちょっと反省した。私はスポーツブラでも事足りるから別にいいと思っていたのだけど。

「ていうか、八の事が無くても下着はちゃんと買った方がいいよ!」
「八はヘタレだが、今回はあいつに同情するぞ」

…前言撤回。私は女子高生の中では異常らしい。

「うぅー…じゃあ下着ちゃんとしたの買おうかな。雷蔵、買い物に付き合ってくれる?」
「もちろん!可愛いの選んであげるよ」

服装にうるさい三郎といつも一緒にいる雷蔵は、二人揃ってセンスがいい。服装にあまり関心が無い私は、いつも雷蔵に服を選んでもらっているのだ。しかし、いつ買い物に行こうかと予定を立てている所で、三郎がとんでもないことを言い出した。

「どうせなら勝負下着でも買って、八を誘ってみたらどうだ?」
「いいね、それ!兵助買っちゃおう!!」
「なっ…!?」

そんなの冗談じゃない!大体今まで勝負下着どころか、スポーツブラを着けていたっていうのに。しかも…っ、誘うなんて!!そんな私の心情を余所に二人は盛り上がっている。

「八の好みはな……」
「なるほどね。僕が責任を持って可愛いの選んでくるよ!」

こうなった二人はもう止められない。私も腹を括るしかないけれど…。

「私なんかに似合う訳ないよ…」
「なーに言ってんの。もっと自信持ちなよ」
「八は兵助にウザいくらいベタ褒れなんだぞ。そんな男が嬉しくない訳あるか」

私の弱気な発言に、二人は真面目な顔で励ましてくれる。雷蔵も、何だかんだで三郎もいい奴だ。
二人の言うように自分に自信を持つことはまだ出来ないけど、少し位は素直に従ってみてるのも悪くない、と思った。










──時は流れて、今は八の部屋で二人で休日を過ごしている。
私は雷蔵に選んでもらった下着を身に付けているのだけど…、先の一件から八はそう言った素振りを全く見せない。それどころか、触れることさえしようとしない。
──やっぱり私のこと気にしてくれてるんだよね──
確かに私は恋愛に疎いし素直に甘えることもできないけど、好きな人に触れられることは決して嫌な訳じゃないのだ。むしろ最近は八が触ってくれなくて寂しい…。
私は意を決して、言葉に出した。

「はち…、抱いて……?」
「なっ……、兵助!?」

思い切って言った言葉は呟き程の大きさしか持っていなかったけど。八にはちゃんと聞こえていたようで、ひどく動揺している。きっと私の顔も真っ赤なんだろうけれど。

「…私は、大丈…夫だから……触って?」

再度、勇気を出して言葉に出してみたけど、声がだんだん小さくなってしまった。八の反応が怖くて、目を瞑って俯くしかなかった。
途端、腕を引っ張られて八に抱きしめられた。

「あーもう、兵助かわいすぎ…」

見れば、八の顔が真っ赤になっている。

「兵助を壊しそうで怖かったのによ……、そんなこと言われたら、もう我慢出来ねえぞ?」
「うん…、はちのことだったら何だって、……受け止められるから…」



その言葉が始まりの合図。

八のベッドに優しく寝かされた私は、着ていたブラウスのボタンを一つ一つ外されていく。現れたのは勿論、スポーツブラじゃなくって雷蔵に選んでもらった下着。これじゃ大人っぽすぎる、と私は抵抗したけれど、「絶対これ!!」 と迷い癖のある三郎が珍しく頑として譲らなかったのは、黒い繊細な生地が幾重かのフリルで飾られたもの。
…八はどう思っただろうか。


「兵助…すっげー綺麗だ」

八が優しい声音でそう言って、触れるだけのキスをくれた。恥ずかしいけれど、幸せな気分で満たされる。

「よかった…。これ、三郎のアドバイスで雷蔵が選んでくれたの」

しかし、その言葉に八がピクリと反応した。

「三郎の、アドバイス…?」
「うん。八の好みだって教えてくれた」
「ってことは…俺以外はこのこと知ってたってことか!?」
「まあ、そういうことかな?」
「………兵助がこんなかわいい姿してくれたのは、すっげー嬉しいけど」
「へっ……!?」

今まで聴いたことの無いような、八の熱を含んだ低い声。

「一番最初に俺に教えてくれなかったのは、お仕置きだな」

三郎のアドバイス、というのが八に火を付けてしまったようで。耳元でそう呟かれて身体がぞくりとした。でもそうは言っても、やっぱり八は八で。終始優しくしてくれた。





翌日、八は三郎に「昨日はどうだった?」なんてニヤニヤしながら言われて憤慨していたけれど。
きっかけを作ってくれた雷蔵と三郎には感謝しなければいけないな。



***

本番は無し。まだえろちっくなのは書けません←

兵助はいつまで経ってもスポブラ着けてそうだよね!っていう、しょうもない妄想からでした。
竹谷がスポブラ見て身を引いたのは、抱いても傷付けないか怖くなったからです!一応補足。どんな兵助でも竹谷は大好きです^^

にょくくって言葉の響きからかわいいですよね!お粗末様でした。

2011/5/28






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