*ほぼ会話文。短いです。



強さとは


「雷蔵は、強い。だって私は雷蔵のこと好きだから」
「………」
「人から好かれる奴は、強いんだよ」
「強いから──好かれるの?それだったら三郎だって」
「違う。好かれるから、強いんだ」
三郎は目を細めて言う。
「なあ、人に好きになってもらえたら、頑張ろうと思える。好きになってくれた奴の為に、何かしてやりたいって思う。雷蔵だって、そうだろう?」
「え、うん。まあそうかな」

「私は」
三郎は──わずかに、顔を曇らせた。
「私を好きになってくれたのは、雷蔵だけだったから──私は、弱い」
「………」
「情けないくらいに、弱い」
「……三郎を好きになるのが、僕しかいないっていうなら──他の全員の分まで、僕が三郎を好きになってあげるよ」
「…本当か?」
「本当だよ。それに三郎を好きなのは、もう僕だけじゃないでしょ?」
「…ああ、そうだったな」
「だから、三郎は強いよ。…強いんだ」

そう言うと、三郎の表情が穏やかなものになった。

「ありがとう、雷蔵。やっぱりお前は強いよ」
「三郎も、ね」




***

ちょっと弱り気味な三郎。
三郎は素顔を誰にも見せていないから、他の人には分からない葛藤があると思うんです。
そんな三郎の心を、分からないなりに暖めていくのが雷蔵だといい(^^)


2011/5/19






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