季節は梅雨の真っ只中。何日も降り続ける雨は、一向に止む気配を見せない。
それは誰にとっても例外では無く外に出るのも億劫になるため、この季節ばかりはいつも騒がしい忍術学園も少し静かになる。


例に洩れず兵助と八左ヱ門も何をするでも無く、久々知の部屋で共に時間を過ごしていた。


「あー、早く雨止まねえかなあ…」
「八は雨嫌いそうだもんね」
「梅雨だって必要なことは分かってるんだけどさ、この雨で植物も育つ訳だし。でも外に出られないのは辛いな。兵助だって、雨よりは晴れてる方がいいだろ?」

生物委員長代理である八左ヱ門は、自然と外にいる事が多い。生物委員の後輩と森に入って植物を採取したり、新しい毒虫を捕まえたり。度々逃げ出す毒虫たちを捕まえに駆け回るのもいつもの事だ。
一度飼った生物は最後まで責任を持って世話をする八左ヱ門。俺はそんな八左ヱ門が好きだし、確かに彼には雨より太陽が似合う。だけど───


「俺は雨、嫌いじゃないよ」
「へえ、どうして」

「それは秘密」


これ以上理由を聞かれないように目を瞑って、八の隣にぺたっとくっついてみる。
──だってこの季節は、いつも逃げ出してばかりで八を連れていってしまう虫達も大人しいから。



太陽の下で泥まみれになって笑う八も大好きだけど、

今だけは俺が独占したっていいだろう?



***

梅雨なので、短いですが季節に沿って書いてみました。

久々知のちっちゃな独占欲。
竹谷は全く気付いてません^^

2011/6/27