結婚準備のために休みを多くとっているとはいえ、現役プロ野球選手たるもの練習を怠ってはいけない。スケジュールを把握するのが大変なのでカレンダーに書き込むようにといいつけているのだか、何分多忙なのでしっかり把握しきれていなかった。

そんなある朝。一也にははやく寝てもらったが、遅くまで式場のパンフレットを見ていた私は当然のごとく寝坊。隣にはまだ温もりが。初めはこの日が練習だと気づかない。うん。熟睡。

ぼーとする頭で無意識にカレンダーを確認(日課である)。今日のスケジュール、7:00△△球場にて一也、練習。うんうん練習。えーと、今何時だ?6:30かあ〜、二度寝しようかなあ〜。


「ええええええええ」
「…!え、なに、え?」
「おはようおきてやばいよはやく!」
「なに!!なに!!」
「今日練習!!!」
「えっ」

あ、顔かたまった。

「風呂はいってくる!!!」
「はやく!!」
「はい!」

彼、今日ほど朝風呂派だったことに後悔した日はないだろう。どったんばったんと服を脱ぎ散らかしながら風呂場へ走っていった。何時もならしかるところなのだが、わたしもそんな余裕はない。お風呂は後で入るとして、彼の朝ごはんと昼ごはんだ。どうしようどうしよう。

あ!!昨日大量に余った冷やご飯でチャーハンつくった!!!
チャーハンおにぎり大量につくろう!!

エナメルにいつもの練習セットを準備して玄関におき、練習用に履いていく靴をならべる。急いでシャワーの音の聞こえる洗面所へいき顔を洗い歯をみがく。つづいてキッチンへいって、彼が出てくるまでひたすら特大おにぎりをにぎった。

「でた!」
「髪の毛かわいてないし、風邪ひかないでよ!」
「車ん中でちゃんとふく、今日運転たのんだ。俺おにぎり食う」
「あいよ、冷蔵庫の中にアクエリと水筒はいってる。あと朝ごはんようにペットボトルのお茶ももってって」
「あいよ、さんきゅ」
「いいえ。はい!できた!こんくらいでいい?」
「ん!十分」
「はいはい、全部もって!私バットとかもって先に車のっとくよ、エンジンかけとく」
「はーい」

車へ乗り込み事故にならない程度に急いで練習場にむかった。

「なつ」
「ん?ここの信号長いなあ」
「手かして」
「はい」
「ちがう右」
「はあー?はい。信号変わりそうなんですけど」
「はい」
「え」
「こんな時こそ、はめてやろうと」
「何でいまやねん。あ、青」
「後でちゃんと、プロポーズしなおすから」
「なんで後でちゃんとわたさないん」
「それつけてるなつみたら今日一日練習がんばれる」
「なんじゃそりゃ」
「なつさんパワーじゅうでん!」
「じゃあわたしは一也パワーじゅうでん!さ、つきました。がんばっといで!荷物運ぶの手伝う?」
「んや、大丈夫。いってきます」
「はい、いってらっしゃい」
「今日は早くかえるから」
「楽しみにしてる」

いつものように笑って、やっぱりちょっと、いやかなりいそいで姿が見えなくなった彼を右手の薬指といっしょにお見送りした。

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あの男、やりよる。

悲しみのときも、


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