「お前の一日を、俺にくれないか」
照れ臭そうに頬を赤らめながら、帰り道の丁度街灯の真下でそう誘いを受けた。時間はそう遅くはないはずだけれども、もう日は沈みきっている。
並んで歩く為に保っていた距離がぐっと縮んで、ネジが私の顔を覗き込んできた。
「わっ、ちょ、ばか!近い!」
「馬鹿とは何だ、馬鹿とは」
ごめんつい、と言葉を濁すとネジが笑っているのが見えて、ほっと胸を撫で下ろした。
「24、25は警備強化にお前も駆り出されているんだろ?」
「お陰様で、ご名答」
「だったら世間より一足先に、という訳だ」
ネジが何を言っているのか理解するまでに思いの外時間が掛かったようで、どっちが馬鹿だ、とか、相変わらずの鈍感さだ、とか、次々と野次が飛んできた。
「もしかして、クリスマスイヴイヴデート...?」
自信無く尋ね返してみたけれど、もしそれが正解なら、そんなの返事はただひとつ。
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