・・・18番でお待ちの方3番窓口までお越しください・・・
落ち着いた女性の声でアナウンスがかかった。手に握りしめた整理券と今しがた呼び出された番号とが合致していることを確認して席を立った。
窓口の向こう側には忙しなく動き回る職員の数々。汚れの一つもない白衣を身に纏い、裾をひらりとなびかせながら働く姿が目に眩しい。
なんて美しくて、なんて凛々しいのだろう。
待たせた、と声を掛けられ視線を上げると思いもよらない人の姿が目に入った。
「おい、聞いているのか」
「え、あ、はい、こっちが消炎鎮痛剤でこっちが刺激緩和剤でしたよね、」
「...逆だ」
はぁ、と大きくため息が聞こえた。
がやがやとした室内で一際目立つのは、若い女の子達の黄色い声と熱い視線。
「見た目が似ているから気を付けろと言っただろう」
「...申し訳ありません」
普段目にする忍服とは違い、折り目正しくアイロンがけられたであろうシャツと他の職員と同様に羽織られた白衣姿に目が奪われ、脳が考えることを放棄してしまっている。先程から実に丁寧に説明を受けているにも関わらず、全くもって記憶に留まらないのだ。
私の記憶を司るそこは、今目にしている彼の姿を焼き付けることで手一杯のようだった。
「っネジさん、その格好...」
「なんだ、文句か」
やや怒気がこもった口調でじろりと睨まれると息を飲んでしまう。そんな姿さえ格好良いと思ってしまう私は、その他大勢の女の子達と同じなのだろうか。
「す、てき...ですっ、」
処方された薬を一式、かっさらうように両腕で抱え逃げるように走った。
そんな姿を見てしまったら、今日はどんな顔してあなたの帰りを待っていれば良いんでしょう。
教えてください、ネジさん。
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