目に青葉 山ほととぎす 初鰹
- 目には新緑の青葉が映り、耳には山にいるほととぎすのさえずりが聞こえ、口には初鰹の味が広がるものだ -
季節は夏ではないけれど、彼との食卓に鰹が並ぶと、どこかの誰かのこの句が頭を過ぎるのだ。
「何を笑っているんだ、」
眉間に皺を刻み、彼は私の零した笑いに問いかけた。
なんでもないよ、と笑顔で返すが納得のいかない様子のまま箸先の鰹を口に運んだ。
目にアオバ、なんて下らないことを考えたなんて言えるはずないじゃない。
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