「私、甘い物苦手なのよね」
そう言って彼女は困ったように笑ってみせた。
次の一手は、まだ決まらない。
ふふっ、と口元を隠す姿に目を奪われた。背中越しに見える紅葉の葉のように朱い唇が見え隠れする。
「嘘よ、シカマル」
「からかってんスか...」
悪戯が見つかった子供のように、それでいて可憐さと儚げさを持ち合わせた花のように笑いかけられりゃ、何通りの手を考えたってこの人にゃ適わねぇ。
「デートなのかな?」
「そのつもりっス」
甘栗甘の机に向かい合ったその人のせいでまた俺の顔が熱くなるっつーことを、この時の俺はまだ知らない。
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