本当の事を言えば
少し冷たくなってきた風が彼の髪を揺らした。
綺麗だ
その艶のある髪、白菫色のような瞳、彼を彼たらしめる全てが、その一言に尽きる。
行かないで、なんて言えないから、握ったその手に自分の指を絡ませた。
「どうしたんだ」
そう零しながら笑いかけられたら、胸の奥の方が苦しくなった。
ネジ、もうあなた以外はなんにも要らないよ
そんな事言えないけど、
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