に関わるすべてが


「またうちのがやらかしたって?」

食満は医務室の床に座り、寝ている仙蔵にそう言った。すると仙蔵からじとりと睨み返される。

「それ以外に何がある」
「まあ、しんべヱも喜三太にも悪気があるわけじゃねえから勘弁してやってくれよ」
「悪気がない分性質が悪い」

仙蔵はそう言って眉根を寄せた。
食満と同委員会の後輩、しんべヱと喜三太は仙蔵の忍務先に突如現れることが多い。そしてその二人がいることによって仙蔵に厄災ともとれることがしばしば…いや、毎回。普通なら難なくこなせる忍務も、彼らに巻き込まれることによってこうして無事ではすまない。

「怪我、大丈夫か?」
「…見た目程は酷くない。そもそもお前が気にすることではないだろう」
「いや、でもまあ、俺の後輩だしな」
「だからといってお前に気に病まれても私が困る」
「うーん」

食満の曖昧な返事に、仙蔵が彼を見上げる。すると不意に、食満が仙蔵の頬に触れた。その表情はどこか悔しげで、

「何が原因にせよ、仙蔵に傷が付くのは、心が痛い」
「…は、?」
「俺が、守ってやりたくなる」
「留三郎…」

呼べば食満は仙蔵に目を合わせ、口元に笑みを浮かべて笑った。

「俺はさ、後輩のこと好きだし、可愛い奴らだと思ってる。それでもお前の怪我の原因があいつらなら、ちょっと、葛藤する」

そう言って眉を下げ、困ったようにはにかんだ。仙蔵はそれを見て、拳を握って食満の額を小突いた。

「っいて、」
「馬鹿め、私とて忍者の卵、自分の怪我の非は自分にしかない。あいつらに振り回されてしまっているのも私の力不足だ」
「…ああ」
「だから、そんな顔をするな」
「…」
「お前が、そこまで私を想ってくれているだけで、私は嬉しいよ」
「仙蔵」
「ん?」

食満が身を屈め、仙蔵の額に口付けを落とす。

「早く治るおまじないだ」
「…効けばいいが」

くすり、と笑みを漏らす仙蔵に食満は口角を上げた。

「効果は大ありだぜ、仙蔵限定でな」
「そうでないと困る」

顔を見合わせてもう一度笑い、今度は唇同士を交わらせる。それは心を傷を癒すには十分であった。







「仲良きことは美しきかな…ただ、」

不意に二人の間に割って入った声。

「ここは医務室だからねお二人さん」
「お、伊作」
「なんだいたのか」
「いたよずっといたよ!何なの二人の世界!?大概にしてよ!?」
「不運だな伊作」
「君たちのしでかしたことを僕の不運で片付けないでくれる!?」