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ふわりとやわらかな銀糸を掬う風に、銀時は小さく息をこぼし目を閉じた。
あれから、一体何年たっただろーか、と脳の中で大雑把に数えてその年数に驚く。
そして同時に笑いもこみ上げてきた。

攘夷戦争から、約5年。ついでに言うと、紅桜の一件からすでに2年。
4人はあれから一向に顔を合わせてはいなかった。
唯一、桂とはたまに会うが攘夷志士として江戸を逃げ回る生活を続ける奴にあると、ろくなことにならないのはここ数年で何度も経験し把握したことであり、できれば会いたくないと思う。
そんな中、ちょっと気になるのが最近名前を聞かなくなったあいつ。
死んだかなと不吉なことを考えつつ、いや、やはりと思い直す。
「あいつがそう、安々と死ぬわきゃねーな」
「何の話ですか…」
つい口に出してしまたらしく、銀時は慌てて口を抑える。
万事屋のソファーに座り、ジャンプを読みふけっていたと思っていた男からそんな言葉がこぼれたのだ、気にするなという方が難しい。
部屋を掃除していた新八は、いまだ謎の多い銀時のそばによるとジャンプを取り上げた。
「あー!新八何すんだ!」
甘ったるい声で抗議する銀時から取り上げたジャンプを閉じ、そのままテーブルへと静かに置く。
別に取り上げたつもりはないのだ。
ただ、先ほどの言葉が気になって邪魔になったから避けただけの話、と新八は持っていた箒をおき、銀時の真向かいのソファーに腰を下ろした。
「で、さっきのあれなんです?」
「あ?…いや、しんだかなーって」
思ったことをそのまま口に出す銀時。
当然通じるわけのない新八は首をかしげた。
「誰がです?」
「ん?高杉だよ」
はぁ、と新八は息を吐いた。
紅桜の一件の時に名前を聞いたのは聞いたが正確には誰が誰なのか未だに把握できていない新八である。
あいつか?いや、でもあれはロリコンだし。あいつ?いや、あれは高杉って顔じゃない…。
とブツブツと口の中で高杉とやらの名前と一致する顔を探した。
「あれ?新八くん会ってないっけ?」
そんな新八の態度に意外だ、と言わんばかりの口調で銀時はふざけた時特有の呼び方で首をかしげつつ、問う。
はい、と新八が首を縦に降った瞬間。
「テメェ、誰が死んだって?」
ガツッと音がするほど強く銀時の首を後ろから力強い腕が締め上げた。
「イテテ…ちょ、タンマタンマ!」
唖然とする新八を無視して、銀時はまるで知っていたかのように…否、気配で気づいてた、その相手の行為に腕をたたいて降参と音を上げる。
それに満足したのか、締め上げていた主の力強い腕は、銀時の首からしたへと下がり、後ろから抱きしめる形となった。



   

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