息子さんを、ください
サイスコ甘甘
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サイファーは聞き耳を立てていた。
指揮官室の扉の向こうで今まさに、ラグナとスコールのお見合い話が始まったのである。
片手に書類を持ち、それを確認するふりをしながら、懸命に内容を聞き取ろうとしている彼にはれっきとした訳があった。

簡単にまとめると
・スコールは口下手だ
・ラグナは何をするかわからない
・自分の知らないうちに物事を進められては困る
・スコールは自分のだ

という感じである。

同じように書類を眺める、指揮官室の手前の部屋にいるキスティスがため息をついた。
彼らの仲は幼なじみ達にはもう、サイファーとスコールが付き合っていることは周知の事実で、キスティスはそのサイファーの行きすぎた嫉妬心や、心配性にいつもやきもきしている。
今回もそうだ。
しばらく一緒にいてやれなかった、最愛の息子の幸せを第一に考えるラグナが、わざとやっているということに気づいていない。
我が愛しの指揮官様が鈍いのは元々だとしても、だ。
サイファーなら、すぐに勘づきそうなものの、今回はそんな素振りすらない。
「サイファー」
キスティスは、たまらず声をかけた。
聞き耳を立てていた、指揮官様の恋人はキスティスの声にしかめっ面のまま、振り向く。
そして、にかっと笑うとおもむろに、息をはいた。
「俺が気づいていない、とでも思ったんすか?キスティスセンセー」
嫌みったらしく先生をつけたサイファーにキスティスは、微笑みを返した。
ぴくりとキスティスの口の端がひきつるのを、サイファーは見逃さない。
「ならば…職務に戻って頂戴?無様に盗聴を続ける暇は、今のガーデンにはないの、わかるわよね?」
背後に鬼が見えた気がした。
鬼神のごとく顔を歪ませた鬼が。
ふつふつと、雰囲気が泡立っていく感覚を覚え、サイファーは思わず一歩後ずさる。
とてもじゃないが、怖すぎた。
自分の顔が青ざめていくのを感じながら、あわてて手をあげる。

瞬間、轟音。

そして指揮官室の扉がぶっとんだ。
突然襲ってきた扉に、驚くことなくふわりとかわした、サイファーとキスティス。
死に物狂いで指揮官室から這い出してきたラグナが、ちっと舌打ちをした。
しかし、ガシッと何かに足を捕まれ、ラグナが青ざめる。
サイファーとキスティスは、頭を抱えた。

どうやら、ラグナがスコールを挑発するような事を言ったらしい。
青ざめた顔をしたラグナの足を掴んでいるのは、ライオンハートを構えたスコール。
「…殺す」
「な、なんだよう!そんなに怒ることでもないだろー!たかが、とーさんの前でキスしてみろって言っただけなのにぃ!」
「黙れ!!!」
ライオンハートを振り上げたスコールをみて、ラグナは渾身の力で足から手を振り払うと脱兎のごとく走り出した。

「また修理費を貰わなくちゃね…」

逃げ出したラグナを、鬼の形相で追いかけるスコールを尻目に、キスティスが呟く。
今日もガーデンは平和であった。





サイファーと暮らす部屋の前にスコールは、いた。
途中でラグナを見失ってしまったのだ。

「よ、お疲れさん」
そこに、サイファーが現れた。
スコールは無意識に肩の力を落とし、息をはく。
「ラグナ…知らないか?」
「知らねえ」
サイファーは首を振った。
そしてところで、と去ろうとしたスコールの首根っこを掴んで引き留める。
「何?」
露骨に嫌な顔をするスコールを見て、たまらずサイファーは笑みをこぼし、耳元に口を寄せ疑問をぶつけた。

しぶしぶ答えたスコール。
その答えを聞いた瞬間、サイファーはまたもや笑いだした。

「お前らしいな」

そして、スコールの後頭部に手をあて、自らの鵬へ引き寄せるとそっと口づけを落としてみた。
ラグナが、その気配がこちらを見ていると言うことに気づきつつ。
「ん…」

驚きつつも、怒ることはせず素直に口内に侵入してきた熱い舌の動きに従順に呼応してみせるスコール。
サイファーは、スコールのそんな反応に気を良くし、その細腰に逞しい腕を回して抱き締めた。
密着する身体。
どちらの物なのか…熱く火照る身体にお互いが酔う。

「あ〜!!!!????」

ふいに大声が聞こえ、二人は口を離した。
つぅっと銀糸がサイファーとスコールを繋ぐ。

声の原因は、ラグナだった。

ふんっと勝ち誇ったように、ラグナを見るサイファー。
そのラグナの目元はうるうるしていた。
いまにも涙がこぼれそうだ。

「と、父さんは認めないからな〜!」

ショックだ!言わんばかりに、叫んで逃げていくラグナ。
スコールがあとを追おうと踏み出した一歩目を遮ったのは、他でもないサイファーだった。
やめておけ、と顔が訴えているのを読み取り、足を引く。

数時間後、大人げなくサイファーを亡き者にしようとしたラグナからの奇襲を受けるも、サイファーはあっさりそれを交わし、その隙に彼に耳打ちしたそうな。
そして、泣きながらエスタへと帰っていったラグナから、手紙をもらうのはまた別の話…。



「息子さんを、俺にください」



――――――――――――――――――――
はい、こんにちはー
椎名いずもです。
初のサイスコは何だかよくわからない話になってしまいました…
最後の一言要らなかったかな…とか
思って何度も削ったり、加筆したりwww

久しぶりに文章をかきましたー
もっと精進しまふ


椎名いずも



     

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